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石垣島で2月5日からサービスが開始 遂に始まったGogoroの電動スクーターシェアサービス。その内容は?

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クルーズ船の乗客が上陸する石垣港離島ターミナル。車両貸し出し手続きは、ここの安栄観光のカウンターでおこなう。

石垣島で2月5日から、Gogoroの電動スクーターを使ったシェアリングサービスがスタートした。事業を手がけるのは、住友商事が設立した「e-SHARE石垣」。1月31日には、同社や石垣市をはじめ関係各社が記者会見を開催して、事業内容を説明した。(PHOT&REPORT:古庄速人)

Gogoro(ゴゴロ)は、バッテリー交換式の電動スクーターを手がける台湾のスタートアップ企業……と言うと、彼らは「違う」と主張するだろう。車両だけでなく搭載するバッテリーやバッテリー交換ステーション、それらを円滑に運用するネットワークなど「電気エネルギーのプラットフォーム」を手がける企業であるとGogoroでは説明している。

石垣島で使われる車両はGogoroの「2シリーズ」。
それではまず本題に入る前に、Gogoroが展開するシェアリングサービスについて紹介したい。同社は台湾全土をはじめベルリン(ドイツ)、パリ(フランス)ですでに電動スクーターのバッテリーシェアリング事業を展開している。Gogoro車に乗るユーザーは、各所に設置された「GoStation」と呼ばれる充電ステーションから充電済みのバッテリーを取り出し、残量の少なくなった自車のバッテリーと交換することができるという仕組みだ。

リチウムイオンバッテリーはパナソニック製を採用し、独自のボディに収納。
GoStationはモジュール化されていて、需要に応じてバッテリー収容数を増減できる。

そのGogoroと住友商事が戦略的パートナーシップ契約を締結し、日本での展開をスタート。その第一歩としてe-SHARE石垣が設立され、石垣島でのシェアリングサービス「GO SHARE」が2月5日から始まった。

GO SHAREは島内4ヶ所に設置したGoStationと、100台のGogoro製電動スクーターで実施。現状では、島を訪れた観光客に車両を貸し出し、島内を自由に走り回ってもらうことがおもな目的となっている。

右からe-SHARE石垣の高橋良幸社長、住友商事モビリティサービス事業部の緒方剛副部長、石垣市長の中山義隆氏、沖縄ツーリストの東良和会長、住友商事九州の前田恒明社長。
ただし、今後も観光客向けのサービスだけがe-SHARE石垣のビジネスというわけではない。記者会見の冒頭で挨拶した石垣市長の中山義隆氏は、新しい観光ツールとしての活用を期待しているだけでなく「このサービスを足がかりに、再生可能エネルギーを活用したEVなどの普及推進が図れるものと期待している。災害に強いまちづくりにも貢献できると思っている」と語っている。またe-SHARE石垣の高橋良幸社長も「エコアイランドという単語を切り口に、地域や観光客のみなさま、すべての人たちに愛される会社を目指す」と語っている。

つまり観光客だけでなく島民を含めたすべての人に、バッテリーに蓄えた電力を供給することが目的なのだ。電動スクーターにも搭載されるバッテリーは、車載用というよりも「パーソナルモビリティも動かせる、大きなモバイルバッテリー」と捉えれば、活用可能性が一気に拡大することを想像するのはたやすい。

石垣市役所の駐車場にもGo Stationが設置された。
とはいえ、現在のところスタートしているのは、観光客向けのスクーターでの運用のみ。ここでの魅力は、受付カウンターで車両のシェアリング手続きをおこなって借り出せば、あとは島内を自由にツーリングできるという点だ。

多くの日本人は「それならレンタカーのほうがいいんじゃない?」と思うかもしれない。しかしもともと人口とクルマの少ない石垣島にとって、レンタカーの増加は市街エリアでの渋滞発生に直結する問題になりかねない。また排ガスの影響で、島の財産である自然環境が破壊されてしまっては元も子もなくなってしまう。そこで電動スクーターでのツーリングそのものを「楽しい体験」として提供することで、積極的に環境負荷の少ない移動手段を選んでもらおうとしているわけだ。

GO SHAREの車両は鮮やかなミントブルー。同時に貸し出されるヘルメットも同じ色にされている。
市役所からおよそ18km離れた川平湾に設置されたGoStation。

現在のおもなターゲットユーザーは、クルーズ船で訪れるアジア各国からの観光客。Gogoroの地元台湾をはじめ香港や中国の沿海部に住む人は、もともと電動スクーターや電動自転車に乗り馴れている人も多い。そうした人たちに向けて、バスやレンタカーで観光スポットを巡るだけでは得られない、島のすべてを体感できる移動手段で新しい魅力を感じてもらおうというのが狙いだ。

石垣港離島ターミナルで車両貸し出し手続きは行える。
記者会見には、沖縄ツーリストの東良和会長も参加した。同社が手がけるレンタカー事業にはインバウンド向けのノウハウが豊富にあり、これをe-SHARE石垣に提供するという。同時に国内外の旅行会社へのアプローチも支援すると説明。「石垣の観光アクティビティの魅力向上を手始めに、他の離島や沖縄本島、そして全国にもGogoroが普及していけばと考えている」と東会長。e-SHARE石垣を人材面でサポートする住友商事九州の前田恒明社長も「将来的には、この事業を石垣から沖縄本島、九州に展開することを希望している」と語った。

ちなみに現在はユーザー登録や車両の予約、借り出しなどをスマートフォンでおこなえるアプリを開発中で、これがリリースされた後に島民や仕事で訪れた人など、観光客以外のユーザーにも対応を予定しているとのこと。アプリのリリース予定は5月と発表されている。

住友商事モビリティサービス事業部の緒方剛副部長は、シェアリング事業を通じて「スマートシティ等の次世代のエネルギーサービス構想の実現を目指し、地球環境の共生、地域と産業の振興に貢献していきたい」と展望を語っている。実際すでに石垣島に続く第2の電動スクーター&バッテリーシェアリング事業の実現に向けて、いくつかの都市と話し合いを進めているところだという。

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