グネグネなのになぜ効くのか スバルでフレキシブルタワーバーの効能を聞いてみた:モーターファンフェスタ2018
- 2018/04/22
- Motor Fan illustrated編集部
フレキシブルタワーバーという部品をご存じでしょうか。つっかえ棒としての機能を期待しているタワーバーなのに曲がる構造を持つというコレ、一体どのようにして働いているのでしょうか。モーターファンフェスタ2018のスバルブースで、エンジニアの方にお訊きしました。
タワーバーという車体部品を聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。マクファーソン・ストラット式フロントの上側サスペンション取り付け部の左右を棒状などの剛体で連結することで、走行時のボディ変形を抑えるという機能を担います。ボディが入力によって一時的に歪んでしまうと結果としてタイヤの接地面がねらいどおりに確保できなくなり、走行に支障を来してしまいます。クルマを前から見たときに、非装着車の場合は上が開いているコの字であるのに対し、タワーバーによってロの字にするイメージですね。
ところが今度は、ロの字にしたときにも不具合が生じてしまうことがあるというのです。たとえばタイヤが凹凸を越えて荷重が抜けてしまうと、タイヤのグリップは当然充分に発揮できません。ロの字がそのまま回転してしまうイメージといえば伝わりやすいでしょうか。
そこでフレキシブルタワーバーというものが考案されました。関節を持つタワーバーです。
前述のような路面凹凸による入力があったとき、ロの字のうちのコの字の部分は大きく変形せずに、上面だけが折れ曲がることでタイヤの接地荷重抜けを最小限に抑えます。「折れ曲がるような構造だったらつっかえ棒としての機能は果たせないんじゃないですか」と聞いたら、関節がボールジョイントになっているので横からの入力については強く、上下方向の変形のみ許容する構造とのこと。これにより振動が減衰できるわけです。
「しかしですね、振動の減衰というのはそもそもダンパーが担うべき仕事じゃないんですか。そちらで手を打つということはできないんでしょうか」と、ふと湧いた疑問をエンジニアの方にぶつけてみました。すると、ダンパーが減衰を果たすのはもっと入力の大きな領域で、細かい振動や騒音というのは基本的にボディが請け負っているそう。もちろん、どれだけの入力に対していかほど折れ曲がるかという設定に難しさはあるものの、フレキシブルタワーバーの装着によって、ボディの振動減衰と変形抑制の一挙両得が図れるというわけです。
横力への耐性を高めることでひいてはシャシーの動きも期待どおりとなり、結果として走行性能が高められるという理論ですね。なんだかうまく行き過ぎな感もしなくもないのですが(笑)、今度ぜひ装着の有無双方を試してみたいと思いました。
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