BASF:2020年の自動車のカラーレポートを発表。より幅広い色が世界の組み立てラインから誕生
- 2021/01/13
- Motor Fan illustrated編集部
BASFのコーティングス事業本部は「BASF自動車用OEM塗料カラーレポート2020」を発表した。レポートでは、自動車のカラーパレットがこれまでにない傾向でシフトしていることを示し、世界中の組立ラインから生まれている幅広い有彩色を明らかにしている。
ある地域ではブルーやイエローのようなさまざまな色合いが増加している一方で、他の地域ではレッドやバイオレットが、無彩色が圧倒的に多い中で、存在感を示している。カラー領域の拡大により、カラー分布全体が2019年よりも拡張し、輝きが増した。
カラー傾向の変化にもかかわらず、ホワイト、ブラック、シルバー、グレーといった無彩色はおなじみのパターンをたどり、生産車の大半に塗装されている。数年前から継続して、ホワイトは今でも世界中で最も人気のある自動車のカラーである。クラシックで時代を超えた美しさがあり、環境とハイテクの両方につながる。
このレポートで引用しているデータは、過去数年に比べて自動車の総生産台数が減少していることを示している。これには、自動車メーカーが新型コロナウイルスのために、操業停止を余儀なくされた時期も含まれる。世界的な感染は自動車業界と世界に、深い影響を及ぼしている。
欧州、中東、アフリカ(EMEA):色彩の多様性の拡大
欧州、中東、アフリカ(EMEA)は、有彩色の世界的な動きに追従している。2020年には、欧州、中東、アフリカ(EMEA)の新車の約11%がブルーに塗装され、最も人気のある有彩色になった。バイオレットは市場に新規参入し、多様性をさらに高めている。他の有彩色も人気を集めており、特に小型SUV市場の成長に伴い人気が高まっている。
多様性の一部は、色合いの多様性に由来する。自動車メーカーは160色以上の異なるブルーを2020年に欧州、中東、アフリカ(EMEA)の自動車に使用し、グレーは二番目に多い140色だった。どちらの色域も、70色のホワイトよりも多様だった。
無彩色では、ホワイトが依然として市場の28%で首位であり、グレーとブラックが続く。「カラーバリエーションは自動車のサイズによって変わります。たとえば、中型SUVに独自の特徴を与えるバイオレットは、小型や大型SUVにはあまり見られません」とEMEAの自動車向けカラーデザイン責任者であるマーク・グートヤール氏は述べている。「イエローはその逆で、非常に小型と非常に大型の両方に見られますが、中型には見られません。これらは、セグメント全体に現れたり消えたりする特定の固有なカラーの位置づけです」
北米:予想通りに、ブルーが増加
北米の自動車購入者は有彩色の選択肢が少ないからといって、有彩色の乗用車、トラックやSUVを選択しなくなったわけではない。北米では、自動車カラーとしてブルーがレッドを抜いて人気を集めた一方で、ベージュとブラウンはリストから消えた。そのため、この地域では、他の有彩色として一定量残っているのはグリーンのみ。
ブルーの色合いはよりエレガントであると見なされ、これまでベージュやブラウンを選んでいたであろう購入者は、ブルーやグレーに移行しているよう。BASFのデザイナーたちは、このようなことが起こることを予測していた。2016年にはすでに、ブルーについて「今後数年で市場シェアを獲得する自動車業界の主要なカラーの方向性」と表現した。自動車のデザイナーは、カラーを開発する際に3~4年先のモデルを見据えることが多く、市場は予測どおりに展開している。
「私たちが目にしている鮮やかな色には、興奮することがたくさんあります」と南北アメリカのデザイン責任者であるポール・チョーニー氏は述べている。「3~4年前に予測したように、ブルーは脚光を浴びています。私たちは、この重要なデザイン領域で、色相と質感の可能性を高めるいくつかの美しいエフェクトと顔料を使用しています」
アジア太平洋:ブラックとグレーの増加と、鮮やかなカラーの出現
アジア太平洋地域は、世界最大の自動車生産量を誇り、世界的なカラー傾向の縮図である。それぞれの地域で異なる一方で、アジア太平洋地域の好みは世界的なデータを反映しており、その鮮やかな色は有彩色に他の地域で起きていることをを反映している。
ホワイトは今でもこの地域で最も人気のあるカラーで、生産される自動車の約48%に塗装されている。ブラックとグレーは、ホワイトの優位性を侵食する3年間のトレンドを経て上昇し続けている。
総数はそれほど多くはないものの、ブラウン、グリーン、バイオレットの人気は一貫している。これらのカラーが、最も人気のあるホワイトに挑むまでには長い時間がかかるが、現在のところ、これらがアジア太平洋地域のカラーに圧倒的な多様性をもたらしている。
「アジア太平洋地域の人々は、自分の自動車のカラーを選ぶことを本当に楽しんでいます。カラーは非常に人間主体なものであり、柔軟で、自由で、地域とその人々の多様性を表しています」と、アジア・パシフィックのデザイン責任者、松原千春氏は述べている。
南米:保守的な消費者はより保守的なカラーを選択
世界の他の地域で非常に人気のあるレッドやブルーのような色は、南米では、特にスポーティーな自動車で個性を表現しようとしている自動車購入者の間では、依然として特別なカラー。さらに重要なのは、市場が無彩色を好むことだ。
歴史的に、南米の自動車購入者は、より伝統的で派手さのないカラーを選んできた。他の地域と同様、ホワイトが圧倒的に人気で、OEM車の約39%を占めている。グレーとシルバーの人気は他の地域よりも高く、それぞれ18%。無彩色の中で最も人気のないブラックは12%。無彩色は全体で87%を占めている。
他の地域とは異なり、有彩色の首位として際立つレッドは9%。さまざまな色合いのブルーは世界中で人気だが、南米ではブルーは市場の2%にすぎない。オレンジは新たに出現したが、ブラウンは安定し、ベージュはほとんどなくなっている。
「世界の他の地域で流行している傾向に、南米は遅れています。ここは文化的に色とりどりの面がある大陸ですが、人々は自動車に関してはより保守的になる傾向があります」と、南米自動車塗料の地域ビジネス・マネジメント担当ディレクター、マルコス・フェルナンデス氏は述べている。
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