今もファンが多し! カワサキ KSR110はクラッチ操作不要。クラッチ操作ありの「KSR PRO(プロ)」も選べる! 今でも欲しい隠れた名車「カワサキ KSR110」! 実はクラッチ操作なしだから小型AT免許で乗れる【全カラー&全モデル掲載】
- 2019/10/19
- MotorFan編集部 北 秀昭
2ストロークエンジンを搭載した攻撃的なモデル、KSR-Ⅰ(49cc)/ Ⅱ(79cc)。排ガス規制によって生産終了となった両モデルに変わり、2003年に登場したのが「KSR110」。クリーンで低燃費な4ストローク111ccエンジン搭載のKSR110は、ストリート、カスタムベース、レースなど幅広く愛されたマルチなモデル。スーパーカブと同じ、左手でのレバー操作を省いた自動遠心式クラッチを採用したKSR110をクローズアップ!
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
モタードルックのスパルタンな外観、パワフルな8.4馬力の111ccエンジン、贅沢な足周りながら、リーズナブルな価格を実現!
2003年(平成15年)登場 カワサキ KSR110
オフロードバイクを可愛くデフォルメした独創的なスタイリングに、本格的なメカニズムを随所に投入したモデル「KSR110」。ミニサイズならではの機動力で、街乗り、通勤&通学、ツーリングまでもこなす、絶版となった今でも人気のマルチパーパスな1台だ。
コンパクトなボディながら、精悍なフロントフェイスを形成するヘッドライトカウル、レーシーなルックスを演出するボリューム感のあるシュラウド、跳ね上がったテール周りのデザインなど、ストリートに映える、シャープでエッジの効いたスタイリングが特徴。
フレーム・足周り・外観のベースは、2ストロークエンジンを搭載したKSR-Ⅰ(49cc)/ Ⅱ(79cc)。パワーユニットは、オフロード競技用モデル「KLX110」の4ストロークエンジンをベースとしている。
エンジンは空冷4ストロークOHC単気筒111cc。腰上部分(シリンダーヘッドとシリンダー)をフロントタイヤ方向にレイアウトした、スーパーカブ、モンキー、ゴリラなどのホンダ製モデルと同じ、“横型レイアウト”に設計。
最高出力は8.4馬力。低回転域から太いトルクを発生させるとともに、優れたスロットルレスポンスを発揮。吸排気の最適化とキャブレターのセッティングにより、排出ガス中の有害成分を抑え、静粛性を高めているのもポイントだ。
ミッションは、N→1速→2速→3速→4速へとシフトする、独特の「ボトムニュートラル式リターン」を採用。また、クラッチはスーパーカブにも採用の、左手の操作を省いた「自動遠心式(AT小型限定免許で乗車可能!)」を導入。ギアチェンジの楽しさを残しつつ、スタート時や変速時のクラッチ操作は不要として、イージーなライディングを可能としている。
カワサキ KSR110の細部をチェック
レースにも即対応!「KSR110」はゼイタクでスポーティーな機能を、バーゲンプライスにて実現!
足周りは、フロントサスペンションにインナーチューブ径Φ30mmの倒立型フォーク。リヤサスペンションは、スタビライザー付き角型スイングアームに、シングルショックを組み合わせた本格的なつくり。
オンロードパターンのチューブレスタイヤを装着した12インチのホイールには、ローター外径フロントΦ200mm、リヤΦ184mmの油圧ディスクブレーキを装備して、制動時の信頼性を大幅に高めている。
燃料タンクは7.3Lの大容量を確保。55km/Lという低燃費によって、給油の回数を低減。スピードメーターはホワイトパネル。表示を大きくして視認性を高めるとともに、ニュートラルやターンのインジケーターランプも見やすく配置している。また、キー操作で取り外しができるシート下には、ツールキットとMF(メンテナンスフリー)バッテリーを収納。ダブルシートやタンデムステップなど、タンデム(2人乗り)の走行機能を省き、乗車定員は1名のみ。
またチューニングにも耐えうる耐久性の高いエンジンや、前後ディスクブレーキや倒立型フロントフォークなど、ポテンシャルは極めて高く、贅沢な機能を与えられながらも、25万円前後というバーゲンプライスを実現したことも魅力の一つ。ライバル車のモンキーやエイプなどに比べ、低予算で、しかも容易に過激な走りを楽しめるのも特徴といえる。
生産はタイカワサキ。排ガス規制の厳格化によって、日本仕様車は2009年モデルをもって生産終了となった。
KSR110は4速ミッション採用車なのに、AT免許でも乗れるって本当?
2018年7月に道交法が改正され、110ccスクーターや125ccスクーターなどの原付2種スクーターに乗車できる「普通二輪小型AT限定免許(以下、AT小型限定免許)」は、普通自動車免許を持っていれば“最短2日”で取得可能となった。
「AT小型限定免許=スクーター専用」というイメージが強いだろう。しかしこの免許は、原付2種のKSR110を始め、スーパーカブ110、スーパーC125、クロスカブ110も運転できるのがポイント。その理由は……
“AT限定”という言葉は、「ミッション(ギヤ)操作の有無」のことではなく、「左手でのクラッチレバー操作の有無」を意味するものだから。
そのため、KSR110、スーパーカブカブ110、スーパーカブC125などは、4速リターン式の変速機構ながら、クラッチレバーの操作を省いた「自動遠心式クラッチ」を採用しているため、AT小型限定免許で運転できる。
スーパーカブ110やクロスカブ110は4速ミッションなのに、AT免許でも乗れるってなんで?
「マニュアルクラッチ化」も可能!KSR110はチューニングパーツが豊富だから、イジッても楽しい!
KSR110は、スポーツマフラー、ボアアップキット、マニュアルクラッチキット、スポーツミッションキット、強化型リヤショック等々、誰でも手軽に装着できる、専用ボルトオンパーツも各種ラインナップ。そのため、絶版後もカスタムベースとして非常に人気が高い。
■スポーツマフラー
ノーマルよりも“抜け”を良くすることで、潜在的なエンジンパワーを引き出すことが可能。ノーマルと同じ取り回しのアップタイプ、イメージが大きく変わるダウンタイプなど、様々なタイプがある。
■ボアアップキット
「もう少し(もっと)パワーが欲しい!」という人に最適。KSR110用は125cc、138cc、143cc、160cc、178cc、4バルブバージョンなどがある。
■マニュアルクラッチキット
左手でのクラッチ操作を省いたノーマルの「自動遠心式」を、「マニュアル式」に変更するキットもリリース。市販のクラッチ付きミッション車と同様、スポーティーでキレのある走りが体感できる。
■スポーツミッションキット
ノーマルのKSR110は、「ニュートラル・1速・2速・3速・4速」の順でシフトするボトムニュートラル式。これを一般的なスポーツモデルと同じ、「1速・ニュートラル・2速・3速・4速」の順で、しかもスポーティーなギアレシオでシフトできるキット。ノーマルのギヤ比を一部変更した4速ミッションに加え、5速クロスミッションキット、6速クロスミッションキットもラインナップ。
マニュアルクラッチ付きのスポーツ仕様 カワサキ KSR PRO(プロ)
左手でのクラッチ操作を省いた「自動遠心式クラッチ」採用のKSR110をベースに、マニュアル式4速リターンミッションを採用した、スポーティーな「KSR PRO(プロ)」。
前後ホイールはKSR110とは異なる、スポーティーかつ軽量な12インチキャストを装備し、フロントカウルなどの外装も変更。なお、KSR PRO(プロ)をベースに、ダート用タイヤやアジャスター付きリアショックを備えた「KSRダート」もあり。「KSR PRO(プロ)」と「KSRダート」はタイカワサキで生産され、日本にも平行輸入されている。価格は30万円前後(2019年10月現在)。
≪KSR110との主な違い≫
・クラッチレバー付きのマニュアルミッションを採用
・下から1速-N(ニュートラル)-2速-3速-4速の「1ダウン3アップ式」の4段リターンミッションを採用
・最高出力を8.4ps→8.6ps、最大トルクを 0.83kgm→0.88kgmにアップ
・始動方式はキックスターターに加え、セルスターターを装備
・肉抜き処理を施した5スポーク型の12インチキャストホイールを採用
・フロントマスク等の外観を変更
・ホイールベースを1165mm→1170mmに拡大
・全長、全幅、全高、シート高を拡大
なお、ギアレシオはKSR110もKSR PRO(プロ)も同じ。
1速 3.000(36/12)
2速 1.937(31/16)
3速 1.350(27/20)
4速 1.087(25/23)
●KSR PRO(プロ)のSPEC
全長:1725mm/全幅:740mm/全幅:1020mm/ホイールベース:1170mm/シート高:750mm/重量:95kg/燃料タンク容量:7.3L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒111cc/ボア×ストローク:53.0mm×50.6mm/圧縮比:9.5/最大出力:8.6ps/8000rpm/最大トルク: 0.88kgm/6000rpm/点火方式:CDI式/変速機:4速リターン/クラッチ:湿式多板マニュアル式/タイヤサイズ:前後100/90-12
カワサキ KSR110 歴代モデルをチェック
2004/2005年モデル ライムグリーン/ブレイジングオレンジ/シュネーホワイトの3色
2006年モデル ライムグリーン/ギャラクシーシルバー/キャンディサンダーブルーの3色
2007年モデル ライムグリーン/ファイアクラッカーレッド/ブルーの3色
2008年モデル ライムグリーン/エボニーブラック/オリエンタルブルーの3色
2009年モデル(ファイナルカラー) エボニーブラック×ライムグリーン
国内仕様のファイナルモデル。価格は27万2000円(税込)。外装パーツのカラー変更の他、フロントフォークのアウター部もブラックカラーに変更された。
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい!
原付免許で乗れるのか……? ハーレーダビッドソンの電動バイク...
- 2019/01/27
- ニューモデル
CBR250RRの贅沢な乗り味はライバル250ccスポーツを圧倒する【...
- 2019/01/23
- ニューモデル
【上下で5800円】“あのワークマン”が本気でバイク用レインウ...
- 2019/03/08
- ニュース・トピック
【トルク3割増】PCXハイブリッドの150cc版に試乗! スタート...
- 2019/08/14
- ニューモデル
出川哲朗「充電させてもらえませんか?」の電動バイクを真面...
- 2019/02/16
- ニューモデル
加速は? 距離は? 電動バイクって実際どうなの? ホンダ PCX...
- 2019/10/11
- ニューモデル
解決します! 交通ルールの素朴なギモン
あおり運転は百害あって一利なし! でも、もしかしたら被害者...
- 2019/09/28
- トピック
【上半身ハダカでバイク運転は許される?】法律上の露出度の...
- 2019/08/12
- ニュース・トピック
【半キャップでのヘルメットで大型バイクは乗ってよい?】現...
- 2019/08/11
- ニュース・トピック
これで完璧!クルマの乗車定員と子供の数え方。【シートベル...
- 2019/08/10
- トピック
自転車用や工事用ヘルメットでバイクを運転!はナニ違反?【...
- 2019/07/18
- ニュース・トピック
50ccで義務の二段階右折。義務のない125ccの原付二種でやった...
- 2019/05/08
- ニュース・トピック
3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説
3分でわかる! スーパーカブのエンジンが壊れない理由……のひ...
- 2019/10/01
- トピック
3分でわかる! マツダのSKYACTIV-X(スカイアクティブ-X)っ...
- 2019/11/18
- トピック
スーパーカブとクロスカブの運転が楽しいのは自動遠心クラッ...
- 2019/08/20
- トピック
ホンダCB1100の並列4気筒にはなぜV8のようなドロドロ感がある...
- 2019/07/09
- コラム・連載記事
ホンダ・シビック タイプRの謎、4気筒なのになぜマフラーが3本?
- 2019/06/20
- ニュース
3分でわかる!アシスト&スリッパークラッチって何? 250ccか...
- 2020/01/25
- トピック