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国産各社のプラットフォームを解説(3):MFi164「日本車総点検」

  • 2020/05/16
  • Motor Fan illustrated編集部
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DNGA第2弾モデルとなったダイハツ・ロッキー。

5月15日発売のモーターファン・イラストレーテッドvol.164「日本車総点検」では、カテゴリー別にどのようなプラットフォームが採用されているかを掲載した。各社のプラットフォームにはどのような特徴があるのか、3回に分けて解説していく。最終回は三菱/スズキ/ダイハツを取り上げる。
TEXT:安藤 眞(ANDO Makoto)

三菱:数多くのモデルに使われ熟成が進んだC-PF

 主要モデルに採用されるC-PFは、05年にデビューしたアウトランダーが初出。当時、技術提携していたダイムラークライスラー社(現在はダイムラー社とクライスラー社に分離)との共同開発によるものだ。8角形断面のフロントサイドメンバーや、前面衝突荷重をキャビン下で3方向に分散させる“3レッグ構造”を特徴とする。

改良を重ね現在でも侮れない実力を誇るアウトランダーの骨格。

 長い伝統を持つプラットフォームだが、その間に、溶接打点数の増大や板組構造の変更、構造用接着剤の導入や、その塗布長さの増大などの改良を実施。強化の進む各国の衝突安全基準に対応しているのはもちろん、各モデルに最適化するための仕様変更も実施されおり、操安性や振動騒音面でも今なお十分な競争力を維持している。ちなみにランサーエボリューションXも、このプラットフォームを使用していた。

完全新設計で2012年にデビューしたミラージュのB-PFプラットフォーム。

 コンパクト系のB-PFは、12年にフルモデルチェンジしたミラージュから採用されたもの。タイ生産でありながら、鋼板のグレードは980MPaまで使用している。サイドシルやフロアトンネル骨格でも衝突荷重を支持するマルチロードパス構造を採用しているのに加え、サイドシルの大断面化によって、高強度・高剛性・軽量化を並立。ミラージュの車重は860kgからと、軽ハイトワゴンなみに軽量に仕上がっている。

スズキ:新世代のハーテクトへの移行がほぼ終了

 14年にデビューしたHA36型アルトから採用が始まったのが、新世代プラットフォームの「ハーテクト」。サイドメンバーの屈曲部をなだらかにつないで応力集中を回避し、フロントバンパー取付部からリヤバンパー取付部まで貫通させることで、前後からの衝突荷重を最小限の質量で効率よく受け止める。フロントサイドメンバーからの入力は、ダッシュパネル部でフロアトンネルとサイドシルにも分散する三つ叉構造を採用しているほか、大断面化したフロアトンネルで剛性を稼いでいるのも特徴だ。

滑らかな曲線で構成されたサイドメンバーがハーテクトの特徴だ。

 A/Bセグメント用のハーテクトも、骨格配置は相似形をしている。合理的構造による軽量化効果は絶大で、アルトの最軽量モデルの車重は610kg、スイフトでも840kgにすぎない。このプラットフォームは、SUVを除いたエンジン横置き系乗用車のすべてに展開を完了している。

登録車のシエラも軽自動車ジムニーと同じラダーフレームを使う。

 ジムニーおよびジムニーシエラのラダーフレームは、18年のフルモデルチェンジで全面刷新されたもの。クロスメンバーの数が3本増やされ、中央はX字型とすることで、フレームの捩り剛性を約1.5倍に高めている。エスクードとSX4 S-CROSSが採用する「従来型」は、ハーテクト以前のスイフトと同じ系譜を持つ。

ダイハツ:タントでデビューしたDNGAをロッキーも採用

 ダイハツは19年デビューのタントから、DNGA(Daihatsu New Global Architecture)プラットフォームへの移行を開始。主要骨格であるサイドメンバーを前後に貫通させて衝突安全性を高め、同時に前後サスペンション入力点を結ぶことで、操舵応答性性を向上させるコンセプトだ。サイドメンバーはトラス状ではなく、キャビン中ほどで緩やかに曲がっているのが特徴。軽自動車用からBセグメント用まで3サイズあり、骨格構造は相似形。

DNGA第1弾となったタントのプラットフォーム。

「Dモノコック」とは、プラットフォームよりむしろ、アッパーボディに特徴のある構造。サイドアウターパネルをハイテン化して板厚も1.5倍に高め、強度や剛性を外皮にも積極的に負担させ、フレーム内側に付加する補強類を削減して軽量化と高剛性化を両立させるコンセプトだ。プラットフォームの骨格配置は伝統的な格子状で、サイドメンバーはリヤサスの手前で途切れているが、Dモノコック化と同時に各部に補強を実施。インパネリインフォースの強化や、前後サスペンション取り付け点へのブレース追加などが行なわれている。

ムーヴなどが採用するDモノコック。スライドドア車には使われていない。

 コペンのプラットフォームは、ミライースのフロアパネルをベースに、オープン化に対応するための補強を加えたもの。床下をX型のブレースで強化しているほか、フロアトンネルの両側にも前後方向フレームを追加。サイドパネルも二重化するなどの補強を行っている。

モーターファン・イラストレーテッドvol.164「日本車総点検」

日本車全モデル諸元360°分析 見えた「強みと弱み」
・BMEP(正味平均有効圧)/電動化の比率のその中身
・レシオカバレッジは広がっているのか?
・ディメンション徹底分析/プラットフォーム別車種系譜
・車両カテゴリーとタイヤサイズの関係

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