250ccのレブルは人気だけど、500の方はどうなんだ? |レブル500試乗レポート
- 2020/10/04
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MotorFan編集部 近田 茂
エンジン以外はレブル250とほとんど共通で造られている同500は、2020年2月27日にマイナーチェンジを発表。250から遅れる事約一月の4月24日にHonda Dream店で発売開始された。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン
ホンダ・レブル 500.......799,700円
実はレブルには250、300、500の3機種が生産されているが、日本市場にリリースされているのは250と500の2機種。その違いの大きなポイントは排気量が異なる点と、ツインエンジンを搭載している事である。
250は単気筒だが、500は右サイドカムチェーン方式の直(並)列2気筒。水冷DOHC4バルブ。メカニカルノイズを低減して排気音を聴かせるようにチューニングされた2into1マフラーは、外観は250と共通としながらも内部のダブルチャンバー構造は専用デザインされている。
ベースとなったのはCBR500Rのエンジンだが、吸排気系や電子制御のチューニングによってピークパワーを抑えるかわりにトルクを増幅。実用域でより扱いやすい出力特性を獲得していると言う。
ボア・ストロークはほぼスクエアに近い67×66.8mm。スポーツ系バイクと比較すると回転のリズムや伸び感は傾向としてゆったと穏やかな物に仕上げられているわけだ。
最高出力、最大トルク共に発生回転数は250のそれよりも1,000~1,250rpm低くなっている所も印象的。レブルのキャラクターにより相応しい穏やかな雰囲気の中に十分な底力を発揮する出力特性を誇り、当然ギヤリングも高めに専用セッティングされている。
車重は190kg 。前後サスペンションも基本的には250と共通のSHOWA 製だが、使用されるバネ定数が異なることは間違いなく、当然ダンピング特性もそれぞれに専用チューニングされているわけだ。
販売面で国内での主力モデルは250。価格面でも約20万円の格差があるが、コンセプトを忠実に表現されたモデルとして、その注目度は侮れない。
トルキーで豊かな乗り味
車体サイズと見た目のデザインはレブル250 とほとんど同じ。足つき性もしかりでシートに腰を落とすと両足は地面にべったり。膝を曲げた状態で楽にバイクを支えることができる。ただ、バイクを引き起こす時の感覚や車庫からの出し入れ等で取り回す時は、手応えに明らかな差がある事に気付いた。
諸元値による車重の差は20kgあり、500の車両重量は190kg。操舵フィールも少し重みの有る落ちついた印象を受ける。気軽に乗れる軽快感では250優位だが、500適度な重みの伴うしっとりと落ちついた雰囲気。それはそれでなかなか大人びた魅力が感じられる。
ライディングポジションは250 と共通。しかし搭載エンジンには単気筒と2気筒、そして排気量の違いがあり、股の下にあるパワーユニットにそれなりのボリューム感がある。
ワイドなステップに足を乗せるとクランクケースの右側、クラッチ側ケースカバーに踝が当たってしまう。あえてニーグリップすると右足だけ、膝下がハの字になってしまう感じ。ただ、どちらかと言うとお気楽な気分で乗るに相応しいキャラクターもあって、直ぐに慣れてしまうレベルであまり気にならなくなったのも事実である。
逆に好都合だったのは、足を地面について車体を支える時、右膝をクラッチケースカバーに当てがうと、つっかえ棒の様になって、楽に支えることができた。
走り始めると太い中低速トルクのお蔭で、常に余裕たっぷり。バイク自体が楽~に走ってくれる雰囲気である。加速力がどうとか言う事よりも悠然と走れる豊かな乗り味が気持ち良い。
排気量が400ccでは無く、あえて500ccが選択された理由が良くあらわれているのである。
外付けの回転計を装着してみるとアイドリングは1,200rpm。市街地の流れに同調してごく自然な加速力で走ると、使用回転域はだいたい3,000rpm程度で済んでしまう。250 よりも1,000rpmは低いところで走れてしまうユトリが、とても豊かな心地よさを生んでいる。
ローギヤで5,000rpm回した時のスピードは35km/h。そして6速トップギヤで100km/hクルージング時のエンジン回転数は4,500rpm弱だった。250と比較して圧倒的に高めのギヤリングながら、グイグイとパワフルなスロットルレスポンスを発揮できる余裕綽々な乗り味は500ならではのチャームポイント。
特に3速や4速ギヤでスロットルを軽く開けて行く時の吹き上がりと伸び感は爽快。低く乾いたエキゾーストノートとスムーズに吹き上がる様は、1970年代に聴き覚えのあるCB350エクスポートのホンダサウンドそのものだった。
250と同様に前方からの風を心地よく全身に浴びながら走る感覚は、バイクの醍醐味を存分に楽しませてくれるのである。
操縦性も基本的に素直で扱いやすい。ライディングポジション的にもスポーツバイクの様にコーナーを攻めるような走りは似合わない。
ごく普通の、ゆるいコーナリングは自然な操舵で気持ち良く曲がる。広大な北海道や九州の峠道をルートに入れて旅に出てみたくなる気分になってくるから不思議だ。
旋回中に深くバンクさせると、スタリングが切れ込み加減でバイクが起きようとする傾向が少し見られるので、そんな時は若干の当て舵操作が必要。旋回中にギャップを拾った時もバイクが立つ挙動が出る。500は250のそれよりも重みを伴う感じである。
そしてもうひとつ大きな違いが感じられたのは、前後サスペンションの動きが上手く調教されていた事である。基本的には車重に応じて異なるバネ定数の専用スプリングが採用されているわけだが、ダンパーの効き具合とのマッチングに優れている。特に悪路を通過時の衝撃の緩衝具合が良く、バネ下が暴れる雰囲気が少ない。
つまり、ロードホールディングに優れ、路面をなめるような感じでスムーズに走ってくれ、乗り心地が良いのである。風を浴びて走るバイクの気持ち良さを再確認し、原点回帰を図る大人のバイクとしても、なかなか魅力的な1 台なのである。
なお、今回の走行距離は約130km。満タン法による実用燃費計測結果は、27.4km/Lだった。
足つき性チェック(身長168cm)
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