BASF:最新燃料電池技術にUltramid Advancedが採用
- 2020/11/18
- Motor Fan illustrated編集部
Nuvera Fuel Cells社が、BASFのポリフタルアミド(PPA)を新たな45kW燃料電池エンジンの複数部品に採用した。
BASFのポリフタルアミド:Ultramid Advanced N3HG6が、このほど、高馬力なゼロエミッションエンジンを製造するNuvera Fuel Cellsの最新世代の45kW燃料電池エンジンの複数部品の素材として採用された。この燃料電池エンジンは、今後3年をかけて中国の路線バスや配達用車両に導入される予定。
マニホールドやサーモスタット用筐体、逆止め弁、エジェクター、エキゾーストパイプなどの部品には、様々な温度帯での安定した材料特性が必要。Ultramid Advanced N3HG6は高い熱耐性、薬品耐性を示し、優れた機械特性を有するだけでなく衝撃強度や寸法安定性が高く、長期性能も安定している。部品のなかには冷却水や空気、水素の流れにより様々な媒剤にさらされるものもあるが、ポリアミド9T(PA9T)をベースとしたPPA化合物は優れた薬品耐性を示すとともに、反応の起こりやすい燃料電池や電気部品での用途における純度要件も満たす。
NuveraのE-45燃料電池エンジン(45kW燃料電池エンジン)の課題は、アルミダイカスト材を使った様々な部品や高温ホースを高性能プラスチックに置き換え、性能と安全性を維持しつつ燃料電池エンジンを大量生産部品として、生産規模を拡大させるための軽量化ソリューションを見つけることだった。この課題に対し、Ultramid Advanced N3HG6はエンジン部品の安全性と高い品質を実現。優れた剛性と強度、高い強靭性、優れた摩耗挙動を示す。冷却剤での用途に関しては広範な試験を行い、エチレングリコール、水、水素の混合液において、105°Cで10,000~20,000時間の継続使用に耐えることが証明された。BASFのPPAは、非常に低い燃料・気体透過や低揮発性を実現するため、エンジンシステムの腐食やファウリングを防ぐ。
Nuveraのマーケティングおよび政府業務担当ディレクターであるガス・ブロック氏は、次のように述べている。「規制面での要件の拡大に対処しつつ、市場シェアを維持するため、車両メーカーは所有、操作、メンテナンスが容易でありつつ、必要なパワーを提供することが可能な、ゼロエミッションの車を提供する必要があります。燃料電池は、多くの商用車両、産業車両においてこうした需要を満たすための最善の答えです。BASFのPPA、用途に関するノウハウ、顧客に合わせた技術サービスのおかげで、私たちは金属ソリューションよりも低い単価を実現すると同時に、予定通りに市場投入できました。私たちは、初期段階からマニホールドカバーなどの重要部品の設計支援を提供してくれたBASFの迅速さと支援の効果に感銘を受けています」
NuveraのE-45燃料電池エンジンは、バスやトラック、配達用バン、さらには産業用トラック、その他オフロード車両などの中型、大型車両のエンジンとして使用できる。
BASFのPPA担当ビジネス開発マネージャーのジム・ピート氏は次のように述べている。「特に、通常のプラスチックより、条件付きの連続使用温度が高くなりました。当社のプラスチック自動車部品に関する専門知識と、Ultrasimを活用したCAEサポート、幅広いポリフタルアミド製品群で、私たちは様々な燃料電池部品に適切な材料を提供することができました。このアプローチにより、最適なパフォーマンスで、未来のNuveraの主要技術の1つとなる挑戦的な新用途の開発および性能の最適化をサポートができました」
BASFは、独自のシミュレーションツール:Ultrasimを使ったデザイン最適化サービスも提供した。例えばマニホールドの場合は、充填・ゆがみ解析を実施。パラメータを最初に最適化した後、漏れの発生はなく、そのためマニホールドの開発が大幅に速まった。充填解析の際には、BASFとNuveraが溶接線やシーリング、構造強化などの具体的な点に関して議論を重ねた。
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanweb