Motor-Fan[モーターファン]|自動車最新ニュース・速報、試乗記など、クルマとカーライフを楽しむサイト

  • Motor-Fan[モーターファン]
  • モーターファンテック
  1. TOP
  2. バイク
  3. ニューモデル

ホンダCB650R試乗レポ|100馬力、200kg、100万円、だいたいそれぐらいがちょうどいい。

このエントリーをはてなブックマークに追加

昨年3月のデビューから早1年以上が経った「CB650R」。ホンダ伝統の直4エンジンを搭載した新世代のミドルネイキッドの魅力をあらためて探ってみた。

REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●星野耕作(HOSHINO Kousaku)/山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

目次開く

ホンダ・CB650R……979,000円(消費税込み)

ホンダ直4の醍醐味を誰でも楽しめる

FからRへ、スポーツ寄りに進化

すべてにおいてベストバランス

■CB650Rディテール解説

ホンダ・CB650R……979,000円(消費税込み)

ホンダ直4の醍醐味を誰でも楽しめる

 ホンダと言えば直4。CB750 FOUR以来、その性能とパワーと存在感で世界のバイク業界をリードしてきた直4エンジンこそホンダの魂と言える。その後の進化は言わずもがな。先頃発表されたCB-Fコンセプトとその元祖CB750Fや、プロジェクトBIG1から始まる現行CB1300/1100シリーズしかり、そして最先端のCBR1000RR-Rも含め直4エンジンがホンダの屋台骨であることに異論の余地はないはず。その中で、最大公約数のライダーが安心して直4エンジンの醍醐味を楽しめる中量クラスのスタンダードモデルが「CB650R」なのだ。

FからRへ、スポーツ寄りに進化

 CBR650Rのルーツは1980年代に登場した欧州向けのオールラウンドスポーツCBR600Fである。そこからサーキット性能重視で進化したCBR600RRはすでに生産終了となってしまったが、一方で排気量を拡大しつつストリートでの扱いやすさや使い勝手の良さにフォーカスしたのが先代CBR650Fとネイキッド版のCB650Fである。
 その最新版であるCB650Rはスタイリングが一新され、兄貴分であるCB1000Rや弟分であるCB250RやCB125Rなどシリーズ共通とした“ネオスポーツカフェ”デザインを採用しているのが特徴だ。また、このマシンの素性を解き明かす上で、従来型からネーミングが変わったことが大きなヒントとなっている。日常使いもできる万能型を表す「F」からよりスポーツ志向の「R」へと語尾が改名されたのだ。
 スペック的にも伝統の水冷直4エンジンは先代から5ps増の95psに、車重は同じく6kgダウンの207kgへと減量しつつマス集中化も一層進められ、足まわりも倒立フォークにラジアル4Pブレーキを採用するなどトータル的にパフォーマンスが底上げされている。

すべてにおいてベストバランス

 直4エンジンの胸のすくような伸び切り感と高周波サウンド、緻密な回転フィールはホンダならでは。程よいパワー感でちゃんとスロットルを開けてエンジンを回せるのが良い。ハンドリングは軽快だが鋭すぎず、コーナーに向けての倒し込みなどでは大型バイクらしい重厚感もある。低速域では倒立フォークとカンチレバー式のリヤサスがやや硬めの印象を受けたが、マシンのキャラを考えたらもう少ししっとり感があっても良かった気もする。別の機会にフルカウル仕様のCBR650Rに乗ったときはフロントのねっちりした接地感が印象的だったが、車重やライポジの微妙な違いが関係しているのかもしれない。ペースを上げて攻めていくとイイ感じなのだが……。また、ABSとトラコンに加え、急ブレーキ時にハザードランプを高速点滅させる機構も付くなど安全面に抜かりがないのはホンダらしい。

 ちなみに新型CB650R/CBR650Rの開発で目指したのは“ちょうどよさ”という。650ccという排気量や性能、デザインや質感と価格などのバランスを最大限に狙ったモデルなのだ。その上で、パワーでおよそ100ps、車重で200kgという人間が本当の意味で扱える上限辺りのパフォーマンスを約100万円に収めたコスパも見事。まさに全部がちょうどいい加減なのだ。よりスポーティな乗り味や長距離での快適性を求めるならフルカウル版のCBR650Rだが、普段使いの手軽さではネイキッド版のCB650Rに軍配が上がるだろう。大型バイク初心者やリターン組にもおすすめしたい一台だ。

■CB650Rディテール解説

水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ648ccエンジンは従来比5psアップの95ps/12000rpmを発揮。ダウンドラフト式吸気レイアウトの改良により高回転域までストレスなく一気に吹け上がる直4らしさを実現した。しなやかな剛性感のスチール製ツインチューブフレームとの相性も良い。
フロント足まわりはφ310mmダブルディスク&ラジアルマウント4Pキャリパーに倒立フォークを組み合わせるなど本格的。新デザインのアルミホイールは前440g、後530gの軽量化により軽快なハンドリングに貢献。
リアはφ240mmシングルディスクとシングルポッドキャリパーを装備。前後ともブレーキはニッシン製でABSを標準装備。スイングアームはアルミ製だ。マフラー排気口はサウンド効果を引き出す角度に改良されている。
リアサスペンションはリンクを介さないシンプルな直押し(カンチレバー)タイプのモノショックを採用。スイングアームとの締結部にピロボールを使い作動性と路面追従性を向上させている。プリロード調整機構付き。
ネイキッドらしいシンプルなコックピットまわり。アルミテーパータイプのハンドルバーはほぼフラット形状で従来モデルと比べてやや前傾したライポジになる。ミラーは大きくて見やすい。
前後別体式のシートは機能美が光るデザイン。フロント側は足着き性を高めるため前部分を絞り込んだ形状になっている。リア側はコンパクトに見えて座面はけっこう広い。
リヤシート下には小スペースがあり小物やETC車載器などを収納可能。
新設計のLEDテールランプを採用。レンズには発光を増幅させるカットを取り入れるなどコンパクトながら被視認性に優れるデザイン。ヘッドライトやウインカーを含む全灯火器類にLEDを採用するなど高級感もある。
液晶サイズを最大化したフルフラットメーターを採用。薄型コンパクトな中に情報を凝縮して表示するデザインがクールだ。ギアポジション、水温、シフトアップインジケーターなどを表示。ピークホールド機能がスポーツマインドを刺激する。

佐川健太郎(ケニー佐川)

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。

おすすめのバックナンバー

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい!

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい! 一覧へ

解決します! 交通ルールの素朴なギモン

解決します! 交通ルールの素朴なギモン 一覧へ

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説 一覧へ