日産、車載電池事業から撤退
日産自動車、GSRキャピタルにバッテリー事業を譲渡
- 2017/08/09
- Motor Fan illustrated編集部
日産自動車株式会社は8月8日、日産が保有するバッテリー事業およびバッテリー生産工場を、民営投資会社GSRキャピタル(以下GSR)に譲渡する株式譲渡契約をGSRと締結したことを発表した。
日産自動車は、車載電池事業から撤退する。
今回の売却の対象となるオートモーティブエナジーラプライ(AESC)は、電気自動車リーフが使うラミネートタイプのリチウムバッテリーを製造している。日産が51%、NECグループが49%出資する合弁会社だ。
初代リーフの開発から生産において、自社でバッテリーの開発・生産ができる強みはあったが、車載用のリチウムバッテリーの価格が下がり、中国・韓国メーカーが市場を席巻する現状では、自社で作るメリットが薄れてきていたのが売却の背景だ。
(以下日産のプレスリリースより)
この契約の対象となるバッテリー事業には、日産の連結子会社であるオートモーティブエナジーサプライ株式会社(以下AESC)、北米日産会社が保有するスマーナ(米国)のバッテリー生産事業、英国日産自動車製造会社が保有するサンダーランド(英国)のバッテリー生産事業、及び日産のバッテリー事業に関連する追浜、厚木、座間の開発・生産技術部門の一部が含まれる。
日産の社長の西川廣人は、「本日の発表は、日産とAESC双方にとってウィンウィンとなるものです。AESCは、GSRの幅広いネットワークや積極的な投資を活用し、新たな顧客の獲得により、その競争力の向上が可能となります。
また、これは日産にとってはEVの競争力のさらなる強化にもつながります。AESCは引き続き当社の重要なパートナーでありつづけ、日産は市場をリードするEVの開発及び生産に専念することができますと述べた。
GSRの会長のソニーウー氏は、「AESCの取得は、新エネルギー自動車産業に関わる当社にとって重要な一歩となります。私たちは、R&Dへのさらなる投資を行ない、米国、英国および日本で既存生産能力を拡大していきます。
また、中国および欧州に新たな工場を建設し、世界中にお客さまへより良い製品を提供していきます。AESCが持つ優れた労働力、高い技術力、実績ある高い製品品質に加えて、これらの計画を実施することで、私たちは成長に向けた体制を整えていきます」
と語った。
GSRへ経営権移転後も、座間、サンダーランド、スマーナのバッテリー生産工場を含む各施設に勤務する現在の全従業員は引き続き雇用される。新会社の本社および開発拠点は引き続き日本となる予定だ。
日産は、第一段階として2007年に設立した高性能リチウムイオンバッテリーの開発・生産を担うAESCの株式のうち、日本電気株式会社(以下NEC)およびNECエナジーデバイス株式会社が保有する49%を取得することでAESCの全株式を取得する。
NECは8月8日、同社の保有するAESC株を日産に譲渡するとともに、バッテリーおよび電極の開発・製造を行なう同社の子会社NECエナジーデバイス株式会社をGSRに譲渡する交渉を行なっている旨を発表した。
本日発表した取引は、今後、労働組合との協議や規制当局の承認を経て、2017年12月末までに完了する見込みである。ただし、GSRによるNECエナジーデバイス株式の全株式の取得等を条件としている。本取引における財務条件は開示していない。