新型モデル・GB350に繋がる懐かしのビッグシングル、ホンダGB400TT/MkⅡってどんなバイクだ?
- 2021/03/12
- MotorFan編集部 北 秀昭
国内でも発売予定のNEWモデル・ホンダGB350は、インドではH'ness(ハイネス)CB350の名称で大ヒット中。インドではCB、しかし日本では「GB」の名で発売。その理由はかつて国内発売されていた単気筒ロードスポーツ・GBシリーズに由来する。国内のGBシリーズは、250、400、500の各排気量をラインナップ。ヤマハのSR400やSRX400のライバル車でもあった、ビッグシングルスポーツのGB400TTと、4000台限定発売のGB400TT MkⅡを振り返ってみた。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
空冷4スト単気筒DOHC 4バルブ249ccエンジン搭載の「ホンダGB250クラブマン」とは?
ホンダの新型モデル・GB350の大先輩、GB250クラブマンを振り返る。
国内でも発売予定のNEWモデル・ホンダGB350は、インドではH'ness(ハイネス)CB350の名称で大ヒット中。インドではCBなのに、...
「GB」の名称は、イギリスのマン島TT=ツーリストトロフィーレースに由来
ホンダ GB400TT(ツーリストトロフィー)……1985年(昭和60年)7月発売 当時の発売価格:43万9000円
ホンダ GB400TT(ツーリストトロフィー)MkⅡ……1985年(昭和60年)8月発売 当時の発売価格:46万9000円
1983年(昭和58年)、1960年代の伝統的でレトロなブリティッシュスポーツ調のスタイルを継承しつつ、空冷4ストローク単気筒DOHC249ccエンジンを搭載したロードスポーツモデル・GB250クラブマンが登場。2年後の1985年(昭和60年)にリリースされたのが、GBの400cc版であるGB400TTと、4000台限定発売のGB400TT MkⅡ。
GB400TTの正式名称は、GB400ツーリストトロフィー。ツーリストトロフィーレースとは、「世界のホンダ」に躍進するきっかけとなったマン島TTレースに由来。なお、“GB”の由来は、由緒ある英国の正式名称である「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(ユナイテッド・キングダム・オヴ・グレイト・ブリテン・アンド・ ノーザン・アイルランド)」の中の「Great Britain」の頭文字から。
1983年発売のGB250クラブマンには、ホンダの4ストスポーツブランド「CB」の名称を与えられる動きもあった。しかし同年5月、すでにGB250クラブマンと同エンジン・同フレームを採用したスポーツモデル・CBX250RSが先行デビュー。エンジンやフレームは同じだが、両モデルを差別化させるため。また、懐古的なイメージの車両には、常に時代をリードしてきた先進的なCB(CB750F等々)という名称は国内的に相応しくないという理由から、GBという名称が与えられた。
GB400TTはGB250クラブマンと同じく、1960年代に英国で活躍したロードレース仕様車(単気筒エンジン搭載)のスタイルと、最新の技術を生かした中低速域での力強い乗り味が特徴。
デザイン面では、ガソリンタンク、ウインカー、バックミラーの形状、スピードメーター、タコメーターの文字に至るまでシンプルなデザインにアレンジ。材質面では、ヘッドライトステー、ウインカーベース、ホイールリムなどにアルミを採用、ハンドルは鍛造のジュラルミン製とし、前後フェンダーやサイドカバーはスチール製。金属素材を多用することで、1960年代の質感を演出している。
1985年の発売時は、レトロな雰囲気のロケット型ハーフカウルやシングルシートを装備したGB400TT MkⅡも4000台限定発売された。
空冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ399cエンジンは34馬力を出力
空冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ399cエンジンは、オフロードモデル「XR500R」がベース。大口径のシングルキャブレター(VE10)を組み合わせ、低中速域での力強い加速感を実現。最大出力は34ps/7,500rpm、最大トルクは3.4kg-m/6,000rpm。
シリンダーヘッドの排気ポートは、GB250クラブマン、また「精密機械」と呼ばれた50ccながらDOHC 4バルブエンジンを搭載した「ドリーム50」と同様、単気筒ながら2つ設置。また、エキパイ2本を装備した2 into 1マフラーの採用により、ビッグシングルエンジン独特の、低くて小気味良い、趣きのある排気音に仕上げている。
ミッションは5速を採用。点火方式はメンテナンスフリーのCDI。始動方式はセルフスターターとキックスターターを併用して、日常での使い勝手を向上。女性でも扱いやすい仕様としている。
なお、ライバル車のSR400や初期型のSRX400は、SR400でヤマハがこだわり続けたキック始動のみ。GB400TTのセルフスターターとキックスターターの併用は、老若男女の乗車を考慮した、バイクのリーディングメーカーであるホンダならではの配慮ともいえよう。
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フロントブレーキは油圧式のシングルディスクとし、リヤは機械式ドラムを採用。正立型フロントフォークにはレトロなイメージのフォークブーツを装備。リヤショックはシンプルなツイン型としている。前後ホイールは18インチのワイヤースポーク型(36本タイプ)。タイヤは前90×90-18、後110×90-18の各サイズをチョイス。
ライバル車・ヤマハ「SR400」「SRX400」とのエンジンスペックの違いとは?
【ホンダGB400TT(初期型)】
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ
排気量:399cc
ボア×ストローク:Φ84.0mm×72.0mm
圧縮比:9.2
最高出力:34PS/7,500rpm
最大トルク:3.4kgf-m/6,000rpm
燃料タンク容量:17L
変速機形式:5速リターン
始動方式:セルフ式/キック式併用
【ヤマハSR400(1984年モデル)】
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒2バルブ
排気量:399cc
ボア×ストローク:Φ87.0mm×67.2mm
圧縮比:8.5
最高出力:27PS/7,000rpm
最大トルク:3.0kgf-m/6,500rpm
燃料タンク容量:12L
変速機形式:5速リターン
始動方式:キック式
【ヤマハSRX400(1985年モデル/初期型)】
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ
排気量:399cc
ボア×ストローク:Φ87.0mm×67.2mm
圧縮比:8.8
最高出力:33PS/7,000rpm
最大トルク:3.4kgf-m/6,000rpm
燃料タンク容量:15L
変速機形式:5速リターン
始動方式:キック式
GB400TTは4バルブだが、SR400は2バルブ。両車とも、ストローク長よりボア径が広いショートストローク型(SR400の方がショートストローク率が高く、高回転域でパワーを稼ぐスポーティなタイプと言える)。最高出力&最大トルクとも、GB400TTがSR400を上回るのが特徴。
ヤマハは1985年、SR400を存続させたまま(基本構造やスペックも変えず)、「ポテンシャル・シングル」のキャッチフレーズを掲げて4バルブのビッグシングルスポーツ・SRX400を新たにリリース。SRX400の最高出力は、GB400TTよりも1馬力低いが、角型鋼管フレーム、前後ディスクブレーキ、ショートマフラーなど、スポーツモードを大幅に高めているのが特徴。
始動方式はGB400TTがセルフスターターを併用、SR400とSRX400はキックスターターのみ。
●スポーツモードの高い順番:SRX400>GB400TT>SR400
●クラシカルモードの高い順番:SR400>GB400TT>SRX400
●実用性の高い順番:GB400TT>SR400=SRX400
このように、同じビッグシングルモデルながら、3車とも微妙に異なる個性が与えられている。車種が極めて豊富だった、バイクブーム時代ならではの風情が感じられる。
ホンダGB400TT スペシャルエディション(特別仕様車)
1987年6月発売 当時の発売価格:46万9000円
質感を高める数々の表面処理や、立体エンブレムを採用した「スペシャルエディション(特別仕様車)」。ツートンのニューカラーリング(タンク/左右サイドカバー)、クロームメッキの前後フェンダー、フューエルタンク・左右サイドカバー・シート後部に立体エンブレム、エンジン各部に質感を高めるガンメタグレー塗装、前後ホイールリムにバフ仕合げを施すなど、各部のグレードを向上。特別仕様車という性格上、2021年現在、GB400TTの中ではMkⅡと同等にお宝度は高まっている。
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ホンダ GB400TT 主要諸元(初期型)
※【】内はMk2
型式 NC20
全長(m) 2.100
全幅(m) 0.690
全高(m) 1.060【1.215】
軸距(m) 1.400
最低地上高(m) 0.160
シート高(m) 0.780
車両重量(kg) 168【171】
乾燥重量(kg) 150【155】
乗車定員(人) 2【1】
燃費(km/L) 45.0(60km/h定地走行テスト値)
最小回転半径(m) 2.8
エンジン型式 空冷4サイクルOHC4バルブ単気筒
総排気量(cm3) 399
内径×行程(mm) 84.0×72.0
圧縮比 9.2
最高出力(PS/rpm) 34/7,500
最大トルク(kg-m/rpm) 3.4/6,000
キャブレター型式 VE10
始動方式 セルフ式キック式併用
点火方式 CDI式
潤滑方式 圧送式
潤滑油容量(L) 2.3
燃料タンク容量(L) 17
クラッチ形式 湿式多板コイル・スプリング
変速機形式 常時噛合式5段リターン
変速比
1速 2.381
2速 1.555
3速 1.200
4速 1.000
5速 0.875
減速比(1次/2次) 2.482/2.785
キャスター(度) 29°25′
トレール(mm) 124
タイヤサイズ 前90×90-18 51S 後110×90-18 61S
ブレーキ形式 前 油圧式ディスク 後 機械式リーディング・トレーリング
懸架方式 前テレスコピック 後スイングアーム
フレーム形式 セミダブルクレードル
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