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今だからこそ欲しいゼロハンスポーツ「ヤマハ RZ50」を振り返る 昭和の名車ヤマハ RZ50|ゼロハン初の水冷エンジン、前後18インチの2スト原チャリスポーツ

  • 2019/12/17
  • MotorFan編集部 北 秀昭
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バイクビギナーの若者を中心に、爆発的なヒットとなった初期型のRZ50。

高度経済成長という、まだまだ発展途上だった1970年代を経て、モノの価値が量から質へとシフトし始めた80年代。そんな時代を予感したかのように、1981年(昭和56年)、ヤマハから「RZ50」が衝撃的にデビュー。RZ50は、兄貴分の2ストスポーツモデル「RZ250」の成功で、“RZブランド”を展開するべく市場投入され、RZシリーズの礎を築いた高性能な原付モデルだ。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

1981年(昭和56年) “RZシリーズ”の礎を築いた、伝説の水冷2ストゼロハン「ヤマハ RZ50」登場

バイクビギナーの若者を中心に、爆発的なヒットとなった初期型のRZ50。

 前後18インチキャストホイールの大柄なフルサイズフォルム、角張ったガソリンタンクからシートカウルへと流れる直線的なボディライン、四角いヘッドライト、スパルタンなコンビネーションメーター、そして50cc初の水冷エンジン、冷却フィンのないツルリとしたシリンダー、大型ラジエター、7.2馬力のパワフルな走り……。

 1981年(昭和56年)にリリースされたRZ50は、ミドルバイク以上のスポーツモデルのみ採用された、当時の最新テクノロジーを駆使するなど、これまでの原付モデルの概念を覆したモデル。発売以降、約10年に渡る長い期間、“スーパースポーツゼロハン”のトレンドリーダーとして支持された。

“スーパースポーツゼロハン”である「ヤマハ RZ50」の乗り味は?

 振動がとても少なく、下から上まで軽く回るエンジン、素直なハンドリング、乗り心地の良いサスペンションなど、既存のゼロハンのイメージをガラリと変えたRZ50。ライダーたちに、「これが本当に50ccなの?」と思わせるほど、当時は衝撃的な存在だった。

 発売当時のRZ50のライバルは、ホンダMBX、スズキRG-Γ、カワサキAR。パワフルな2ストロークエンジンを搭載したこの4台は、ストリートでも峠でも、人気を分け合っていた。

 MBXは大柄でどっしりとした車体に、狭くて強烈なパワーバンドを持ち、RG-Γは小さな車体に、フラットなパワーが特徴。ARは狭いハンドルに、空冷の心地良いエンジン音。各マシンは、それぞれ個性的な持ち味だった。

 そんな中、18インチのキャストホイールが生み出す安定感、素直でシャープなハンドリング、パワーバンドの広いエンジンを搭載したRZ50は、「バランスが良い」「スポーツモデルなのに乗りやすい」とビギナーにも好評だった。

RZ50は、ミニバイクレースでも敵なしだった?

 1985年頃から、日本全国で本格的な盛り上がりを見せたミニバイクレース。このレースでは様々なカテゴリーが設けられたが、「S50クラス(50cc改造ミッションクラス)」での主役は、RZ50だった。

 1988年あたりから、関東ではホンダMBX、関西ではヤマハRZが主流になり、東西による“ホンダ VS ヤマハ”の対決が起こっていた。

 ミニバイクレース人気に伴い、車両はどんどん過激化。サーキットには、車体の剛性不足を補うためアルミフレームに変更したり、ボア(ピストン径)を拡大し、ヤマハTZM50用クランクシャフトを使って排気量アップしたり、フルカウルを装着したカリカリのフルチューンRZ50改も登場。

 パワー重視の高度なチューニングを施し、長時間の全開走行をしても、耐久性を保持。加えて優れたポテンシャルを発揮したRZ50のエンジンは、当時のミニバイクレーサーからも高い信頼を獲得していた。90年代に入り、ヤマハからは新たにTZR50、TZM50が登場していたが、RZ50のエンジンは、根強くライダーに愛用されていたわけだ。

 1981年に登場したRZ50のエンジンが、1990年に発売されたTZR50に、何と9年もの歳月を経て引き継がれていたことからも、いかにRZ50の基本設計が素晴らしかったかが想像できる。

月刊モト・チャンプより
 写真は懐かしい「S50」のRZ50改。かつて、関西地区を中心にレース活動して大活躍し、現在はマフラー等でおなじみのバイクパーツメーカー「NRマジック」が手掛けた、カリカリのレース仕様だ。

 RS125用の足周り、CR80用リアサスペンション、Φ26キャブレター、大型の他車(250cc)用ラジエターなどで、細部まで徹底的にチューニングされている。

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