180km乗った結果、実走燃費は18.6Km/Lでした。大人のスーパー・スポーツネイキッド ホンダ・CB1000R試乗。
- 2021/06/30
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MotorFan編集部 近田 茂
2021年3月25日から発売された新型のCB1000R。初代デビューは2018年4月、新世代CBシリーズの頂点に君臨する上級ネイキッドスポーツのマイナーチェンジモデルである。いくつか外観デザインの変更にも目が行くが、充実した装備内容と贅沢な乗り味を堪能した。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン
ホンダ・CB1000R.......1,670,900円
既報の通り3月25日に新発売されたCB1000Rは、同シリーズの頂点に君臨する最新モデルである。ホンダ伝統のCBブランドを受け継いで、新たな展開を披露したネイキッドスポーツ。新世代CBとして今や125ccまでリリースされ多くのユーザー層から注目されている人気シリーズの最上位モデルである。
全体的なフォルムに大きな違いはないが、実はキャストホイール・デザインとヘッドランプや、サイドカバーにラジエターカバー等、そしてアルミダイキャスト製シートレール部の色使いもリファインされている。
分かりやすいのはホイールとスラントしたヘッドランプデザインだろう。従来まではレンズが垂直に立ち上げられていたが、新型ではフロントフォークの傾きに沿わせられ、それによってエンジンを中心にメカ部分がひと塊になる凝縮感とホンダが言う台形プロポーションがより強調された。
搭載エンジンや前後サスペンション等の主要メカニズム部分に大きな変更点はない。水冷の前傾4気筒エンジンはDOHC16バルブ。電子スロットルが採用され、ショートストロークタイプの998ccからは、145ps/10,500rpmの最高出力と104Nm/8,250rpmの最大トルクを発揮する。
当初よりスロットル・バイ・ワイヤー(電子制御式スロットル)が採用され、4っつのライディングモードを搭載。モード選択はSPORT 、STANDARD、RAIN、USER。それぞれにプログラミングされた①出力特性、②スロットルレスポンス、③トルクコントロール、④エンジンブレーキ、の各電子制御具合が連動で変更できる。
USERモードは①、②、④が3段階、③は3段階とOFFが好みの組み合わせでそれぞれ任意設定可能である。その制御介入状況はメーター内のレベル表示で把握できる。
5インチ液晶マルチインフォメーションディスプレイも一新されており、ハンドル左側のスイッチを活用して、前述の走行モードや表示内容の変更、またハンドルグリップヒーターのコントロール等が簡単にできる。
さらにスマホと連携できるHonda Smartphone Voice Control systemを新搭載。スマホはBluetooth で接続でき、同じく接続したヘッドセットを使う事で、音声やハンドル左側のスイッチ操作でマップや音楽等のアプリが活用できる。
今や珍しくはないクイックシフターも初代モデルから採用されており、発進停止時以外のシフトワークはクラッチ操作から開放される。
ETCも標準装備され、そのパイロットランプは既にメーター内に組み込まれている。 新世代CBのトップモデルとして、時代の動きを先取りする様に装備の詳細に至るまで熟成されているわけだ。
ライディングモード設定方法
新世代CBの最高峰モデルとして大きな満足感を覚える。
試乗車を目前にすると、どこからとなく高級な雰囲気が漂ってくる。価格を知ればそれに納得するのも事実だが、それでも贅沢な各部の仕上がり具合に目をやると、どこか大人びた程良い品格が感じられてくるのである。
3タイプ用意されたカラーリングも、流石に上級モデルらしい拘りが込められいる。試乗車は最近の流行りを取り入れた艶消しのブラックメタリック。同シルバーもあるが、イメージカラーとして謳われているのはレッドでホンダの公式WEBサイトから引用すれば、次世代高輝度着色アルミフレークのベースコートにナノ顔料カラークリア、さらにオーバーコートクリアを重ねた3層構造の塗装が施されていると言う。
確かにその色合いには奥深さが感じられるもので、各所に散りばめられたヘアライン加工のアルミ化粧パーツや上質なエンブレムの採用等、作り手の並ならぬ拘りと情熱が伝わってくる。
休日の朝、ソフトな専用クロスを手にガレージに行き、各部を撫でる様に磨くだけでも充実したひと時が過ごせる、そんな趣が感じられたのである。
車重は213kg。それなりにズッシリとした重量感を覚えるが、扱い辛いと思う程ではなく、車体の引き起しや車庫から出し入れする時の手応えも特に不安は感じられない。
早速エンジンを始動すると、2,000rpmを少し超えるファーストアイドル時の排気音量はなかなか大きく、早朝の住宅街では一瞬控えたい気分になった。豪快で迫力のある4気筒サウンドを轟かせるが、直ぐに1,200rpmへ落ち着いてくるアイドリングでは、特に煩くはないレベルにおさまってくれたので一安心である。
いったんエンジンを止め、各部を眺めてみると、右手ブレーキレバーは6段アジャスト付きで手の大きさに馴染む距離が簡単に選べる。ケーブル式のクラッチ側は、かつてレーシングマシンで良く見られた様なスクリュータイプの無段アジャスターが装備され、好みの遊び具合に簡単調節できる。
再びキーONすると、コントラストが明瞭でかつカラー表示も混じってとても見やすいメーターに目が行く。デジタル表示デザインは4種から選択できるし、バックライトは自動調光され、あたりが暗くなると白バックから黒バッックへと自動反転する。絵文字式のサイドスタンド警告灯やETC表示他、ギヤポジションとアップ/ダウンシフトガイドも見やすいし、走行モードや各種データ表示も整然と並べられている。
上級クラスのバイクなら今や当たり前ではあるかもしれないが、いかにも高級車然とした充実の表示内容には改めて感心させられたのである。実はこのメーターや各種電子制御の調節は左手スイッチを使い、例えば設定画面を引き出し、さらに奥の階層へ進めば、ここでは書き切れないほど多彩な調節や設定が可能となる。
メーターに自分の名前を表示させることができたり、シフトタイミングを知らせるインジケーターを5,000~11,400rpmの範囲で自由に設定する事も可能。他にもまだまだ多くの機能満載である。おそらく購入当初なら、取り扱い説明書を片手に、ひとしきり遊べてしまう程なのである。全てを頻繁に使いこなす類のものではなが、さすがに上級モデルを象徴する充実装備のひとつと言えるだろう。
筆者の感覚で言うと、ファンクションスイッチを一押しすれば、メーター下部にハンドルグリップヒーターの5段階表示が出現し、強弱の好みはセレクトスイッチでへ簡単に設定できる事だけでも魅力的に感じられた。標準装備のグリップヒーターは、全く後付け感がなく予めインテグレーテッドデザインされている事に感心させられたわけだ。
さて、操作力の軽いクラッチを握りスタートすると、軽く小気味よく決まるシフトタッチが印象的。実は後から知った事だが、このクイックシフターはタッチの固さがアップ/ダウンそれぞれ3段階に変えられる。
前回、旧型車試乗時と設定が異なっていたかどうかが定かでないのが申し訳ないが、明らかに今回はアップシフトもダウンシフトも洗練された操作フィーリングを覚えた。基本的には何か変更された発表は(あるいは制御系は熟成されたかもしれ)ないが、節度のある動きで軽くシフトでき、しかもシフトショックが巧みに抑えられていたのである。それだけで、とても出来の良いバイクに乗っている贅沢な乗り味と満足感を覚える。太く響く排気音を耳にしながら市街地を流す感覚はとりわけ大人びた心持ちになれた。
フルパワーが発揮されるスポーツモードではなく、あえてスタンダードモードで走ったが、流石の1Lパワーはまるで不足なく、いついかなる時でも豪快なハイパフォーマンスを発揮する。
強力なブレーキによるストッピングパワーも含めて、乗るバイクのスピードが右手一つで自由自在になる魅力とそこからもたらされる安全性の高さには侮れないものがある。
郊外のワインディング路でも常に安定感に富み、なおかつヒラリとスピーディーに身を翻して思い通りのラインに乗せて行けるグッドハンドリングも一級。飛ばせる実力は十分過ぎる程あるが、なぜか飛ばしたいとは思わず、自然とジェントルな走りを心がけていた自分自身が不思議であった。もちろんスポーツモードを選択してスロットルをワイドオープンした時の過激な加速力や、コーナーをクィックに立ち上がってダッシュできるレスポンスの鋭さもレベルの高い仕上がりである。
いずれにしても、オーソドックスなネイキッドスポーツの中に最新鋭の要素がたっぷり込められ、乗り味は上質。大人のための高級モデルに相応しいと思えたのが正直な感想である。
ちなみにローギヤでエンジンを5,000rpm回した時のスピードは53Km/h。6速トップ100km/hクルージング時のエンジン回転数は4,200rpm、120km/hではちょうど5,000rpm。
また今回の走行距離は180km。給油燃料は無鉛レギュラーガソリンで、満タン法計測による燃料消費率は18.6Km/Lだった。
足つき性チェック(身長168cm /体重52kg)
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