2021年型CBR250RR 1000kmガチ試乗|実走燃費は22km? 29km!? スポーツツアラー目線で各部をチェック 3/3
- 2021/02/05
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中村友彦
スチールフレーム+並列2気筒エンジンという構成はライバル勢に通じる要素だが、CBR250RRはほとんどの部品を専用設計。そう考えると、兄弟車が存在するニンジャ250やYZF-R25より価格が高いのは、止むを得ない……気がしないでもない?
REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)
ホンダCBR250RR……82万1700円/85万4700円
■ライディングポジション ★★★★☆
第1/2回目の原稿では、上半身の前傾が強い、スパルタン、という表現を使ったものの、それは250ccのライバル勢と比較しての話で、近年のリッタースーパースポーツを基準にするなら、CBR250RRの乗車姿勢はフレンドリーと言っていい部類。フロントフォークの突き出しには少し余裕があるから、ギリギリまでクランプ位置を下げれば、さらに親しみやすくなるだろう(旋回性に多少の影響は出そうだが)。なお身長182cmの筆者の場合、近年の250ccスポーツは下半身が窮屈に感じることが珍しくないのだが、CBR250RRにそういう気配はなかった。
乗車1Gでのリアの沈み込みが少ないため、足つき性はライバル勢にやや劣る。ただし車体が軽くてスリムだから、身長が160cm前後のライダーでも、大きな不安を感じることはなさそうだ。
■タンデムライディング ★★★★☆
タンデムライディングはなかなか快適で、操安性の変化も特に気にならないレベル。当連載を通して初めて意識したのだが、もしかすると近年のスポーツバイクは、ネイキッドやネオクラシックなどより、タンデムに向いているのかもしれない。以下はタンデムライダーを務めた、富樫カメラマンの感想。「乗り心地はZX-25Rと似たようなものだけど、安心感はCBR250RRのほうが格段に上。このバイクは、テールカウル後方の左右に切り欠きの中にちょうどいい突起があって、そこがグラブバーみたいに握れるんだよね。そういう使い方をしていいのかどうかはわからないけど(笑)」
■取り回し ★★★★★
ハンドルが低いバイクは取り回しを重く感じるものだが、軽くてスリムなCBR250RRにそういった雰囲気はナシ。ただしサービスエリアやホームセンターなどの駐輪場では、右側に大きく張り出したマフラーが少々気になった。ちなみに現代の250ccスポーツモデルの中で、最小回転半径で一番頑張っているのはカワサキで、CBR250RRとYZF-R25の2.9mに対して、ニンジャ250は2.5m、ZX-25Rは2.6mという数値を公表。
■ハンドル/メーターまわり ★★★★☆
セパレートハンドルの装着位置はトップブリッジ下だが、クランプが上方にオフセットするタイプなので、兄貴分のCBR1000RR-Rや600RRと比べれば、グリップは数cmほど上になる。バックミラーは左右にかなり張り出しているものの、走行中の鏡面の半分はライダーの腕が映るため、後方の視認性はいまひとつ。ラップタイマー機能も備えるコンパクトな液晶メーターは、必要な情報が瞬時に判断できる堅実な構成で、上部にはREVインジケーターを設置。速度の右に表示されるエンジンモードの切り替えは、左側スイッチボックスのボタンで簡単かつ確実に行える。
■左右スイッチ/レバー ★★★★☆
近年のホンダ車の多くは、ウインカースイッチを最下段に設置。この方式を導入した当初は、操作に少々難があったものの、最新の仕様では自然なオンオフができるようになった。サーキットでの使い勝手を考えると、LAPとモード切り替えボタンは配置を逆にするべきだと思う。
デザインは微妙に異なるが、右側スイッチボックスの構成はCBR1000RR-Rや600RRと同様。グリップラバーは1990年代以降のホンダ製スポーツの定番品で、バレンティーノ・ロッシが絶賛したことでも有名。左右レバーに位置調整機構が存在しないのは、個人的には残念。
■燃料タンク/シート/ステップまわり ★★★★★
並列2気筒車は漫然と作ってもそれなりにスリムになるものだが、CBR250RRの場合はガソリンタンク後端とシート前端がギュッと絞られているため、スリム感が相当に強く、下半身を使ってのホールド感は非常に良好。なおガソリンタンクは、スチール製の本体の左右に樹脂製のコブを取り付ける独創的な構成で、このコブをコーナリングで有効に使うためには、ステップ位置を上げる必要がありそうだ。シート座面はパッと見では前下がりに見えるけれど、ライディング中に落ち着きの悪さやズリ下がりを感じることはなかった。
ステップの踏み応えと設置位置はまずまずの好感触。スポーツライディングに的を絞るなら、設置位置はもう少し上方/後方でもいいのだが、ストリートでは現状がベストだと思う。純正アクセサリーパーツのクイックシフターは、あらゆる回転域で確実に作動してくれるので、ツーリングでも有効な武器になる。2万5300円+作業工賃でこの機構が味わえることは、大変素晴らしいのだけれど、出来ることなら標準装備にして欲しかった。
■積載性 ★★★★☆
荷かけフックはリアウインカー前部に備わる片側1ヶ所ずつのみだが、タンデムシートにベルトを巻き付けることで、過去に当連載で取り上げたZX-25RやCBR1000RR-R、YZF-R1では断念した、タナックスのWデッキシートバッグ(筆者の私物)を装着することが出来た。テールカウル内には、コンパクトなレインウェアなら収まりそうな収納スペースが設けられている。
■ブレーキ ★★★★☆
フロント:φ310mm/リヤ:φ220mmのブレーキディスクはペータルタイプで、キャリパーはフロント:片押し式2ピストン/リヤ:片押し式1ピストン。前後とも制動力は必要にして十分で、タッチも悪くないものの、フロントにラジアルマウント式4ピストンキャリパーを採用するZX-25Rと比較すると、見た目のインパクトはいまひとつ……。
■サスペンション ★★★☆☆
φ37mm倒立式フォークは、左側のみにダンパー機構を備えるショーワのセパレートファンクションタイプ。ボルト+ナット式のアクスルシャフトと左右に備わるピンチボルトからは、ホンダならではのこだわりを感じる(他社の250ccスポーツは、アクスルシャフトの雌ネジがフォーク側に切られていたり、片方のピンチボルトを省略したりというケースが少なくない)。乗車中のリアショックの印象は決して悪くなかったけれど、上質なアフターマーケット性能に変更すれば、スポーツ性能とツーリング性能の両方が格段に向上しそう。
■車載工具 ★★☆☆☆
車載工具は、リアショック用プリロードアジャスター、ヒューズホルダー、エクステンションバー、8mmソケット+バーの4点で、左端はタンデムシート下のフックと併用するヘルメットホルダー用のワイヤー。メインシートの脱着時には、8mmソケット+バーとエクステンションバーを組み合わせて、Tレンチ的な形で使用する。
■燃費 ★★★★☆
今どきのバイクでは珍しく、燃費は使い方で大きな差がついた。マイペースで淡々と走ったプライベートツーリングが良好だったことを考えると、CBR250RRはゴー&ストップの回数が燃費にかなりの影響を及ぼすようだ。ガソリンタンク容量は14Lなので、まったりツーリングなら余裕で300km、エコラン的な走りなら無給油で350km以上走れそう。最も良好な②から算出する最大航続可能距離は413km。いずれにしても26.3km/Lというトータル燃費は、ZX-25Rの21.5km/Lと比べれば相当に良好。
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