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2020モーターファンテックエキスポ:NTN株式会社 NTN:従来比62%減(!)を達成した超低フリクションハブベアリング
- 2020/06/02
- Motor Fan illustrated編集部
回転フリクションを従来品比で62%低減、車両燃費を約0.53%改善したハブベアリング。「低フリクションハブベアリングⅡ」で用いたラビリンス付き低フリクションシールの適用に加え、低フリクショングリースを新たに開発・適用したことで、従来品から回転フリクションを大幅に低減しました。近年、グローバルで自動車の燃費向上やCO2排出規制の強化が進む中、本商品は自動車の省燃費・電費化ならびに環境性能の向上に貢献します。
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低フリクションハブベアリングⅢ
近年、世界各国で環境規制の強化が進み、車両走行時の消費エネルギーの削減が重要となる中、ハブベアリングにはこれまで以上に低フリクション化が求められています。
NTNは、材料やグリース、シールなどの改良を重ねることで低フリクション化に対応し、2017年までに「低フリクションハブベアリングⅠ、Ⅱ」を開発してきました。
軸受のフリクションは、シール部の滑り抵抗と軸受部の転がり抵抗に大きく分けられます。「低フリクションハブベアリングⅡ」は、独自のラビリンス付き低フリクションシールの適用と、軸受内部に封入する低フリクショングリースの開発により、これらの抵抗を抑えた商品です。シールには専用グリースの適用と、軸受と直接接触する先端リップの枚数の削減によりフリクションを低減。ラビリンス(すきま)の設置や、泥水がシール内部に侵入した際においても排出されやすいシール形状の採用により、耐泥水性も確保しています。
「低フリクションハブベアリングⅢ」は、低フリクションと耐泥水性を両立するラビリンス付き低フリクションシールの適用に加え、新開発の低フリクショングリースの採用により軸受部の転がり抵抗をさらに抑えた商品です。グリースの開発に際して、軸受寿命の確保が課題となりました。グリースの粘度を抑えれば回転フリクションは低下しますが、油膜切れによる軸受損傷の懸念が高まります。そのため、従来品と同等以上の軸受寿命の確保と低フリクション化を両立する新グリースの開発に主眼を置き、開発を進めました。
グリースを構成する基油・増ちょう剤・添加剤を見直し、これらすべてについて複数パターンの検討を実施し、最適な組み合わせを導き出しました。また、本グリースは低温においても硬くなりにくい仕様とし、低温環境化における耐フレッチング性能も向上。過酷な環境下における使用にも対応することができます。