小径ホイールのメリットは? チューニングの可能性にも注目! グロムは走って遊べるバイクの筆頭! 隠されたスポーツ性能を引き出すべし! /ホンダ
- 2019/07/09
- 佐藤恭央
普段使いからツーリング、さらにはレースベース車も発売されてコンペティションでも活躍しているオールマイティなグロム。2016年のマイナーチェンジでより一層シャープなフォルムに変貌を遂げて近代的なスタイルとなったこの車両をあらためて試乗したら、噛むほどに魅力が深まる一台ということを発見!
REPORT⚫️川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO&EDIT⚫️佐藤恭央(SATO Yasuo)
ホンダ・GROM・・・・・・351,000円
この倒立フォークは125ccクラスの装備基準を引き上げた
「このバイクは売れるだろうなぁ」と2013年の東京モーターサイクルショー会場で実車を見た時に多くの人が思ったはず。その年の5月に発売されて以降、セールスは好調で、ホンダの原付2種クラスを代表する存在となったのは言うまでもない。
エンジンこそ、スーパーカブと同様の前傾したシリンダーをもつ空冷4ストOHC単気筒を採用するが、クラッチは自動遠心ではなく通常のマニュアルで、フロントのサスペンションには倒立フォークを採用。ブレーキは前後ともシングルディスクが装備され、メーターも液晶のマルチデジタルを採用。テールランプはLEDで、当時としては大型バイクに匹敵する装備が奢られていた。タイ生産であるが、価格は消費税込で30万円(初代の本体価格は29万5000円)を超えているのもしょうがないかな、と思ったものである。
ホビーライダーの心をくすぐるサイズとスタイリングは、カスタマイズ車両としてだけでなく、ミニバイクレースのベース車両として人気を呼んだのも頷ける。
今回の試乗機会を得て、グロムのデザインは先進的であると改めて感じた。このグロムがベースとなって昨年2018年4月にモンキー125が発売されたのだが、先鋭的なルックスを鑑みるにグロムの方が新しく感じてしまう。2016年に外観を一新し、ヘッドライトもLEDとなったこともあるが、もともと大型スポーツネイキットをギュッと凝縮したソリッドなスタイリングの印象が強いためだろう。
誰もが遊べるサイズ感が丁度いい。スポーツ走行やカスタムも魅力!
グロムの開発コンセプトは、「ジャストサイズ&魅せるスペック」だ。
「トレンドに敏感な若いライダーがターゲット」というホンダのプレスリリースを読んだ覚えがある。確かにスペックは魅せるものがあるが、サイズはどうか。筆者は身長182cm、体重70kgで、普段乗っているバイクはリッターオーバーのアドベンチャーモデルである。またがってみると、若干前傾気味のコンパクトなポジションは、さすがに違和感を覚えた。低い車体に対して、目線の位置が高すぎるため、ブレーキをかけると前方に飛び出してしまいそうな気になるのだ。
もちろん、実際にはそんなことはない。60km/hくらいから、かなり強めにフロントブレーキをかけても、よく動くフロントサスペンションが吸収し、倒立フォークの剛性の高さもあって不安なく急減速できる。また、最初は窮屈だったポジションも30分ほど乗っていると「これでいいかも!」と思えてしまった。それどころか、上体を伏せて頭をフロントフォークの延長線上に置き、腰を少し後方にずらすと気分はスポーツバイクと変わらない。6000rpm前後を保って走ると、一般道で交通の流れもリードできた。
ただ、コーナリングは少し難しい。ホイールベースは1200mmと短いうえに、タイヤも小径なので旋回力に優れているのだけど、良くも悪くも動きすぎる前後サスペンションを抑えるのに苦労するのだ。そろそろ~と曲がっていると不安は増すだけ。そこで、前後サスを抑え込むように荷重をかけて、一気に回るようにライディングすると、驚くほどシャープで高い旋回性を見せてくれた。街中をトコトコ走るのも面白いが、スポーツバイクと同様に前輪に荷重をかけて曲がれるようになると、楽しさは倍増する。そもそもグロムはHRCからレースベース車も発売されているほどの潜在能力を秘めており、ワンメイクレース等でも熱い戦いが繰り広げられている逸材である。今回の市場でもその鱗片は当然に垣間見えたというわけだ。
もしこのグロムを手に入れたなら、単なるコミューターとして乗るだけではもったいない。すでにカスタマイズパーツがたくさんリリースされるので、自分だけの車両を造り上げたり、スポーツ走行も楽しんでほしい。大型スポーツバイクでは速度域が高くて簡単には味わえない挙動が、このバイクなら街中の制限速度域で楽しめる。普段使いだけでなく、プラスαの用途の懐の深さもグロムの大きな魅力なのだ!
足つきチェック(ライダー身長182cm)
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