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あの頃の未来を体現した革新のサイバー・コミューター 【ホンダ・スペイシー80】いま乗りたい、懐かしの名車達 ”80's SCOOTER”

  • 2018/09/23
  • モト・チャンプ編集部
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85年にマイナーチェンジされた後期型のスペイシー80。79ccの新設計エンジンを搭載し、駆動方式を無段階変速に変更。最高出力は6.5psから6psにダウンしたが滑らかな加速感を獲得。撮影車(販売車両)は、積載力をアップするためにフリーウェイ250純正アクセサリーのトプケースを装着している。

 スペースシャトル「コロンビア」が宇宙空間への初飛行を成功させたのが81年。そのため80年代は神秘的な宇宙への憧れが強かった……かどうかは分からないけど、近未来感をムンムンに漂わせた一台をフィーチャー!
REPORT●佐藤恭央(SATO Yasuo)
PHOTO●星野耕作(HOSHINO Kosaku)

ジェントル&ユーモラス ホンダの挑戦的な一台!

 80年代前半のスクーター事情を漢字二文字で表すなら「挑戦」が相応しい。70年代後半からのソフトバイクブームもひと段落し、次の流行を作り出そうと各メーカーが躍起になっていた時期。爆発的ヒットを飛ばしたパッソルをライバル視したタクトやラブ、そしてヨーロピアンテイスト溢れるリード、サリアン、ジェンマなどハイエンドなモデルにも多数ラインナップされ、市場には多種多様なスクーターが乱立していた。
 ただ、その多くは体面的に女性ユーザーをターゲットにしたもので、語弊を恐れずに言えばスクーターは軟弱な乗り物というイメージが強かった。そんな1982年の最中、ホンダから常識を覆す一台が発売された。それがスペイシーである。直線を基調としたシャープな外観は非常にスタイリッシュで、この斬新なデザインは大いに話題を呼んだ。グレードはデラックスとカスタムの二つが展開され、上級モデルのカスタムには、なんとスクーター初となるデジタル液晶メーターを採用!宇宙に思いを馳せる男子諸君ならばこの見た目と装備だけでご飯三杯は軽くいけてしまうが、もちろんその魅力はこれだけに留まらない。
 高級路線のモデルであるためその作りは確かなもので、専用設計のフレームにはスーパーカブC50をベースに開発された5psの4ストエンジンを搭載。2ストが主流の中にあって4ストにこだわったホンダらしいチョイスといえよう。さらに、前後足周りは油圧式ダンパーを備え、その上質な乗り心地に4ストならではの静粛性や燃費性、トルク感が組み合わされて大人の男性が乗るに適した一台に仕上がっている。

 このようにわが道を独走したスペイシーだが3速AT仕様のために変速のタイミングが合わず加速が鈍くなりがちだった。しかし、発売から2年後に無段階変速(Vマチック)へとリニューアルされたことでネガも払拭。さらなる人気獲得を後押しした。なお、スペイシーには兄弟分が存在し、二人乗りを可能にしたスペイシー125ストライカーがラインナップされている。このスペイシーシリーズは80年代で姿を消したものの、03年にスペイシー100としてリバイバル! 近未来感は薄れてしまったけれど、そのタフネスさと実用性の高さから多くの人のアシとして活躍し、バイク便でも数多く導入されたのは記憶に新しい。

 結果から言えば、80年代のスクーターは「そこそこ安いスポーツ路線」が大正義だったのだが、スペイシーのような遊び心が溢れるマシンもまたホンダのチャレンジスピリットがもたらした功績なのだ。

車のボンネットのように開くボディ一体型のフロントカバー内には、イギリス・スコットランド出身の歌手、シーナ・イーストンのLPレコードがジャストフィット!万一の折れなどに気を遣わず運搬できた。その他の収納力はプラグや携帯工具など小物が入る程度だ。
センターにデジタルスピードメーターを配し、右に電圧計、左に燃料残量計、下部にオドメーターや警告灯などをセット。電圧計もスクーターでは初採用だ!なお50のデラックス及び後期型では指針式となっている。
80のみに設定されているタンデムステップはスタイリッシュな可倒式。TDF津田氏いわく「ステップの取り付け部分が金属製で錆びている場合もあるので注意!」とのこと。
タンデム向けに厚みを増して全長も伸ばした80専用シート。もちろんトランクはなくシート下にはバッテリーと燃料タンク(容量5ℓ)があるのみ。
デザイン性に富んだ2ピース構造のコムキャストホイールもスペイシーの特徴だ。これに3.50-10の当時としては太めのタイヤとφ110サイズのドラムブレーキを備える。
シート下位置にあるカバーは簡単に取り外しが可能で、メンテナンスが容易に行える。また50/80ともに後期型からは外気を導入するダクトを採用しており、駆動ベルトの耐久性が向上。
「現代の交通事情と照らし合わせると、お世辞にも十分とはいえない制動力とフワッフワの乗り心地は、良い意味でアメ車感覚。深く沈み込むシートに身を預ければ飛ばす気になんてならない。エンジンは元気だからディスク化して通勤に使いたい!」(モトチャンプ編集部・サンタサン)

ホンダ製「近未来」ブラザーズ

水冷7.2ps! ビート:7.2psのフルパワーを発揮する2スト49ccエンジンに独自の排気デバイス"V-TACS"を採用。個性的な外観と俊敏は走りで一目置かれる存在に!
91km/ℓの低燃費! リーダー:リードシリーズの派生車種。ウイング調のリヤキャリアやスクーター初のバーグラフ式液晶タコメーターなどで一部マニアから注目を集めた。
斬新さはNO.1!? ストリーム:ホンダ製スリーターの第一弾。スイングユニット式の三輪というだけでも当時としては斬新なのに、その出で立ちも未来感たっぷり!

モトチャンプ2018年9月号

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