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Ninja ZX-25RとYZF-R25はライバルか否か。|250ccスポーツモデルを比べてみる

  • 2020/09/23
  • MotorFan編集部 北 秀昭
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写真上は4気筒エンジン搭載のカワサキ Ninja ZX-25R、写真下はMotoGPワークスマシン「YZR-M1」の縮小版を目指したヤマハ YZF-R25。

45馬力の水冷4気筒エンジンを搭載したクラス最強のNEWモデル「カワサキ Ninja ZX-25R」。2019年のモデルチェンジで大幅に進化した水冷2気筒のMotoGPワークスマシン・YZR-M1の縮小版「ヤマハ YZF-R25」。250ccという同じ排気量区分で、お互いにフルカウルだが、それぞれのキャラクターにはかなり大きな違いがある。カワサキとヤマハが誇る2台のスーパースポーツ250ccを徹底比較してみよう。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

カワサキ Ninja ZX-25R……82万5000円(SE/SE KRT EDITIONは91万3000円) ※10%消費税込

250ccクラス最高峰の45馬力を発揮!超高回転エンジンながら街乗りもGOOD

写真はNinja ZX-25R SE KRT EDITION(ライムグリーン×エボニー)。
 2020年9月10日、並列4気筒エンジンを搭載したカワサキのスーパースポーツ250cc、Ninja ZX-25Rが発売。日本に先駆け、2020年7月10日に先行発表されたインドネシア仕様の最高出力は、ラムエア加圧時で驚愕の51ps/15,500rpmを発揮。国内仕様はラムエア加圧時で46ps/15,500rpmに抑えられたものの、国内の250ccクラス最強のパワーを誇るのがポイントだ。

 ショートストローク型の超高回転型エンジンながら、低回転域を使用した街乗りでの扱いやすさも確保。高いレブリミット領域までスムーズに回転し、1万~1万7000回転の範囲では特にエキサイティングなフィーリングを発揮する。

 4気筒クオーター独特のエキゾーストノート、並列4気筒エンジンのパフォーマンスを最大限に引き出す新設計の高張力鋼製トレリスフレーム、クラス初装備のSFF-BPフロントサスペンションやホリゾンタルバックリンクリヤサスペンションなど、既存の250ccの常識をくつがえす豪華な装備が随所に投入済みだ。

 クラッチレバーの操作荷重軽減に貢献するアシスト機能と、シフトダウンに伴う急激なエンジンブレーキによる後輪ホッピングを軽減するスリッパー機能を備えたクラッチ機構の「アシストスリッパークラッチ」、LED灯火類、ABSなどの最新装備も標準装備。

ヤマハ YZF-R25……61万500円 (ABSは65万4500円) ※10%消費税込

ヤマハMotoGPワーク「YZR-M1」をイメージした外観!実用性とスポーツ性を見事に両立

写真はヤマハ YZF-R25 ABS(ディープパープリッシュブルーメタリック)。2020年モデルはブルー、ブラック、シルバーの3色。※下記のレッドは2019年モデル。
 スタイリッシュな外観、スポーツ性能に特化した走行性能、日常での扱いやすさを調和し、「毎日乗れるスーパーバイク」を具現化したヤマハ YZF-R25 / ABS。

 水冷4 ストロークDOHC直列2 気筒4バルブ249ccエンジンを搭載したこのモデルは、2014年に発売以来、20 代を中心とした若年層に人気を獲得。2019年にはヤマハのMotoGPワークスマシン「YZR-M1」をイメージした新しいデザインを採用。また、倒立型フロントフォーク、LEDヘッドライト、視認性の良いLCDメーターを導入するなど、走行性能や所有感を大幅に向上させた。

 ヘッドランプの中央には、「YZR-M1」のアイデンティティであるセンターダクトを採用し、MotoGPマシン「YZR-M1」のイメージをさらに強調している。

2020年型のヤマハMotoGPワークスマシン・YZR-M1。写真右は日本でも人気のMotoGPライダー、バレンティーノ・ロッシ選手。写真左はマーベリック・ビニャーレス選手。

両車のスタイリングとサイズを比較

▲カワサキ Ninja ZX-25R
▲ヤマハ YZF-R25(写真はABS)
▲カワサキ Ninja ZX-25R
▲ヤマハ YZF-R25(写真はABS)
▲カワサキ Ninja ZX-25R
▲ヤマハ YZF-R25(写真はABS)
▲カワサキ Ninja ZX-25R
▲ヤマハ YZF-R25(写真はABS)
▲カワサキ Ninja ZX-25R。アッパーカウルの中央部にはNinja ZXシリーズのトレードマークであるラムエアの吸入孔を設置。
▲ヤマハ YZF-R25(写真はABS)。左右のヘッドランプの中央部には「YZR-M1」のアイデンティティであるセンターダクトを採用し、MotoGPマシン「YZR-M1」のイメージを強調。
▲カワサキ Ninja ZX-25Rのガソリンタンクは容量15L。後端が絞り込まれたスリム形状で、上部には伏せた姿勢でヘルメットの顎を逃がす凹みをデザイン。
▲ヤマハ YZF-R25。前モデルよりもハンドル位置を22mm、タンクトップ位置を20mm下げ、サーキットの直線で前傾姿勢を取りやすく、旋回時には高いニーグリップ性を発揮。タンクの左右最大幅は前モデル比31.4mm拡大。燃料の容量は14Lを確保。
▲カワサキ Ninja ZX-25Rのテール部はシャープなイメージにデザイン。テールランプにはLEDを採用。
▲ヤマハ YZF-R25(写真はABS)のコンパクトなテール部。テールランプにはLEDを採用。

■カワサキ Ninja ZX-25R(SE KRT EDITION)
全長×全幅×全高:1,980mm×750mm×1,110mm
軸間距離:1,380mm
最低地上高:125mm
シート高:785mm
キャスター/トレール:24.2°/ 99mm
車両重量:184kg
最小回転半径:2.6m
燃料タンク容量:15L

■ヤマハ YZF-R25(カッコ内はABS)
全長×全幅×全高:2,090mm×730mm×1,140mm
軸間距離:1,380mm
最低地上高:160mm
シート高:780mm
キャスター/トレール:25.0°/ 95mm
車両重量:167kg(170kg)
最小回転半径:-
燃料タンク容量:14L

 フルカウルを装備した外観は、両車ともサーキットが良く似合うアグレッシブでグラマラスなイメージ。前後ホイールはどちらも17インチを採用している。

 全長は YZF-R25が110mm長く、Ninja ZX-25Rに比べて車体はかなり大柄なイメージ。とはいえ、軸間距離(ホイールベース)は1,380mmの同寸。また、キャスター/トレールは、両車とも直進安定性と旋回性を吟味したスポーツモデルに多用の範囲に設定。

 写真で見る限り、YZF-R25の「全長110mmの長さ」は、Ninja ZX-25Rよりも後方まで伸びたリヤフェンダー部の影響が大きい模様。YZF-R25はNinja ZX-25Rよりも全幅が20mm短く、車体は15kg以上軽量。軸間距離(ホイールベース)、全幅、車両重量で見た場合、街中での取り回しや渋滞に対する強さは、YZF-R25にアドバンテージがあるかもしれない。

Ninja ZX-25Rの4気筒エンジンと、 YZF-R25の2気筒エンジンを比較

Ninja ZX-25Rの4気筒エンジン(写真左)、YZF-R25の2気筒エンジン(写真右)

■カワサキ Ninja ZX-25R
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC 4バルブ
総排気量:249cc
内径×行程(ボア径×ストローク長):50.0mm×31.8mm
圧縮比:11.5:1
最高出力:33kW(45ps)/15,500rpm
※ラムエア加圧時:34kW(46ps)/15,500rpm
最大トルク:21N・m(2.1kgf・m)/13,000rpm
レッドゾーン:1万7000~2万rpm

■ヤマハ YZF-R25
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列2気筒/DOHC 4バルブ
総排気量:249cc
内径×行程(ボア径×ストローク長):60.0mm×44.1mm
圧縮比:11.6:1
最高出力 26kW(35ps)/ 12,000rpm
最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/ 10,000rrpm
レッドゾーン:1万4000~1万5000rpm

 どちらもレーシーなショートストローク型エンジン(ストローク長よりもボア径が大きい)を採用。ショートストローク比(内径÷工程)はNinja ZX-25Rが1.57、YZF-R25が1.36で、Ninja ZX-25Rの方がショートストローク。

 Ninja ZX-25Rの最高出力は、YZF-R25の35馬力を遥かに凌ぐ、45馬力(ラムエア加圧時は46馬力)を出力。10馬力の差はやはり体感的にも大きく、Ninja ZX-25Rの凄さがよく分かる数値といえる。

 Ninja ZX-25Rのエンジンは、ハイパワーな小排気量4気筒ならではの超高回転型仕様。1万5500回転でMAXパワーを出力し、レッドゾーンは1万7000~2万回転というレーシングマシン並みの驚異的な数値。

 以上の点で、Ninja ZX-25Rは十二分にサーキットを楽しめるマシンに仕上げられているのが分かる。同車の優れた点は、ストリートで多用する低中回転域での扱いやすさも吟味されているところ。高回転域を多用するサーキット走行はもちろん、街乗りでの扱いやすさもトコトン重視されている。この点を指摘した試乗レポートは下記をチェック。

18,000rpm以上回る過激派…と思いきや!? 車体もエンジンも優等生タイプでした。|カワサキ・Ninja ZX-25R SE

昨年の東京モーターショーで初公開されて以来、小出しにされた沢山の情報で溢れていたカワサキ・Ninja ZX-25Rと同SEが9月10日...

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 一方、YZF-R25は1万2000回転でMAXパワー(35馬力)を発揮し、レッドゾーンは1万4000~1万5000回転。最大出力はNinja ZX-25Rに及ばないが、ショートストローク型の高回転エンジンならではのエキサイティングな走りが楽しめる。

 一般的に2気筒は、1気筒あたりの爆発力が4気筒よりも大きくなるため、軽量&小型のピストンで多くの往復運動をこなす、4気筒のような超高回転型にするのは物理的に不可能(2気筒の大排気量車が、超高回転型エンジンでないのは基本的にこのため)。

 とはいえ、2気筒でレッドゾーンが1万4000~1万5000回転を可能にしたYZF-R25は、驚くほどスポーティなエンジンであるといえる。
※同じ2気筒250ccのスーパースポーツ「ホンダ CBR250RR(41馬力)」はレッドゾーンが1万4000~1万6000回転

 超高回転域でMAXパワーを発揮するNinja ZX-25Rは、YZF-R25よりも最大トルクの数値が0.2kgf・m低いのが特徴(この点は、小排気量な超高回転型エンジンの短所だともいえる)。

 Ninja ZX-25Rよりも低い回転数(1万rpm)で最大トルクを発揮するYZF-R25は、街中で多用する低中回転域で扱いやすく、バイクビギナーでもスムーズに走行できるのがポイント。実走行では、低速域からよく粘るエンジンは、住宅街や市街地のノロノロ走行でも扱いやすく、どの回転域でもスロットルレスポンスに優れ、遅滞無くスムーズに加速を始める乗り味は活き活きとしている。

 また、スロットルをワイドオープンすれば、1万4000rpmからのレッドゾーンへも難なく吹き上がる。なお、回転上昇の勢いは1万rpmオーバーで緩くなるので、実質的には1万rpm当たりまでの使用が効率良い。引っ張ったとしても、せいぜい1万2000rpmで早めにシフトアップする方が有効的だ。

 YZF-R25の開発コンセプトは「毎日乗れるスーパーバイク」。スポーツ性能に特化した走行性能と、日常での扱いやすさを調和させたその特性や個性は、かなり過激なNinja ZX-25Rとはやや趣の異なるもの。この点を指摘した試乗レポートは下記をチェック。

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▲Ninja ZX-25RのKQS(カワサキクイックシフター)。SEモデルに標準装備、スタンダードモデルはオプション設定となる。
 なお、一般的にNinja ZX-25Rのような超高回型モデルを、サーキットでスムーズかつ速く走らせるためには、一定のパワーバンド(もっともパワーの出やすい回転数)をキープする必要があるため、適格・適切な(車種によっては神経質な)ミッション操作やスロットルワークが要求される。
 ひとたびパワーバンドから外れる(回転数が下がる)と、パワーが落ちて失速。パワーバンドをキープし速く走らせるには相応のテクニックや経験が必要だ。

 Ninja ZX-25Rには「クイックシフター」を採用(※注1)し、クラッチ操作なしのシフトアップ&シフトダウンを可能とした。これにより、ライディングに不慣れなビギナーでも、回転数に関係なく、スムーズな加速とクイックでイージーな減速が可能。超高回転エンジンの特性を楽しめるよう工夫されている。

※注1:SEモデルに標準装備。スタンダードモデルはオプション設定

フレーム&足周りを比較

▲Ninja ZX-25R。高張力鋼製軽量のトレリスフレームは、異なる径と厚さを持つパイプと、モナカ形状のスイングアームピボットセクションの組み合わせで構成。
▲YZF-R25。メインパイプ35mm径の鋼管製ダイヤモンドフレームは、構造解析技術により軽量化と優れた剛性バランスを両立。旋回時など良好な接地感に寄与する倒立式フロントサスペンションも装備。
▲YZF-R25のスイングアームはロングタイプの左右非対称テーパー形状。モノクロスサスペンションと相まって、スポーティな走りと快適性を獲得。

■Ninja ZX-25R
フレーム形式:トレリス
フロントフォーク:倒立型SFF-BP(セパレートファンクションフロントフォーク-ビッグピストン)
 ※インナーチューブ径:37mm
スイングアーム:ホリゾンタルバックリンク式
スイングアーム本体:スチール製
Fホイール:5スポーク 17M/C×MT3.50
Rホイール:5スポーク 17M/C×MT4.50
Fタイヤ:110/70R17M/C 54H(ダンロップ GPR300 / ラジアル)
Rタイヤ:150/60R17M/C 66H(ダンロップ GPR300 / ラジアル)
Fブレーキ:シングルディスク 310mm (外径) +
ラジアルマウント式モノブロック型・異径(上側ø32mm / 下側ø30mm)対向4ピストンキャリパー
Rブレーキ:シングルディスク 220mm (外径) + 片押し1ピストンキャリパー

■ヤマハ YZF-R25
フレーム形式:ダイヤモンド
フロントフォーク:倒立型
 ※インナーチューブ径:37mm
スイングアーム:モノクロスサスペンション
Fホイール:10スポーク 17M/C
Rホイール:10スポーク 17M/C
Fタイヤ:110/70R17M/C 54S(ラジアル)
Rタイヤ:140/70R17M/C 66S(ラジアル)
Fブレーキ:シングルディスク + サイドマウント式片押し2ピストンキャリパー
Rブレーキ:シングルディスク+ 片押し1ピストンキャリパー

 両車とも前後にディスクブレーキ(フロントはシングル式)・17インチホイール・ラジアルタイヤを採用。また、フロントフォークは37mm径インナーチューブの倒立型を装備。
 フロントタイヤは両車とも同サイズだが、リヤタイヤはNinja ZX-25Rが1サイズワイドな150をチョイス。

▲YZF-R25。倒立型フロントフォークのメリットである「優れた剛性バランス」を活かすため、減衰力とバネレートを最適化。旋回や制動時などでの良好なフロント接地感を獲得。
▲YZF-R25は37mm径インナーチューブの倒立式フロントサスペンションを採用。減衰力発生機構は、新たにカートリッジ式とし、伸側・圧側それぞれの最適化が可能となり、快適性とスポーツ性の良好なバランスを確保。
▲YZF-R25のモノクロスサスペンション。ストリート走行からサーキットでのスポーツ走行まで、幅広いステージに対応する初期作動時の吸収性の高さと、最大ストローク時の最適な減衰特性を両立。

Ninja ZX-25Rは足周りも超豪華

▲Ninja ZX-25Rのシャーシ。重心位置、スイングアームピボットの位置、エンジン軸の位置、キャスター角など、シャーシの主要寸法は、スーパーバイク世界選手権に参戦しているレースマシン「Ninja ZX-10RR」のシャーシ設計思想を反映。
 ハイパワーなNinja ZX-25Rは、

・ショーワのSFF(セパレートファンクションフロントフォーク)とBPF(ビッグピストンフロントフォーク)のコンセプトを組み合わせた、250㏄クラス初採用の倒立型φ37㎜SFF-BP(セパレートファンクションフロントフォーク-ビッグピストン)フロントフォークを採用

・ショックユニットとリンケージをスイングアーム上方に配置し、マフラーに大容量チャンバーの搭載が可能となり、マスの集中化にも貢献する「ホリゾンタルバックリンクリヤサスペンション」を採用。こちらも250㏄クラス初採用

・過酷なブレーキング時にも安定した制動力を確保する、異径対向の4ピストンを備えたモノブロック型キャリパーを採用。また、取り付けはサイドマウント式ではなく、レーシングモデル定番のラジアルマウント式(進行方向にボルト固定したキャリパー)を導入

 など、YZF-R25の上を行く、Ninjaシリーズの大型スポーツモデルにも採用の贅沢な装備が盛り込まれている。

▲カワサキNinja ZX-25Rのフロント周り。フロントには大径のΦ310mmセミフローティングディスク(有効径:ø276mm)に、異径ピストン(上側:ø32mm、下側:ø30mm)を備えた対向4ピストン型の「ラジアルマウント・モノブロックキャリパー」を採用。ディスク径は「Ninja ZX-14R」と同径。
▲カワサキNinja ZX-25Rのリヤ周り。スイングアームはへの字型。キャリパーは片押し1ピストン。
▲カワサキNinja ZX-25Rのリヤ周り。リヤショック&スイングアームはショックユニットとリンケージをスイングアーム上方に配置し、マフラーに大容量チャンバーの搭載が可能となり、マスの集中化にも貢献する「ホリゾンタルバックリンクリヤサスペンション」を採用。

ライディングポジションと足着き性を比較

▲Ninja ZX-25R(写真はメタリックスパークブラック×パールフラットスターダストホワイト) ライダー:ケニー佐川(身長は179cm)
▲YZF-R25(写真はマットブラック) ライダー:ケニー佐川(身長は179cm)
▲Ninja ZX-25Rのハンドル周り。フロントフォークは、金色に輝くフォークトップが眩しい、倒立型のショーワ製φ37mmのSFF-BP(セパレートファンクションフロントフォーク-ビッグピストン)。左右で別々にスプリングと減衰力を受け持つ構造。
▲YZF-R25のハンドル周り。直進安定性に優れた乗り味は快適で、カチッと固い確かな操舵レスポンスを発揮するグッドハンドリングは好印象。
▲Ninja ZX-25Rのシート。スポーツ性と快適性を両立。ホールド性に優れ、薄く見えるが座り心地は良好。
▲YZF-R25のシート高は従来モデルと同じ780mm。シート前方が絞り込まれたスリムなライポジのおかげで足着きはすこぶる良い。
▲Ninja ZX-25Rのガソリンタンク(容量15L)。中央に向かって絞り込まれており、足着き性はGOOD。
▲YZF-R25のタンク幅はサーキットの直線で前傾姿勢を取りやすく、旋回時には高いニーグリップ性を発揮。前モデルよりも31.4mmワイドになり、トップ位置は20mm低い。

 Ninja ZX-25Rのハンドル位置は、見た目ほど低すぎず、ヒザの曲がりも緩めで見た目以上に楽なポジション。サーキット走行はもちろん、街乗りも十二分に対応。785mmのシート高と絞り込まれたスリムな形状によって足着き性も良好。

 YZF-R25は前モデルよりもハンドルが22mm低くなり、上体の前傾度はやや増したが、ステップとシートの位置はほぼ従来通り。街乗りでも操作しやすい余裕のあるポジション。サーキットを想定して上体を伏せると、カウルとスクリーンが作るストリームラインにちょうど上体が隠れる感じになるため、走行風をうまく流す。

▲YZF-R25
▲YZF-R25

メーターを比較

▲Ninja ZX-25Rのメーター。レッドゾーンは1万7000~2万回転。
▲YZF-R25のメーター。レッドゾーンは1万4000~1万5000回転。

▲YZF-R25のメーター。写真はフル表示させた状態。
 Ninja ZX-25Rはアナログ式タコメーターを中央に配置したレーシーなコックピット。液晶パネルにギヤポジションを表示、その右側に多機能ディスプレイを配置したレイアウトは兄貴分のNinja ZX-6Rと共通。

 YZF-R25は視認性の高さとMotoGPマシン「YZR-M1」を彷彿させるレーシングイメージを両立したフル液晶メーター。バーグラフタイプのタコメーターを装備。精細なバー表示により、細やかなアクセルワークを視覚的にも楽しめる。スピードメーター、燃料計、シフトタイミングインジケーターなどの豊富な情報も、直感的に分かりやすく表示。

燃費で優秀な「YZF-R25」。

写真はYZF-25R。
■Ninja ZX-25R
燃料消費率(km/L)※1:
 24.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)※2
 18.9㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)※3

■YZF-25R
燃料消費率(km/L)※1:
 37.7km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)※2
 27.2㎞/L(WMTCモード値 クラス3, サブクラス3-2、1名乗車時)※3

※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。

 諸元表を見る限り、Ninja ZX-25Rに比べてYZF-25Rの燃費は非常に良好。2気筒ならではの燃費の良さが、顕著に表れているのが特徴。実燃費のテスト結果(下記ページより)は、

・Ninja ZX-25R……市街地から高速と郊外を含めて約164kmを走行。レギュラーガソリンの消費量は8.07Lで燃料消費率は20.3km/L(※メーター表示の平均燃費率は21.3km/L)
・YZF-25R……約600km走行した実用燃費率はトータルで34.2㎞/L。流れの遅い高速と郊外を走った時は37.9km/L

 

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YZF-25Rにはない、Ninja ZX-25Rに採用された3つの電子制御システム

Ninja ZX-25RにはYZF-25Rにはない、豪華な最新の電子制御システムが盛り込まれている。

1:KTRC(カワサキトラクションコントロール)
 250ccモデルとして初めてトラクションコントロールを搭載。このカワサキの先進システムは、3つのモードで幅広いライディング条件をカバーすることが可能。滑りやすい路面など、様々な状況において安定した車体の挙動維持をサポートするとともに、スポーツライディングでのパフォーマンスを強化してくれる。

2:パワーモード選択
 フルパワーモードまたはローパワーモードの選択が可能で、ライダーの好みや条件に合わせた出力特性を設定することができる。

3:QS(カワサキクイックシフター) ※SEは標準装備 / スタンダードはオプション設定
 250ccクラス初となるクイックシフターを装備することで、クラッチ操作なしのシフトアップとシフトダウンが可能。スムーズな加速とクイックでイージーな減速を実現し、爽快なエンジン特性をより楽しむことができる。

まとめ:「カワサキ Ninja ZX-25R」と「ヤマハ YZF-25R」、どちらを選ぶべきか?

▲写真上は4気筒エンジン搭載のカワサキ Ninja ZX-25R、写真下はMotoGPワークスマシン「YZR-M1」の縮小版を目指したヤマハ YZF-R25。
 クラス最高出力の45psを発揮するNinja ZX-25Rは、胸のすく超高回転型の並列4気筒エンジンを搭載。エンジンフィールや実馬力といったスポーツ性の1点に注視するならば、YZR-M1よりもNinja ZX-25Rが上。
 とはいえ、Ninja ZX-25Rには、大型のNinjaシリーズに採用のサスペンションや電子制御システムを導入しているとあって、250ccクラスの中では高額。ただしこれらの装備と性能をトータルで見ればこの価格はむしろバーゲンプライスとも捉えられる。

 一方、YZR-M1はMotoGPワーク「YZR-M1」をイメージしたスポーティな外観ながら、スポーツ性能と日常での扱いやすさを調和させた「毎日乗れるスーパーバイク」を目指したモデル。つまり「手軽さ=購入しやすさ」も吟味された1台だ。Ninja ZX-25Rのような最新の電子制御システムはないけれど、車検がなくて維持費が安い、エントリーモデルにもなりやすい250ccに、手軽に触れて欲しい。そんなメーカーの思いが込められている。

 一言で言えば、Ninja ZX-25Rは妥協を許さず、スポーツ性能をトコトン突き詰めたモデル。YZR-M1は「このモデルが1台目」となるバイクビギナーでも手軽に購入でき、ガソリン代も安く上がり、毎日楽しく走れることを目指したモデル。

 筆者的には、もしも通勤・通学・街乗りをメインにバイク1台で全てを済ませるならば、扱いやすさ・優れた燃費性能・コスパの高いYZR-M1がいいかな? でも、街乗り用とは別に、走りを楽しむ趣味の2台目として使うのならば、Ninja ZX-25Rが欲しいところ。

 とはいえ、トコトン走りにこだわるならば、燃費は悪いけれどバーゲンプライスなNinja ZX-25Rをセレクトしてもいいのでは? このように用途によってモデルが選べる250cc市場は、ユーザーにとって非常にアリガタイ。あらためてメーカー様に感謝しましょう(拍手!)。

「カワサキ Ninja ZX-25R」詳細はコチラをチェック

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