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街乗りも心地いい。新型フレームで上品な乗り味になりました。|ヤマハNMAX試乗

  • 2021/07/16
  • MotorFan編集部 栗栖国安
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スマートフォンと連携できるようにするなど次世代モデルとして大きく進化したNMAXは、装備面では原付2種スクーターの頂点に立ったといえるでしょう。しかし肝心なのは走行性です。新型NMAXを駆って市街地から郊外の山間部までタンデムも含めて走ってみました。

PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ヤマハNMAX ABS ……368,500円

大きく見えるボディが存在感を高めている

 従来型を踏襲しながらも洗練されたスタイリングとなったボディは、高級感さえ放つものとなりました。クラストップに位置するスクーターとしては魅力を高めたといえるでしょう。おそらくそれは、ボディデザインだけによるものではなく、ボディ全体のボリューム感も要因になっていると思います。
 原付2種スクーターの用途の第一は、コミューターとしての利便性です。そのため軽量コンパクトで、取り回しがしやすいことが優先事項です。しかしNMAXは原付2種と軽二輪の中間的なボディサイズです。車重も131㎏あります。通勤快足としての特色はもちろんありますが、軽快にスピーディに走るというより優雅に走行するタイプだと感じます。

原付2種スクーターとしては大柄なボディは、ゆとりあるポジション実現に一役買う。ヒザの曲がりも穏やかで疲労しにくい
シートには若干腰高な感じがあって、シート高も765㎜ある。そのため体格が小柄なライダーには足が着きにくいかもしれない
足を下ろしたときにフロアがじゃまになることはない。だが原付2種スクーターとしては足つき性が抜群に良いわけではない

 ボディが大柄というのは悪いことばかりじゃありません。実際に乗車してみればわかりますが、ポジションにゆとりがあってゆったりと乗ることができます。もちろんこれは、ボディの大きさだけじゃなく、ハンドルの高さや幅、着座位置、足置き位置との関係に左右される部分でもありますが、新型NMAXではそのどれもがリラックスして乗れる要素が強く出ていると思いました。ただし、個人的な好みでいわせてもらえば、スクーターはステップスルータイプのほうが乗り降りがしやすくていいと思っています。残念ながらNMAXはセンター部が盛り上がっているタイプなので、乗降の際に足を引っかけてしまうことがあります。

 シート高は765㎜なのでライバルモデルと大差ありません。しかしポジションとしてはやや腰高な印象を受けます。そのせいか若干足が着けにくい感じです。フロアボードは前後に足置き位置が変えられる形状なので、ヒザの曲がりに窮屈さもなく、たとえばツーリングなどで長時間走行しても疲労は少ないはずです。シートクッションはやや硬質で、腰を下ろした瞬間には快適性を感じにくいですが、柔らかすぎると長時間走行ではお尻が痛くなりやすいので、この程度の硬さがあるほうがラクでしょう。また、ちょっとスポーティに走るときにも硬めのシートは奏功します。

低速トルクが太くなり出足が良くなった

 イグニッションスイッチを右に回してオンにし、右手のスタータースイッチを押します。すると音もなくエンジンが始動します。排気音があるので始動したことが理解できますが、感覚的には電動スクーターと変わりません。NMAXの電気系を統括制御する「Starter Generator Control Unit」の採用で、始動時の静粛性と効率的な燃料消費を実現したとのことですが、今後はこうしたシステムが一般的になっていくかもしれませんね。

大型化されたウインドスクリーンが走行風を抑制してくれ、ツーリングでの快適性をアップさせた
 アクセルを開けると、スムーズに加速していきます。従来型に比べて低い回転で最大トルクを発生する特性としたエンジンは、ものすごく力強くなったという印象は受けないものの、アクセルに忠実に車速を反映させるリニアな特性となっています。したがって自在に操作できる感覚が強くなり、結果的により機動性の高い走りができるようになりました。こうしたエンジン特性は市街地で使いやすいのはもちろん、ツーリングで峠道を走るときにも有効です。スマートフォンと接続してエンジン回転を確認すると、市街地走行では6000回転辺りまでで事足りていました。

 新設計BLUE COREエンジンは低中回転で力強いだけじゃなく、8000回転オーバーまでストレスなく吹け上がりスピードを高めていってくれることです。可変バルブ機構VVAによってエンジン回転数 に応じてローカム、ハイカムが切り替わるのですが、切り替わるときのトルク変動はまったく感じません。実にナチュラルに可変してくれるので、エンジン回転の上昇はスムーズなままです。今回は山間の道も走行したのですが、上りでもグイグイ加速してくれる頼もしさがありました。
 全回転域で力強さを増したエンジンでありながらさらなる低燃費を実現している点もユーザーにはうれしいところです。

基本的には安定性志向ながら素直でニュートラルなハンドリングで操作しやすい

直進、コーナリングともに高い安定性を発揮し、上質な乗り心地を与えてくれる
 走りだしてまず実感するのが安定性の高さです。従来型よりホイールベースは短くなっているし、ディメンションも変更されています。どちらかといえば軽快でスポーティな方向に持っていっているのですが、直進性はしっかりしていて変にフラつくことはありません。カーブで車体をバンクさせたときも同様に、非常に安定性が高くニュートラルなハンドリングを見せてくれます。スポーツ性を前面に押し出したスクーターと比較すると、バンキング操作にわずかながら重さを感じますが、変に軽すぎるより不安なく扱えると思います。そういう意味では、上質な乗り味をうまく表現した操縦安定性だといえるでしょう。

軽快性を前面に押し出したものではなく、高い安定性を維持したまま素直に操作できるハンドリング特性を実現

 コンフォータブルな乗り心地を提供してくれるNMAXは、ツーリングを快適に楽しめる要素が強いスクーターだといえます。サスペンションも荷重初期から動いてくれますし、ワインディングでも気持ちよく走れる操縦性と路面追従性を発揮してくれます。しかしNMAXはムリに振り回して走るスクーターじゃありません。あくまでもゆったりと走るのに向いていると感じました。ABSをはじめトラクションコントロールまでも装備するのですから、ゆったりと安心して乗れるスクーターがNMAX本来の姿だと思いました。

ショッピングやツーリングをタンデムで行くにも最適

タンデム走行でも操縦安定性が著しく悪化することはない。やはり安定感のある走行性に仕上げているからだろう
 ボディサイズに余裕があり、新設計されたフレームとエンジンが走行性を高めているNMAXは、カップルでタンデムして出かけるにも最適なスクーターです。今回実際にタンデム走行してみましたが、安定性の高いボディはタンデム時にも極端に操縦安定性を損ねることはありませんでした。もちろん無茶な走り方はリスクを高めますが、すべてにスムーズな操作を心がけていればソロと変わらない感覚で走ることができます。リアサスペンションはプリロード調整ができるので、もしタンデムするなら硬めにセットしてやるとより良いと思います。

 前後独立のABSを装備したディスクブレーキも、制動力、コントロール性ともに不満はないので、タンデム走行でも安定した減速が可能です。シート下のトランクに荷物をすべて収納して、タンデムツーリングするにも最適なモデルの1台だと感じます。
 このように、デザイン、走行性能のすべてにおいて洗練されて進化したNMAXは、原付2種スクーターの最高峰モデルだとしても過言ではありません。スマートフォンと連携させるY-Connectの導入で目新しさをアピールしただけではなく、基本性能もしっかりと高めている。それが新型NMAXなのです。

新設計のBLUE COREエンジンは従来型に比べ、低中回転域でのトルク特性が向上。それによって日常域でスムーズかつ力強い走りができるようになった
可変バルブ機構VVAによってカムプロフィールが切り替わるが、切り替わりを体感することはなくレスポンスはあくまでもスムーズ。さらに高回転の伸びも良くなっている
リアサスペンションのストローク量は従来型よりわずかに短くなった。しかしクッション性、減衰特性はアップしている
2本ショック式のリアサスペンションは、プリロード調整が可能。タンデム走行時には硬めにセットしてやるとより良い
やや硬質なシートはスポーティに走るときに適しているし、ツーリングなどで長時間走行する際には疲労しにくい
シート下の収納スペースは23L容量。従来型より1L減少したが大差ない。ツーリング時の荷物の収納に活躍する
一般的なスポーツジェットタイプのヘルメットが1個収納可能。本来なら2個収納できればいいが、まあ最低限の機能を有しているといったところ
自然なライディングポジションをもたらしてくれるハンドル。カバードタイプなので高級感がある
液晶ディスプレイのデジタルメーターは多彩な表示機能を持つ。インジケータランプではABSやトラクションコントロールが表示。スマートフォンとの連携で表示機能は拡充する
専用アプリY-Connectで車体と連携させると、さまざまな情報をスマートフォン画面に表示させることができる

主要諸元

認定型式/原動機打刻型式:8BJ-SEG6J/E32TE
全長/全幅/全高:1,935mm/740mm/1,160mm
シート高:765mm
軸間距離:1,340mm
最低地上高:135mm
車両重量:131kg
燃料消費率(*1):国土交通省届出値
定地燃費値(*2):48.7km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値(*3):46.9km/L(クラス1)1名乗車時
原動機種類:水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ
気筒数配列:単気筒
総排気量:124㎤
内径×行程:52.0mm×58.7mm
圧縮比:11.2:1
最高出力:9.0kW(12PS)/8,000r/min
最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/6,000r/min
始動方式:セルフ式
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:1.00L
燃料タンク容量:7.1L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式:フューエルインジェクション
点火方式:TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式:12V, 6.0Ah(10HR)/YTZ7V
1次減速比/2次減速比:1.000/10.208(56/16×35/12)
クラッチ形式:乾式,遠心,シュー
変速装置/変速方式:Vベルト式無段変速/オートマチック
変速比:
2.386〜0.748/無段変速
フレーム形式:バックボーン
キャスター/トレール:26°30′/100mm
タイヤサイズ:(前/後)110/70-13M/C 48P(チューブレス)/130/70-13M/C 63P(チューブレス)
制動装置形式:(前/後)油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後):テレスコピック/ユニットスイング
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ:LED
乗車定員:2名

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