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伝統の直4サウンドに酔いしれる|カワサキZ1000試乗 カワサキZ1000試乗|電子制御ほぼ無しの武闘派! だからエンジン、フレーム、素材の良さがよくわかる。

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目前に迫った「東京モーターショー2019」では、カワサキからスーパーチャージャー付の「Z H2」がアンベールされるという噂も。そこで、現行モデルのZ系フラッグシップである「Z1000」にあらためて試乗してみた。スーパースポーツZX-9Rをルーツに持つ強力な直4エンジンを高剛性アルミフレームに搭載し、ストリートファイターを思わせる過激なスタイルで仕上げた硬派なモデルである。

REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

■カワサキ・Z1000 ……117万1,500円(消費税込み)

「Z」には昔からワルな香りが漂う

 アルファベットの最後にくる文字、Zには“究極”の意味が込められている。初代Z1から始まる空冷Zシリーズや、その後のZEPHERやZRX、そして現行の水冷Z900RSにしても、カワサキのネイキッド系歴代フラッグシップモデルにはZを冠したネーミングが冠されてきた。1970年代に登場した初代Z1000もZ1(900cc)直系の並列4気筒エンジンを搭載するスケールアップ版として登場、国内外のレースでも活躍するなど歴史に名を残した名車だ。個人的には映画『マッドマックス』に出てくる暴走族が乗っていたマシンとして印象深い。ということもあって、カワサキの本意ではないかもしれないが、Zは昔からワイルドでちょっとワルなイメージが定着している。でもたぶん、現代のZ1000の「Sugomi」(凄み)をコンセプトとした尖がったデザインや強烈なパフォーマンスを見れば、それも織り込み済みと思えてしまうのだ。

ストリートファィトのための戦闘機

 眼光鋭いツリ目に盛り上がった筋肉のように見えるタンク、前後を切り詰めて車体センターにマス集中させたデザインなど、まるで古代の剣闘士を思わせるようなマッスル感は漲るパワーの象徴だ。前後サスペンションも倒立フォークにリンク式モノショックを採用するなど機能に徹した作りであることが分かる。まさにストリートファイトのための戦闘機といった風情だ。
 最高出力141psを発揮する水冷並列4気筒1043ccエンジンに高剛性アルミフレームを組み合わせた車体の基本構成はNinja1000と共通だが、フルカウルに覆われたツーリングスポーツとしてのニンジャに対し、Zは余分なボディパーツをそぎ落としたヨーロピアン・ファイタースタイルが特徴。また、ニンジャには標準装備されているパワーモードやトラコンなどの電子デバイスをZは搭載していない。ちなみにZ1000の車重はNinja1000より15kgも軽い220kgに抑えられていることも見逃せない。

雰囲気は今風だがキャラは昔気質

 乗り味はひと口に言うと剛性感たっぷり。厳ついアルミツインスパー(厳密には上からエンジンを吊るダイヤモンド形式だが)フレームがかなりガッチリしていて、前後サスペンションもダンパーが効いていてけっこう硬めの印象。ハンドリングも単に軽快というよりは重厚感がある。たとえば、現行のZ900RSに比べてもひとまわり大柄かつパワーも段違いということで、「走る」「曲がる」「止まる」それぞれに手応えがあり、ビッグバイクを操っている実感がある。サウンドも直4らしい凶暴な炸裂音。Zと名乗るからにはやはりコレだよな、と納得。「ヤワな奴はお呼びじゃない。気を引き締めて乗ってくれよ!」とマシンが囁きかけてくるようだ。ファイタールックの雰囲気は現代風だが、キャラ的にはむしろ昔気質のバイクなのだ。

 クラッチはアシスト機構付きなので操作が軽く発進は楽。極低速から分厚いトルクが湧き出る直4エンジンは喉をゴロゴロ慣らす大型肉食獣を思わせる。獲物を求めて繁華街を流すのもいいが、やはり真骨頂は突き抜けるような加速感。ひとたび右手を捻れば、「ズゥオーーーッ!!!」とバイク漫画のフキダシそのものの爆音を響かせてクサビ型のボディが空気を切り裂いていく。コーナリングも一流だ。スーパースポーツ譲りの心臓と骨格、190サイズのワイドタイヤが乗り手の貪欲な要求にもやすやすと応えてくれる。

男カワサキを地でいく正統的「Z」

 この際はっきり言っておくが、荷物は積めずタンデムも辛いし、カウルはおろかスクリーンすら付いていないなどお世辞にもツーリングに向いているとは言えないし、トラコンやパワーモードなどの安全・快適デバイスも付いていない。それだけシンプルということだが、一方では乗りこなすためにはライダーの腕が問われ、そのスパルタンさがまた玄人受けする魅力になっている。まさに“男カワサキ”。その意味でもZ1000は正統的な「Z」と言えるのだ。

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