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”扱いやすい”がキーワード。足まわりが進化した、新型ホンダ・CB650Rに試乗。

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4本が居並ぶ美しいエキゾーストパイプを披露するミドルクラスのネイキッドスポーツ。CBシリーズに新時代の到来を示唆してデビューしたのは2019年1月の事。今回は2021年1月28日から新発売されているマイナーチェンジモデルに試乗した。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン

マットジーンズブルーメタリック

ホンダ・CB650R.......979,000円

マットバリスティックブラックメタリック
キャンディークロモスフィアレッド

 CB650FからCB650Rへ変身デビューを果たしたのは2019年1月21日のこと。黒、銀、赤の3 色が揃えられ国内販売計画台数は年間500台で3月に新発売された。
 今回の試乗車は1年と10ヶ月ぶりのマイナーチェンジ。銀に替わってマットジーンズブルーメタリックを揃えた3 種とし、外観デザインもシートカウル等、細部に変更を受け、本体価格89万円は据え置かれて1月から新発売。国内販売計画台数は年間600台に増加している。

 新旧モデルの比較で最も分かりやすいポイントはフロントフェンダーがタンクカラーと同色化されている点、従来は黒色フェンダーが採用されていた。
 その他ではテールまわりのフィニッシュが異なっている。シートカウル&グラブバーのデザインが一新されライセンスプレートステー兼リヤフェンダーも手直しされた。
 それ以外にも細部に熟成の手が入れられており、例えば倒立式フロントフォークがブランドは同じショーワ製ながら、新たにSFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン)を採用。
 これはヘッドまわりの高剛性設計が背景にあるが、ダンパー機能はフロントフォークの右側にのみに内臓され、左側はスプリングのみとすることで、トータルでフリクションの少ない優れた作動特性と軽量化に貢献。
 そしてもうひとつ見逃せない進化が、ステアリング切れ角を大きく改善してくれたことである。従来モデルの切れ角は僅か32度だったが、今回は35度を確保してくれている点がとてもありがたい。
 
 NEO SPORTS CAFE のスタイリングを採用しエンジンを中心とするメカ部分をギュッと凝縮。全体的に漂うダイナミックな雰囲気とその斬新なイメージは今も健在。
 兄弟車として、あるいは弟分に成り得るかもしれない400 ccモデルをあえて同シリーズに加えていない点も、650ccというミドルクラスCB-Rの存在価値を高めていると思う。

CGで描かれたスチール製ダイヤモンド・フレーム。リジッドマウントされることで4気筒エンジンも車体の強度メンバーに加わえられている。

小回り性能の向上で、Uターンも苦にならない。

 スポーツバイクのパワーユニットとして直(並)列4気筒エンジンが一世を風靡したのはもはや昔のお話だが、小気味よい噴き上がりを誇り、高回転域まで豪快なパフォーマンスを披露する魅力は今も変わらぬ人気と価値を備えていると思う。
 今回新型のCB650Rに試乗して、改めてそんなマルチエンジンならではの胸踊るエキサイティングな乗り味に元気をもらえた気がしたのである。
 
 加速も減速も、右手のスロットル操作に対して俊敏にレスポンスするスポーツライクな出力特性はやはり魅力的。レッドゾーンやピークパワーの発生回転数は、いずれも12,000rpm を超える領域に存在し、実際レブカウンターの針は俊敏にその領域までハネ上がる。
 もしもの話、これが400ccで作られていたら、スロットルを開けた時にレスポンスの鈍さやトルクの細さから、少なからずもどかしさを感じるハズだが、流石に650ccの排気量があると、遅滞なくエネルギッシュに噴き上がり、そのパフォーマンスに不満は全く感じられない。
 7,000rpm当たりで体感する強烈なパンチ力や10,000rpmオーバーまで一気に伸び上がる俊敏さも一級。その豪快な走りは日本を走る限りまるで不足はなく、かつそのポテンシャルを生かした走りを存分に楽しむことができる。
 以前にも筆者はこのクラスの「中間排気量が好きである」と書いた事があるが、それはアウトバーンの無い日本の交通環境下で使用する上では、実用上トップレベルのポテンシャルがこのクラスで発揮でき、車重や車体のボリュームも含めてこのクラスに絶妙な程良さがあると感じられるからである。

 ネイキッドスポーツとして上体の起きた姿勢で乗ると、その豪快な走りはより強調されて体感することができ、4気筒ならではの醍醐味もより気持ち良く胸のすく想いになる。
 ちなみにローギヤでエンジンを5,000rpm回した時の速度は42km/h。トップギヤで100km/hクルージング時のエンジン回転数は、4,500rpm。ただしタコメーターのブロック目盛りがひとつ増える寸前の状態にあるので、実質的には4,700rpmあたりだろう。
 アイドリングは1,250rpm。クランクマスが軽すぎることはなく、回転は安定している。ミッションをローギヤに入れ、クラッチをミートするその瞬間、僅かに(たぶん100rpm程度)アイドリングが高まるので発進操作は容易だ。
 クラッチ操作が軽い上に、発進をアシストする回転の高まりとそのタイミングもライダーにそれを気づかせない程度にとても上手く調教されているのは流石である。
 市街地渋滞路のノロノロ走行でも柔軟で扱いやすいし、いつでも瞬時に、それも強力にダッシュ出来る感覚はとても気分が良い。
 
 ライディングポジションの関係で自然と前方視界も広く感じられ、周囲の安全確認も容易だし景色も遠く広い範囲で楽しめ、遠くの情報収拾も早いタイミングで済ませられる。
 当初の試乗車はおろし立ての新車だったせいか、フロントフォークの動きがややゴツゴツとした感触があったが、オドメーターが1,000km を超えた2度目の試乗では初期の作動性がスムーズになり、乗り心地も良くなっていた。ブレーキの操作性と強力な効き味もレベルが高い。
 そして操縦性に関しては、基本的に従来モデルから変化ないハズだが、微かな記憶と比較すると、旋回時に自然操舵でステアリングが切れ込むが、その作用がバイクのリーンアングルを立たせる事への影響が緩和された印象を覚えた。
 タイヤの磨耗具合による違いかもしれない程度の僅かな差でしかないが、わかりやすく表現すると、直進性の強さが緩和されたようなイメージで扱いに手強さが無い。
 コーナーへの進入でステアリングが内側に切れてもバイクのリーンアングルが乱されず(あまり起きようとせず)に思い通りの旋回ラインをトレースできる自然な扱いやすさが好印象。
 同時にコーナリング中の速度コントロールが容易で、旋回中に減速を合わせる事でよりイン側へと旋回力を高める操作も楽に行えた。
 ただしこれらの印象は、前述の通りタイヤ・コンディションの違いによる程度である。
 一方明確にありがいと感銘を受けたのは、ステアリング切れ角が大きくなったこと。35度の切れ角確保はネイキッドスポーツとして十分とは言えないが、従来モデルの32度と比較すると断然良い。
 一般的な国道なら切り返し不要でUターンできるレベルで、使い勝手が断然良くなっていたのは嬉しい改良点である。

 ちなみに今回の実走行燃費率は、市街地、郊外、高速道路を162km 走行して満タン法計測で24.1km/Lと言う結果。前回、先代モデルでは約300kmの走行で23.5km/Lをマークしていたので、実力として23km/L以上は固いところ。
 カタログ値のモード燃費率は21.3km/Lだが、特にエコランする事なくごく普通の走り方でも、それを凌ぐ好データが期待できそうだ。

足つき性チェック(身長168cm)

ご覧の通り、両足はべったりと地面を捉えることができる。シート高は810mm。ステップがふくらはぎに軽く当たる。

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