三菱造船と三菱日立パワーシステムズ(MHPS)が共同開発した船舶用機能性煙突 画期的な煙突! SOxを除去する船舶用機能性煙突「ACTIVE FUNNEL」 超大型コンテナ船に最適、省スペース性に優れた排ガス浄化装置
- 2018/05/31
- Motor Fan illustrated編集部
三菱造船と三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は共同で、船舶搭載機関の排ガスからSOx(硫黄酸化物)を効率的に除去する船舶用機能性煙突「ACTIVE FUNNEL(アクティブ・ファンネル)」を製品化したと発表した。
船舶用エンジンの排ガス規制も強化されている。その対応策
自動車の排ガスのみならず、舶用エンジンの排ガス規制も年年厳しくなっている。とくに、硫黄酸化物(SOx)の排出規制が技術的な課題となっていた。
「ACTIVE FUNNEL(アクティブ・ファンネル)」は、MHPSが火力発電所向けの排煙脱硫装置などで培った総合排煙処理技術と、三菱造船の船舶エンジニアリング力を融合して実現した排ガス浄化装置である。超大型コンテナ船機関の大出力に対応でき、2020年に全海域が対象となるSOx排出規制の強化に対応して、従来から船舶燃料として使用されてきたC重油の排ガス中の硫黄分を排出規制レベルまで浄化する能力を有しており、さらに省スペースを可能とし、新造船での設計組み込みだけでなく既存船舶への追設も容易な構造となっている。
従来の船舶用煙突は化粧煙突とも呼ばれ、船内に設置された複数機関から導かれる排ガス管を集約し排ガスを大気に放出させる本来の使命とともに、船の顔とも言えるファンネルマークを外表面に描いて広告塔の役割も果たしてきた。ACTIVE FUNNELは、こうした機能に加え、SOx除去機能という高付加価値を新たに備えた先進的な機能性煙突である。
排ガス洗浄方式はオープンループシステムおよびハイブリッドシステムの両方に対応でき、硫黄分濃度3.5%の燃料を燃焼させた排ガス中のSO2(二酸化硫黄)を排出規制に適合する0.1%硫黄分燃料相当まで低減することができる。
ちなみに、オープンループは、海水をくみ上げて排ガスを洗浄した後でその海水を船外に排出する方式。クローズドループは、船内の循環水で排ガスを洗浄した後でその循環水を中和して再利用する方式。ハイブリッドシステムは、オープンループとクローズドループを切り替えられるものである。
ACTIVE FUNNELは、限られた設置スペースに合わせ、最適な形状の排ガス洗浄構造を一体成形できることから、大出力機関を有する超大型コンテナ船でもコンテナホールドの隙間にある狭隘なスペースに設置することができ、貨物積載スペースを侵食することなく、積載可能コンテナ数を維持したまま排ガスからSOxを除去することができる。
MHPSの火力発電所向け排煙脱硫設備は、船の大出力機関から出る排ガスの7倍から20倍にも相当する量を処理する能力があり、この技術を応用することで、高い脱硫性能と信頼性を有した船舶用の排ガス浄化装置とした。今後は、VLCC(20万~31万重量トンの大型石油タンカー)やVLOC(超大型鉱石専用船)にもACTIVE FUNNELテクノロジーを適用し、製品ラインアップを拡充していく。
2020年に全海域が対象となるSOx排出規制強化に際し、排ガス浄化装置はひとつのソリューションとして挙げられているが、三菱造船とMHPSはACTIVE FUNNELの提供を通じて、各船主が保有する船舶の競争力や各造船所で建造が計画される船舶の付加価値を向上させるとともに、排ガス浄化装置普及の一助となることで、海上物流の一層の発展とグローバルな環境負荷の低減に貢献していく。
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