どのアフリカツインを買うべきか? CRF1100L Africa Twinを徹底解説|ホンダ【東京モーターショー2019】
- 2019/10/27
- MotorFan編集部 北 秀昭
アフリカツインの歴史
ホンダは1988年、パリダカールラリー・レーサー「NXR750」のイメージを継承しつつ、「アドベンチャースポーツ」という新たなコンセプトを「XRV650 Africa Twin」として具現化し、新しい価値観とともに新たな市場創造に挑戦して実現。その後、XRVは750ccへ排気量アップと仕様装備を進化させながら、世界中で販売を続。Aけた。
Africa Twinは、世界中の多くのユーザーに支持され、累計で約7万3千台以上を販売したが、惜しまれつつも2001年に生産を終了。その後、Africa Twinの復活を望むフリークからの声に応え、「True Adventure」のコンセプトを掲げ、「CRF1000L Africa Twin」として、2016年に復活を果たした。
Africa Twinは、ダカールラリーに参戦している「CRF450RALLY」の技術をフィードバックした、高いオフロード性能とツーリング性能、また日常の使い勝手の良さを、高次元で実現したアドベンチャーモデルとして人気を獲得。
2018年には、アドベンチャーの可能性と世界観を拡げるモデルとして、ビッグタンクを備えた、Adventure Sportsをタイプ追加。発売当初から欧州を中心に、全世界で好評を博し、現在も好調なセールスを続けるヒットモデルとなった。
2020年モデルは、『走る・曲がる・止まる』の高い基本性能により、Africa Twinの持つ、トータルバランスの良さを高次元に引き上げ、装備の充実も含めて、あらゆるシチュエーションにおいて、安心して楽しく、時には快適な、時にはエキサイティングなライディングを可能にしている。
CRF1100L Africa Twin(アフリカツイン)・開発のねらい
あらゆるシチュエーションを網羅するトータルバランス
「過酷な大地を越えて冒険の道へと誘う True Adventure」の基本コンセプトを踏襲。「True Adventure」とは、オンロード・オフロード・普段の使い勝手を、高い次元でバランスさせることにより、快適に安心してどこへでもどこまでも行けること。
このトータルバランスを、さらに磨き上げることを開発の狙いとし、以下の項目に主眼を置いて開発が進められてきた。
①日常の使い勝手や高い運動性能を支える軽量化
・メインフレームの刷新 ・別体アルミ製シートレール ・スイングアームの刷新
・アルミスリーブ ・ミッションの最適化
②長距離移動の快適さやエキサイティングな走りを支える出力の向上
・排気量UP ・排気バルブ(マフラー内) ・吸排気系の刷新
③快適、安心を支える各種装備の追加
・6.5インチ TFTカラーディスプレイ ・クルーズコントロール ・コーナリングライト※ ・チューブレスホイール※
※ タイプ設定。
True Adventureの可能性を拡げる、2つのモデル
・CRF1100L Africa Twin
「さまざまなシチュエーションをダイナミックにエキサイティングに楽しみたい」という冒険心に応えるモデル。
・CRF1100L Africa Twin Adventure Sports
「もっと遠くへ行きたい」、「もっとタフに過酷な挑戦をしたい」という更なる冒険心に応えるモデル。
True Adventureの可能性を拡げる二つのモデル
CRF1100L Africa Twin
様々なシチュエーションをダイナミックにエキサイティングに楽しむための進化。
・新型のフロントフェアリング 灯火器の変更とエアーマネージメントによる新規フェースデザイン。
・容量18Lフューエルタンク。
・フレーム骨格見直しと各部軽量化による運動性能の進化。
・動力性能向上と快適性向上を目指し、1,082ccへ排気量アップ。
・新設計した吸気系、排気系でパルスフィールと迫力のサウンドを実現。
・様々な走行状況で最適な走りを実現するライディングモードを追加。
・長距離を快適に移動できるクルーズコントロール。
・オフロードでコントロールしやすいセッティングも選べるモード選択式ABS。
・グリップヒーター、ETC2.0 、 ACC ソケット。
・インフォティメントに対応した、タッチパネル式TFT液晶マルチインフォメーションディスプレイ搭載。
※USBケーブル有線接続でのApple Carplayに対応。Bluetoothによるスマートフォンやヘッドセットとの接続が可能。
CRF1100L Africa Twin Adventure Sports
Africa Twinをベースに以下の装備を追加。
・大容量24Lフューエルタンク。
・5段階調整式大型スクリーン。
・コーナリングライト。
・チューブレスタイヤとチューブレスタイヤ用スポークホイール。
・アルミリアキャリア、ビッグスキッドプレート。
・電子制御サスペンションEERA(※タイプ設定)。
(ショーワ社製電子制御サスペンション EERA : Electronically Equipped Ride Adjustment)
フレームボディ
新規開発のフレームボディは、従来モデルに対して、軽量化と適度な「しなやかさ」の剛性バランスをさらに追求し、なおかつ排気量アップに伴う必要な剛性を確保することで、「オフロード走行での扱い易さ」に磨きをかけるとともに、「タフなオフロードシーン」 「ハイウェイでのタンデム走行」 「荷物を満載にした走行」などの車体への負荷の厳しい、様々な走行状況下においても、必要な性能を獲得。
フレームボディは、コンペモデル「CRF450R」と同様の整備性の良い前後別体を採用。基本構造は、従来モデルのメインフレームを踏襲しつつも、全ての部品の細部に至るまで見直しを行い、オフロード、オンロードのさまざまな走行シーンで要求される剛性バランスの最適化と軽量化を実現している。
サブフレームは新設計のアルミ製を採用することで、徹底的な軽量化を図りながらも、オプションで装着される大型のボックスや積載される荷物の加重に十分耐える強度と剛性を確保している。
また、フレームボディトータルで、従来モデルに対して約1.8kg軽量化。これにより完成車全体の軽量化に貢献している。
フレームボディの「ヘッドパイプ」「メインパイプ」「ロアパイプ」
フレームボディは従来モデルに対して、以下の部分を変更。
・ヘッドパイプ
ヘッドパイプ周りガセットの見直しによりねじれ中心を下げて前輪接地点変化を抑え、さらに剛性の適正化により軽量化と安定感を両立したハンドリングを実現。
・メインパイプ
ヘッドパイプとピボットプレートをつなぐメインパイプは、上から見たときに、従来モデルに対して直線的にラインを通したことで、前後方向の剛性を向上。従来モデルでは設定されていたクロスパイプを廃止しながらも、ブレーキング時などの前後方向に荷重が入力されたときの安定感を確保し、軽量化と剛性のバランスを両立。
・ロアパイプ
従来モデルでは整備時のエンジン搭載をしやすくするため、別体ボルトオン仕様としていた右側のロアパイプを溶接一体構造とすることで、シンプルで軽量な仕様に変更。エンジン搭載性は、右側のロアエンジンハンガープレートと、右側後方のアッパーエンジンハンガープレートを別体化することで、従来モデルと同等レベルを実現している。
「ピボットプレート」「クロスパイプ」「リヤフレーム」
「ピボットプレート」は、従来モデル同様の鉄製のプレスプレートを2枚重ね合わせる「モナカ仕様」を踏襲しているが、内板には600MPa級の高強度鋼を用いることで、内外両方の板厚を薄くし軽量化を実現。外板はプレス性の良い深絞り用鋼板を用いることで、メリハリの効いた外観意匠を再現。
「クロスパイプ」は、左右のピボットプレートを上部で連結するセンタークロスパイプを、リヤサスペンションの上側取り付け部のサスペンションストローク方向延長線上に設定することで、リヤタイヤから入力される路面情報をダイレクトにフレームに伝達することができ、リヤタイヤのトラクションをより感じやすくしている。
「リヤフレーム」を別体化するにあたり、シートレール前方部の幅を従来モデル比で40mm細くし、ライディングポジションを変更せずに、足つき性の向上を実現しているのもポイントだ。
新設計フレームのディメンションについて
新設計のフレームのディメンションは、オンロード・オフロード・荷物積載時の長距離走行・普段の使い勝手など、あらゆる使用条件での性能を高い次元でバランスさせたフレームワークと細部を含めた軽量化により、オフロード走行時における重心バランスの適正化を実現。
・最低地上高は、高いオフロード走破性に寄与する210mmをキープ。
・シート高は、容易な操作で810mmと830mmの2ポジションを好みに合わせて調整可能。
・シート幅は従来モデルに対してシートレール幅とシート下部断面幅を20mm狭くしたことで、足つき性の良さ実現。
・ハンドルポジションを従来モデルのCRF1000L Africa Twinより22.5mmアップし、より長距離走行での快適性とオフロードの走破性の両立と向上を実現。
ライディングポジションは、街中での走行からロングツーリングやオフロード走行までを、軽快にこなせる使い勝手の良いアップライトなポジションとし、スタンディングでの走行やコーナリング、オフロードでの体重移動もスムーズに行えるポジションとしている。
CRF1100L Africa Twin(アフリカツイン)の車体
フロントスクリーン
CRF1100L Africa Twinのフロントスクリーンは、固定式のショートタイプを採用。不整地でのアグレッシブな走行では、前後のスムーズな体重移動を妨げることなく、走行路面の確認が容易であり、高速移動中は、胸元への強い風当たりを軽減してくれる高さに設定。また、ツーリングなどの用途に合わせ、オプションの固定式ロングタイプも用意されている。
CRF1100L Africa Twin Adventure Sportsのフロントスクリーンは、長距離ツーリングの快適性を重視して、ロングスクリーンタイプを採用。ライダーのポジションや体格に合わせて調整ができる、可変式としている。可変スクリーンは、インナーパネルの左右のノブを操作して、高さと角度が5段階に調整が可能。
シートタイプとアジャスト
シートは、従来モデルに対して幅を約20mm狭くしたことで足つき性を良くするとともに、ライディングの自由度も向上させ、スタンディングポジションでのライディングも楽に行えるようにしている。シートは、高さを830mmと810mmへアジャスト可能な仕様とし、オプションでローシートも設定済みだ。
CRF1100L Africa Twin(アフリカツイン)の足周り
電子制御サスペンション・システム「EERA」を採用(CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESのみ)
CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESのサスペンションシステムは、ショーワ社製電子制御サスペンション「EERA(Electronically Equipped Ride Adjustment)」を採用。
EERAは、走行中のサスペンションストローク速度と車両の走行状態に応じて、瞬時に減衰力を最適化する優れた応答性を有しており、「低車速の乗り心地⇔高車速の安定感」、「オンロード走行性能⇔オフロード走破性」など、相反する走行シーンに求められるサスペンション特性を高次元で両立させることを狙いとしている。
日常の使い勝手から、タンデムや荷物積載時のツーリング、また、オフロードでのファンライドまで、様々な走行シーンに最適な4つのサスペンションモードを設定。ライディングモードと連動させることで、手元のスイッチ操作ひとつで、最適なサスペンション性能が得られるのがポイント。
また、電動プリロードアジャスターも備えており、車両状態に応じて、①一人乗り ②一人乗り+積載 ③二人乗り ④二人乗り+積載 を選択可能。「USERモード」では、ユーザーの好みに合わせて、アジャスト位置を24段階から細かく調整することが可能だ。
「EERA」のサスペンションモード (CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESのみ)
HARD・MID・SOFT・OFFROAD・USERモードの5つの選択肢を設定。ライディングモードに応じて、最適なサスペンションモードが自動で選択できる。
・ HARD:車体の姿勢変化を抑える硬めのモード。減衰力を高めることで車体の姿勢変化を抑え、 よりダイレクトな操作フィーリングを追求。
・ MID:様々なシチュエーションと使い勝手に適応したモード。オールラウンドにバランス良い特性。
・ SOFT:作動性、ストローク感向上により、路面状況の悪い走行場面でも快適に安定感のある走行が可能。
・ OFFROAD:オフロード走行を中心に楽しむために特化したモード。
・ USER:好みに合わせて、減衰力とプリロードの設定変更の微調整が可能。
「フロントフォーク」「リヤサスペンション」「スイングアーム」
フロントフォークは、185mmのストロークとフルアジャスタブル機構を備えた倒立式を採用。セッティングを最適化し、オフロード走破性とオンロードの快適性を向上。
リヤサスペンションは、走破性と快適性を両立しアクスルトラベル180mmを備え、最低地上高210mmを確保し、オフロードの走破性に寄与。新たにサスペンション配置をセンターレイアウトに変更し、かつメインフレームとの締結部にピロボールを採用することで作動性と路面追従性を高め、オフロードでの走破性とオンロードの快適性を獲得している。
新開発のスイングアームは、CRF450Rと同じアルミ製の軽量高剛性タイプを採用することで、従来モデルに対して約500gの軽量化を実現している。
「ABS」について
ABSは、様々なシチュエーションでのブレーキの安定性と安心感を高めるために、以下の新技術を採用。
●選択式ABSモード
ABSは、On-RoadモードとOff-Roadモードの2通りのモードを備え、オンロード、オフロードそれぞれの走行に適したセッティングとすることで、ライディングモードと連動して、走行シチュエーションにあった制動性能と安心感を提供。
●IMU(慣性センサー)を備えたABS(コーナリングABS/リアリフト制御)
コーナリング中にブレーキをかけた時には、IMUの信号から算出した車体バンク角と、前後車輪速センサーから算出した車体減速度及び前後輪スリップ率から、ホイールロックが発生しないよう、バンク角に応じて、制動力をコントロール。
また、急制動時にはIMUの情報からリアタイヤの浮き上がり傾向を検知し、ブレーキ圧を緻密にコントロールすることで、高い制動性能を発揮しながらもリアリフトを抑制し、安心感を向上させている。これらにより、直進時やコーナリング中など、様々な場面でブレーキング時の安心感に寄与している。
●ABSオン/オフ切り替え
ライディングモードが「OFFROAD」、もしくは「USER」モードの時には、リヤのABSをオフに設定でき、オフロード走行の使い勝手を向上。リヤ側のABSをOFFにすることにより、リヤブレーキはライダーの操作だけでコントロールすることが可能だ。
この場合、インジケーターによりリヤのABSがOFF状態であることを表示。 リヤのABS キャンセルは、停車時のみ設定可能で、走行中の変更は不可。停止時に再度スイッチを押した際や、イグニッションスイッチをOFFからONにした際、両輪のABSがONの状態に戻るシステム。
※ ABSはライダーのブレーキ操作を補助するシステム。ABSを装備していない車両と同様に、コーナー等の手前では十分な減速が必要であり、無理な運転までは対応不可。
CRF1100L Africa Twin(アフリカツイン)のパワーユニット
「エンジン」「トランスミッション」
新しいパワーユニットは、従来モデル(998cc)同様のOHC水冷2気筒で、排気量を1,082ccとすることで、従来モデルに対して約7%の出力向上を実現。また、ピストンやクランク形状、さらに、セラシギアの廃止など、細部にわたり見直しを図ることで、より軽量化に寄与。
排気量アップを図りながら、エンジン重量はマニュアルトランスミッション(以下MT)タイプで 、マイナス2.5kg、Dual Clutch Transmission (以下 DCT)タイプで、マイナス2.2kgの軽量化を達成しているのがポイントだ。
スロットルボディは排気量アップに伴い、ボア径をアップ。さらに、ボアピッチをシリンダーピッチと揃えることで、吸気ポート形状をスムーズにし、吸気効率を向上させ出力アップを実現している。
また、従来モデルと同様、「Throttle By Wire(以下TBW)」を採用。さらに応答速度を向上させることで、ライダーの操作要求に対し、よりリニアに反応することを可能としている。インジェクターは、噴射角など配置を見直すことで、よりダイレクトに燃焼室に噴射させ、燃焼効率を向上。
トランスミッションは、 「DCTタイプ」と「MTタイプ」を設定。MTタイプには、クイックシフターをオプションで設定し、TBWと相まって、より的確なドライバビリティを発揮し、さらなるアドベンチャーフィールを体感できるように設計。
●DCTタイプ
2016年モデルでDCT搭載モデルを発売以来、「自動変速でオフロードを走る」という新しい価値を提唱。Africa Twinにおいては、約50%のユーザーがDCTタイプを選択している。
ライダー自身でのクラッチ操作や、ギアチェンジ操作が不要となるため、不整地走行では走行ラインのトレースと加減速に集中でき、また不意のエンストへの心配からも解消されることから、積極的にオフロード走行が楽しめる。日常の足としての利用やツーリングにおいても、より快適な走行が可能だ。
●MTタイプ
どんなに制御技術が進化しても、自らシフト操作をし、加減速を楽しみたいと思うユーザーのニーズにも応えるために、DCT機構を搭載しないMTタイプを従来モデル同様にスタンバイ。
オプションのクイックシフターにより、シフトチェンジ時のクラッチとスロットル操作を不要とし、シフトロッドに配置されたストロークセンサーが、シフトペダルの操作荷重を信号に変換。ECUが持っている車速、エンジン加減速状態、ギアポジションの情報と合わせることで、燃料噴射の停止タイミング、スロットルバルブ開度、点火時期を制御し、ミッションギアの駆動荷重を抜くことで、シフトチェンジを実行。状況変化に対応して、思い通りのシフト操作を可能としている。
吸気/排気系
エキゾーストシステムは、従来モデルの998cc に対して1,082ccへの排気量アップに伴い全面的に見直し、ハードウェアの進化とソフトウェアの緻密な設定により、環境適合性の世界最高水準に目標をおき開発。
キャタライザーは、エンジン排気ポートから適切な位置に、前後2段のキャタライザーを配置することで、キャタライザーの活性化時間を稼ぎつつ小型化を達成。さらに、エキゾーストの集合部で排気ガスに旋回流を発生させることで、キャタライザー表面に均一に排気ガスを当てることが可能となり、排気ガスの浄化を効率的に行えるようにしている。重量物であるキャタライザーを重心位置に近づける事で、マスの集中に寄与し、高い操縦フィーリングにも貢献しているのもポイント。
LAFセンサーは、2本のエキゾーストパイプのそれぞれの上流部に配置し、各気筒の燃焼状態を常に監視。適正かつ緻密な燃焼制御を行うことで、優れたエミッション性能を実現。
マフラーは、排気量アップと出力向上に伴う容量増、重量増を極力抑えながら、出力と排気音、パルス感を両立させるために、CBR1000RRと同様の排気バルブシステムを採用。低回転域では、2系統の排気経路によりパルス感を得られるように演出し、高回転域では1系統の排気経路により効率よく排気することで出力向上に寄与している。
CRF1100L Africa Twin(アフリカツイン)の電装 / 制御系
6つのライディングモードを採用
アドベンチャーツーリングで遭遇するさまざまなシチュエーションに対応し、安心して楽しく走行できる6つのライディングモードを採用。
・TOURモード = 荷物を満載した長距離ツーリングなどを想定したモード。 荷物満載時でも力強く加速する。
・URBANモード = 幅広いライディングニーズに対応したモード。
・GRAVELモード = 条件の悪い路面でも安心快適に走行するモード。 フラットなダート走行に向く。
・OFFROADモード= 悪路走行を楽しみたい時に選択。 本格的なオフロード走行が可能。
・USER1モード = 自分の好みのモード設定を記憶させることが可能。
・USER2モード = USER1モードの他、更に1モード好みのモード設定が可能。
DCT制御の見直し
二つのクラッチの切り替えにより、駆動力の途切れがなくスムーズで素早い変速を追求したDCTは、よりライダーの感覚に近づいた進化を遂げた。今回、排気量を1,082cc へアップしたことで、以下のDCT制御を見直した。
・慣性センサー(IMU)を用いたコーナリング走行検知制御の追加により、 シフトタイミングをよりライダーの感性に近づくよう進化。
・発進制御の熟成による、滑らかな走り出しによる安心感の追求。
・変速制御の熟成による、スポーツフィーリング溢れるダイレクト感の演出。
DCTモード設定
DCTは、好みや状況に合わせて走行モードを選択する事が可能。走行モードには、状況に応じて適切なシフトアップ/ダウンを自動的に行う「ATモード」、シフトスイッチにより任意に変速できる「MTモード」を設定。
さらにATモードには、一般走行に適した「Dモード」とスポーティーな走行に適した「Sモード」を採用し、「Dモード」はライダーの操作から市街地やワインディングなどさまざまな走行環境を判断し、適切に変速を制御している。
「S モード」は、より好みにあった走行を可能とするため、3段階のシフトタイミングを選択し記憶できるよう設定。よりスポーティーに高回転域を多用するレベルから、中回転域をメインとしてトルクフルに走行できるレベルまで、ライダーの好みに近いシフトタイミングを選択可能として走りの
バリエーションを広げているのが特徴だ。
G-Switch(DCTタイプのみ)
使い勝手や路面状況などに対応して、G-SwitchのON/OFF操作により、ライダーの好みによる走りの体感が可能。G-SwitchがOFF状態の時には、急なスロットル操作により、エンジン出力が変化してギクシャクする車体挙動を低減するために、クラッチ容量をエンジントルクに追従させて最小限に抑制。
これにより、低速でUターンする時などでも、スロットル操作に対する車体挙動に安定感をもたらし、安心感をもってターンすることが可能。また、スロットル急操作による車体挙動の変化を低減させることで、ツーリングなど長距離走行におけるライダーの疲労を軽減。
これに対して、G-SwitchがON状態の時には、エンジントルクに対するクラッチ容量に余裕を持たせ、オフロード走行時のアクセル操作で車体姿勢を立て直す場合や、後輪をスライドさせる場合など、優れた取り回し性に寄与させている。
Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)
CRF1100L Africa Twinに搭載した「Hondaセレクタブルトルクコントロール(以下HSTC)」は、今回新たに採用したIMUセンサーの情報を活用することで、より緻密なスリップコントロールを実現。さらにウイリーコントロールを追加し、幅広いライダーのアクティブなライディングを支える制御として進化しました。
●スリップコントロール
前輪と後輪の速度センサー情報により、ECUが後輪スリップを検出し、走行中のスリップ増加に合わせエンジントルクの制御を実施。速度センサー情報より算出されるスリップに加え、スリップ変化率やIMUセンサーによる車体のロールなどの情報を組み合わせ、緻密な制御を行うことで、安心感と加速性能を両立している。
スリップコントロールレベルは従来モデル同様の7レベル+OFFをスタンバイ。各レベルにおける制御介入を見直し、これまでよりも幅広い制御領域に対応し、さまざまなライダーの要求に対応できる制御へと進化させた。
●ウイリーコントロール
スリップコントロールに加え、ウイリーコントロールを新たに追加。前輪と後輪の速度センサーが、フロントアップによる前輪の減速と後輪の加速を感知した場合、IMUセンサーからの車体のピッチ角度情報に基づいてエンジントルクの制御を行う。ウイリーコントロールレベルは、3レベル+OFFの設定
が用意されている。
レベル3は、あらゆるシーンでフロントアップをおさえ安心感を得ることができ、レベル1は、意図したフロントアップが可能で、急激なフロントアップのみ抑制し、レベル2はそれらの中間的な制御を行うことで、さまざまなライダーの要求に対応。
6.5インチタッチパネルを採 用したメーター
CRF1100L Africa Twinは、豊富な情報を見やすく、かつ扱いやすくするように、6.5インチタッチパネルを採用。明るく見やすいTFTパネルは、ライディングに集中しつつも、メーターからの情報を的確に認識することが可能だ。
また、TFT液晶パネルを介して、「Apple CarPlay」のアプリケーションを利用でき、「Bluetooth」によってスマートフォンやインカムとの接続も可能となっている。
画面表示は、ユーザーの好みに応じて、3パターン画面表示と背景色を選択することができるように設計。
<画面表示>
・ GOLD :すべての数値情報・モード情報を均一に表示
・ SILVER :速度計をメインに半円グラフでエンジン回転数を表示
・ BRONZE :エンジン回転数を重視し、一目で解るグラフ表示
<背景色>
・ 自動設定
・ 白背景
・ 黒背景
● Apple CarPlay
iPhoneをUSBケーブルで接続することにより、スマートフォンのアプリケーションを使うことが出来る。電話、音楽、ナビ、SNS、Apple認証アプリケーションなど、便利で快適なツーリングを提供。なお、携帯電話を充電しながらApple CarPlayの使用も可能。また、マイクを使用することで音声操作も行うことができる。
●Bluetooth(Phone & Audio)
電話の機能は、電話帳、ダイヤル番号、履歴、短縮ダイヤル。音声案内は、電話番号・氏名、回答、拒否などが行える。オーディオの表示は、プレイリスト、アーティスト、曲名、再生位置などとなっており、操作は、再生、停止、早送り、巻き戻しなどができる。
フロントフェイスとライト周り
CRF1100L Africa Twinは、歴代の Africa Twin のアイデンティティを踏襲しつつ、フロントフェイスを刷新。また、夜間走行時、コーナリング時にバンク角に応じて3段階で照射範囲が切り替わる、コーナリングライトをAdventure Sportsに採用。夜間時の視認性を向上させている。
オートキャンセルウインカー
右左折完了時や車線変更完了時に、自動でウインカーをキャンセル。ライディング時における、ウインカーの消し忘れを防止し、操作の負荷を減らすことで快適性を確保。また、好みに応じてオートキャンセルの機能をOFFにさせる事もできる。
IMU(慣性センサー)で操る楽しさをアップ
Africa Twinに搭載した「IMU」は、6軸を計測することにより、正確でリアルタイムに車体状態を測定することが可能となり、各種制御の精度を大幅に進化。的確な制御によりコントロールする楽しみが増し、走る喜びを進化させた。
IMUから得られた情報により、クイックシフター※1 ・DCT※2 ・HSTC ・ウイリーコントロール ・電子制御サスペンション※2・ABS・ヘッドライド(コーナリングライト※2)を的確に制御。
これにより、クイックシフターは、コーナリング時のシフト操作の高い信頼性を確保。DCTは、坂を上り下りするときのシフトスケジュールを的確に制御し、登坂、降坂時に不安のない走行を可能としている。
また、「HSTC」は、荒れた路面での横滑り時のスリップコントロールを支援し、ヘッドライトのコーナリングライトは、バンク角によりライトの点灯/消灯を実施。コーナリングABSの制御や、サスペンションの後部リフト制御、ジャンプ時の姿勢制御やABSに連動した姿勢制御にも効果を発揮してくれる。
※1. オプション ※2. タイプ設定
エマージェンシーストップシグナル
急な状況の変化に対応するために、「エマージェンシーストップシグナル」を従来モデル同様に標準装備。これは、ライダーが急ブレーキをかけた場合、ABSモジュレーターが急減速を検知し、ウインカーランプが高速点滅することで、急減速状態を後方に知らせるシステム。後方の他車両へのコミュニケーションがアップすることで、より安心で快適な走行を可能にしている。
コンパクトなリチウムイオンバッテリーを採用
バッテリーは、軽量コンパクトな「ELIIY Power社」のリチウムイオンバッテリー「HY110」を装備し、車体全体の軽量化とマスの集中化に寄与している。
ホンダ|CRF1100Lアフリカツイン登場! 排気量が1000cc→1100ccに増大、フレームも進化【東京モーターショー2019速報】
2019年10月24日(木)~11月4日(月)の12日間に渡り、東京ビックサイト(東京都江東区有明)にて開催される、「第46回東京モ...
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