【排気サウンド動画あり】ホンダCB650R試乗「やっぱり4気筒って最高!」
- 2019/08/15
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MotorFan編集部 小泉 建治
ホンダが掲げる「Neo Sports Cafe」シリーズの第4弾、CB650Rに試乗する機会を得た。オーセンティックなカフェレーサー風のデザインながら、ライディングポジションや運動性能はストリートファイター然としており、アグレッシブな走りを楽しめる。そしてなにより、クラス唯一の4気筒エンジンが、このバイクのキャラクターを決定づけていた。
PHOTO&REPORT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
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前衛的かつ先鋭的なグローバル戦略モデル
ホンダが2018年初頭から展開を始めた「Neo Sports Cafe」シリーズは、伝統のCBのネーミングとデザインモチーフを継承しつつ、最先端の運動性能も追求した新しいモデルラインだ。
CB1000Rに始まり、CB125R、CB250Rと続き、このCB650Rでひととおりラインナップが完成したことになる。
シリーズ全体の特徴は、なんといってもレトロモダンなカフェレーサー風のデザインだ。ただしデジタルメーターやLED製の各灯火類など、細部は迷いなく現代流に仕立てられている。そして幅広なハンドルバーと高いシートがもたらすストリートファイター的ライディングポジションを持ち、末っ子のCB125Rも含めて全車ともに倒立フォークとラジアルマウント式ブレーキキャリパーを備えるなど、走りを妥協なく追求しているのも大きな特徴だ。
つまり、昔ながらのCBの乗り味や見た目に重きを置いたCB1300、CB1100、CB400に対し、「Neo Sports Cafe」シリーズは思いっきり前衛的かつ先鋭的に仕立て上げられたグローバル戦略モデル群なのだ。
そんななかでもCB650Rだけの特徴と言えるのが、もうみなさんも写真をご覧になって気づいているであろう、美しく並べられ、揃ってカーブを描いている4本のエキゾーストパイプである。
これをやられたら、そりゃあオジさんたちはコロッと参ってしまうだろうよ。
もちろんこいつは、あの「ヨンフォア」こと、名車CB400フォアをオマージュしたものだ。だがそんな歴史を知らなくても、このエキゾーストパイプの造形は多くの人が美しいと感じるはず。「Neo Sports Cafe」シリーズのなかでもCB125RとCB250Rは単気筒だからそもそもこうはならないが、CB1000RではなくCB650Rにのみこの造形を与えたホンダの意図や如何に? CB650Rこそ本命……そんな思いが頭をかすめる。
いよいよエンジンに火を入れる。ズズズズズ……とアイドリング音からして勇ましい。軽くブリッピングすると、4気筒らしい軽やかなフケ上がりと回転落ちの速さに口元が緩む。
シート高は810mmとそこそこの高さがあるが、シート前端が絞られており、身長174cm、体重76kgの筆者だと両足がべったり着いて膝が軽く曲がる。
走り始めると……とにかくエンジンのピックアップが鋭い! とりわけ4000rpmからの炸裂感が凄まじく、1万2000rpmまで一気呵成に回り切る。かといって低回転域で扱いづらいということもなく、終始滑らかでギクシャクすることはない。とにかく「上質」なエンジンだ。
思えば600ccクラスで4気筒エンジンを搭載するのは、ヤマハYZF-R6とカワサキZX-6R、そしてCB650Rおよびコンポーネントを共有するCBR650Rの4台のみになってしまった。前者の2台はバキバキのスーパースポーツだから、カジュアルに楽しめるのはこのCB650Rと兄弟車のCBR650Rだけということだ。
CB650RのライバルはヤマハMT-07、スズキSV650、カワサキZ650になるが、いずれも2気筒だ。海外勢にはドンピシャの排気量を持つライバルは少ないが、例えばハスクバーナ・ヴィットピレン701は単気筒である。
単気筒には単気筒の、2気筒には2気筒のそれぞれ良さがあるから短絡的に優劣はつけたくないが、CB650Rの低回転域での滑らかさと高回転域での炸裂感はやはり4気筒ならではのものであり、ライバルに対する大きなアドバンテージだ。
サウンドに関しても同じことが言える。シングルやツインのドコドコ感も気持ちいいが、やはり4気筒の甲高く突き抜けるような雄叫びは痛快としか言いようがない。それがスーパースポーツのようにライダーにある種の忍耐を要求するのではなく、極めて安楽に楽しませてくれるのは、このクラスではCB650Rしかないのだ。
カウルを持たないネイキッドスタイルゆえ、高速道路での移動はそんなに楽しいものではないが、もちろん600ccクラスともなれば流れをリードするペースでの巡航は造作ない。
ひとつだけ気になったのは80km/hを超えた辺りから、メーターまわりでキュルキュルと風切り音が発生すること。ヒュルヒュルではなくキュルキュルと、けっこう耳につく音だ。メーターに手をかざすと見事に音が消えるから、市販のメーターバイザーなどで簡単に解決できそうだ。
そしてCB650Rが真価を発揮するのは、やはりタイトなコーナーが入り交じるワインディングロードだ。
まずなにしろポジションがいい。テーパーがかけられた幅広のハンドルバーと810mmの高めなシートが生み出すアグレッシブなポジションはライディングの自由度が高く、荷重移動は思いのままで、ホールド性の高いタンク形状のおかげでハングオフ姿勢もバシッと決まる。
さらにシート形状がすばらしい。腰を少し引くとフロントシートとリヤシートの段差の部分にピタリと尻が当たり、しっかりとリヤタイヤに荷重をかけることができるのだ。
つまりスーパースポーツ並みにライディングを楽しむことができるのだが、アップライトなストリートファイター流ポジションゆえ、下りのタイトターンなどではスーパースポーツに対してさえもアドバンテージがある。低回転域から滑らかにフケ上がるエンジン特性も相まって、公道ではスーパースポーツよりもCB650Rのほうが楽しめるだろう。
そもそも、ネイキッドスタイルにもかかわらずスーパースポーツと比較してしまうことじたい、CB650Rがいかに高い運動性能を持っているかを物語っている。もちろんそれは、クラス唯一の4気筒エンジンを採用していることが大きく影響している。
高額な輸入モデルがシングルやツインばかりを搭載しているからか、ともするとマルチシリンダーよりもシングルやツインのほうがプレミアムでありがたいものだとする風潮が昨今の日本の大型二輪マーケットでは見受けられるが、冷静に、常識的に、日本製4気筒の価値を評価したいところだ。もちろん筆者はシングルやツインも大好きだし、数値に表れにくい優位性を持っていることも理解している。だが、これだけ運動性能が高く、上質感も備えている600ccクラスの4気筒スポーツを100万円を切る価格で販売できるのは、やはり海外勢には真似のできないホンダの底力によるものと言うほかない。
そしてこれだけ洗練されたデザインをまとったカフェレーサー風ストリートファイターが本気の4気筒エンジンを搭載して現れたことには、素直に拍手を送るしかないのである。
全長×全幅×全高:2130×780×1075mm
ホイールベース:1450mm
シート高:810mm
車両重量:202kg
WMTCモード燃費:21.3km/L(クラス3-2/1名乗車時)
最小回転半径:2.8m
エンジン形式:水冷4サイクル直列4気筒DOHC4バルブ
総排気量:648cc
内径×行程:67.0mm × 46.0mm
圧縮比:11.6
最高出力:95ps/12000rpm
最大トルク:64Nm/8500rpm
燃料タンク容量:15L
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング
トランスミッション:常時噛合式6段リターン
フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター / トレール:25.3°/ 101mm
フロントブレーキ形式:油圧式ダブルディスク(ABS)
リヤブレーキ形式:油圧式ディスク(ABS)
フロントタイヤサイズ:120/70ZR17M/C(58W)
リヤタイヤサイズ:180/55ZR17M/C(73W)
乗車定員 :2名
車両価格:96万1200円
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