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MVアグスタ、モトグッツィ、ラベルダの代表作をじっくり観察|1970~1980年代のイタリアンクラシックが集う、ラウンドミーティング③

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日常的なバイクライフではめったに遭遇することがない、イタリアのクラシックバイクが集うラウンドミーティング。今回はこのイベントの参加車の中から、MVアグスタ750S、モトグッツィ850ルマン、ラベルダ750SFCの3台を紹介しよう。

REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)

1972~1974 MVアグスタ 750S

GPレーサーの技術を転用した並列4気筒車

量産車と呼べるほどの台数は製作されなかったものの、世界GPで培った技術を転用したモデルとして、MVアグスタは1968年に、並列4気筒を搭載する600GTを発売した。ただし、同社の創設者であるドメニコ・アグスタ伯が、プライベーターが勝手にレースに参戦し、MVの名を汚すことを憂慮したため、600GTはイタリア車らしからぬ、実用車然としたスタイルを採用。言ってみれば当時のMVアグスタは、せっかくの革新性(この時代の公道用並列4気筒車は、NSUのエンジンを転用したミュンヒ・マンモスと600GTのみ)を自らで放棄したのだ。

とはいえ、600GTの販売がまったく奮わなかったことに加えて、1968年秋の東京モーターショーでホンダが発表したCB750フォアが、アグスタ伯のヤル気に火をつけたのだろうか、1969年秋のミラノショーでMVアグスタは、これぞイタリアン!と言いたくなる、流麗なスタイルの750S:スポルトを公開する。CB750フォアの3倍以上という価格を考えれば、間違っても一般的なモデルではなかったけれど、1972年から発売が始まった750Sは、世界中の多くのライダーから羨望の眼差しを集め、同社のブランドイメージ向上に大いに貢献したのである。

もっとも750Sは、1970年代初頭の大排気量車界をリードするようなモデルではなかった。67psの最高出力や198.1km/hの最高速は、CB750フォアと同等だったものの、1950年代のGPレーサーを彷彿とさせる構成のフレーム+スイングアームや、あえてシャフト式とした後輪駆動は、既存の600GTとほとんど同じだったのだから。ただし、MVフォアの豪快にして爽快なフィーリングを愛する750Sオーナーにとっては、現役時代も現在も、そのあたりは取るに足らない問題のようだ。

ディティール解説

大アップハンドルだった600GTに対して、750Sはイタリア車らしいセパレートハンドルを採用。アルミパネルにマウントされる計器はベリアで、1本引きのスロットルはトマゼリ。左右スイッチボックスはアプリリア。
DOHCヘッドが誇らしげな空冷並列4気筒エンジンは、67ps/8500rpmを発揮。センター配置のカムギアトレインや、ボールベアリング支持の組み立て式クランク+コンロッドは、ワークスレーサーと同様の機構だった。
1/2番と3/4番気筒でフロート室を共有するキャブレターは、デロルトUHB24。ホンダCB750フォアがφ28mm、カワサキZ2がφ26mmだったことを考えると、かなり控えめな口径だ。
φ35mmフォークはチェリアーニで、リアショックはセバック。前後18インチのアルミリムはボラーニ。撮影車のφ230mmフロントドラムはチェリアーニのレース用だが、純正はフォンタナ/グリメカ。
後輪駆動はドライブシャフト+ギア式。スポーツバイクで一般式なチェーン+スプロケット式を採用しなかった理由は、プライベーターのレース参戦を阻止するためと言われている。

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