♯1 生粋のスーパースポーツでの街乗りは苦か楽か……Ninja ZX-10R SEで出かけてみた。/カワサキ
- 2019/06/05
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MotorFan編集部
都内から相棒のNinja ZX-10R SEを飛ばし、筑波サーキットへ。道中もなかなか楽しませてもらったが、やはり本領を発揮するのは200km/h以上のステージだと再確認した。
REPORT●後藤武 PHOTO●長谷川 徹
カワサキ Ninja ZX-10R SE……2,656,800円
WSBで大活躍しているスーパースポーツがZX-10Rだ。クラス最速を狙って作られただけに、そのポテンシャルは素晴らしく最高出力はなんと203ps。先にレース用ホモロゲモデルのRRが発売されていて、今回試乗したSEは、ストリートで使用を考慮して作られている。最大の特徴はカワサキ初の電子制御式セミアクティブサスペンションKECSを採用したということ。
設定したモードをベースに、走る状況に応じて減衰をリアルタイムで調整するという優れもの。このサスペンションのおかげでサーキットの速さを追求したスーパースポーツでありながら、ストリートでの乗りやすさも兼ね備えている。
リッタークラスのスーパースポーツっていうのは、各メーカーが妥協無しに全精力、技術を注ぎ込んでサーキットで一番速く走ることを徹底的に追求している。「ストリートでの乗りやすさは、他のカテゴリーのバイクにまかせとけ」的な考えだ。そんな中でZX-10RSEが、どれくらい快適に走ることができるのか、実際に都心の渋滞路、一般道、高速、サーキットと走ってみようというのが今回の企画。
実際に高速道路や一般道路を走ってみての感想は、予想外に快適だということ。なんといっても電子制御サスペンションの性能が素晴らしい。サスがしなやかに動くだけでなく、モードを変えればハンドリングまでも変化する。
通常、サーキットでの速さを狙ったセッティングにすると低速ではサスが動かず、思った通りにバイクが動かなかったりするのだけれど、ZX-10RSEは、電子制御式サスのおかげで常用域でもサスがしなやかに動いてくれる。だからスーパースポーツなのに一般道をノンビリ走っていても気持ち良くバンクしていく。
203psのエンジンは、低回転からトルクがあるし、どのモードで走ってもスロットル操作に対して過敏に反応しないからとても扱いやすい。一般道では5000rpm以下で走ることになるのだけれど、13500rpmで最高出力を発揮する高回転型エンジンでありながら、低回転のトルクが太いのでキビキビと走ることができてしまう。
個人的に気に入ったのはエンジンのフィーリングだ。低回転で荒々しいエンジンの鼓動感がある。このエンジン特性とハンドリングのおかげで、市街地を走ってもストレスを感じない。高速道路に入って速度が上がると、風で状態が持ち上げられるから、腕の力も抜ける。スーパースポーツの一般道ということで、かなり覚悟していったのだけれど、予想していたよりもずいぶん扱いやすく、楽しく走ることができた。
サーキットでのパフォーマンスや電子機器の性能向上が注目されがちなスーパースポーツだが、一昔前のスーパースポーツに比べて最も大きく進化しているのは、実はこういう扱いやすさの部分かもしれない。
ただ、これも長く走り続けると話が変わってくる。前傾姿勢ゆえの首の負担は大きいから、人によっては長時間のライディングが厳しくなってくる(この点は個人差が大きい)。ZX-10RSEならずとも、スーパースポーツに乗るのであれば、覚悟しておかなければならない点である。
足つきチェック(ライダー身長180cm)
Ninja ZX-10R SE 主要諸元
車名(通称名):Ninja ZX-10R SE
マーケットコード:ZX1002HKF
型式:2BL-ZXT02E
全長x全幅x全高:2,085mm×740mm×1,145mm
軸間距離:1,440mm
最低地上高:145mm
シート高:835mm
キャスター/トレール:25.0°/ 107mm
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC4バルブ
総排気量:998cm³
内径x行程/圧縮比:76.0mm×55.0mm/ 13.0:1
最高出力:149kW(203PS)/13,500rpm ラムエア加圧時:156kW(212PS)/13,500rpm
最大トルク:114N・m(11.6kgf・m)/11,200rpm
始動方式:セルフスターター
点火方式:バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:3.7L
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常噛6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ:
1速 2.600 (39/15)
2速 2.222 (40/18)
3速 1.944 (35/18)
4速 1.722 (31/18)
5速 1.550 (31/20)
6速 1.391 (32/23)
一次減速比 / 二次減速比:1.681 (79/47)/2.294(39/17)
フレーム形式:ダイヤモンド
懸架方式 :
前 テレスコピック(倒立・インナーチューブ径43mm)
後 スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)
ホイールトラベル:
前 120mm
後 114mm
タイヤサイズ :
前 120/70ZR17M/C (58W)
後 190/55ZR17M/C (75W)
ホイールサイズ:
前 17M/C×MT3.50
後 17M/C×MT6.00
ブレーキ形式:
前 デュアルディスク 330mm (外径)
後 シングルディスク 220mm (外径)
ステアリングアングル (左/右):27°/ 27°
車両重量:208kg
燃料タンク容量:17L
乗車定員:2名
燃料消費率(km/L):
※1 21.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
※2 16.8㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)※3
最小回転半径:3.4m
カラー:メタリックカーボングレー×メタリックフラットプラチナグレー(GY2)
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
後藤 武
オートバイ誌クラブマン元編集長。顔に似合わず繊細な感覚の持ち主で、各車の違いを読み取る。
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