ボッシュ、クライメートニュートラルな道路輸送の実現に向けたソリューションを展開 商用車向けの効率的なパワートレーンソリューション
- 2020/10/21
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MotorFan編集部
道路輸送における気候変動対策には、幅広い積極的な技術開発が必要だ。特に商用車の場合は、CO2排出量が運転特性、積載量、走行距離に応じて大きく異なるため、パワートレーンへの要求は多岐にわたる。小型車両は、たとえば市街地の配達ルートのような短い距離を走行し、大型トラックは、物資や商品を長距離輸送する傾向がある。EU要件を満たすには、2030年までに小型商用車と大型トラックの両方においてCO2排出量を劇的に削減する必要がある。ボッシュは、すべての車両クラスにおいてクライメートニュートラルな輸送の実現に貢献したいと考えており、内燃機関やバッテリーEV、燃料電池に至るまで、さまざまな種類の効率的なパワートレーンを開発している。
騒音に配慮した走行 – 小型商用車向け電動パワートレーン
物資やサービスに対する需要が着実に増加していることを考えると、配送車両や小売業者およびその他中小企業が存在しない市街地を想像するのは困難だ。そのため、住民と環境にできる限り負荷をかけない先進的なパワートレーンが社会から求められている。ボッシュの電動パワートレーンソリューション「eCityTruck」は、ゼロローカルエミッション(地域内における排気ガスゼロ)の低騒音走行を実現する。「eCityTruck」には、電気モーター、パワーエレクトロニクス、トランスミッションをコンパクトに一体化したeAxleで構成されるコンパクトモジュールと、トランスミッションを含まない電気駆動モジュールの、2つのバージョンが用意されている。いずれのソリューションも簡単に組み込むことができ、重量が最大7.5トンまでの小型商用車に対応する。バッテリーの設計次第で、最大200kmの走行が可能であり、1日あたりの配送ルートの多くが80km未満であることを考慮すると、1回の充電で十分に走行可能であることを意味する。「ボッシュは、モジュラー式のeCityTruckにより、経済的でコンパクト、そして効率的な電動化パワートレーンを実現します」と、ボッシュのパワートレーン ソリューション事業部長Uwe Gackstatterは述べている。ボッシュはこのようにして、マスマーケット向けに電動トラックの準備を進めている。
郊外におけるバッテリー走行 – 7.5~26トンの地域配送トラックの経済的な電動化
ボッシュは、郊外における商用車の電動化も推進している。たとえば、中型トラックと大型トラックに加え、市内バス、長距離バス、それに特殊用途向けに電動パワートレーンソリューション「eRegioTruck」を提供している。「eRegioTruck」のコンセプトは、半径約250km圏内の地域交通を可能な限り経済的で効率的にするうえで重要な役割を果たすとともに、低騒音とゼロローカルエミッションも同時に実現する。このシステムソリューションは、電気モーター、インバーター、および車両制御ユニットで構成されている。コンパクトな電気モーターは、トポロジーに応じて別体の電気ユニットとしてトランスミッションと組み合わせる、またはアクティブコンポーネントとしてリジッドアクスルに組み込むことも可能だ。
効率的な長距離走行 – 長距離ルートと重量物運搬向けのボッシュのパワートレーンソリューション
長距離輸送ルートを走る車両は、その長い走行距離と運搬する重量ゆえに、CO2排出量の削減の可能性がとりわけ大きくなる。ボッシュは、世界中すべてのお客様のニーズに合わせて、動力源がディーゼル、天然ガス、バッテリー、あるいは燃料電池でも、最適なパワートレーンソリューションを提供する。さらに、ボッシュは現在、内燃機関における水素利用の技術課題を調査しており、この技術の市場性を検討している。今日使われているエンジン技術と既存の車両アーキテクチャは、すでにこの取り組みを発展させるための確固たる土台となっている。
電動パワートレーンソリューション「eDistanceTruck」
将来、重量40トンものトラックが、どうすれば電気モードで1,000km以上走行できるようになるだろうか?その鍵は、燃料電池とハイブリッド駆動を含む、ボッシュの「eDistanceTruck」にある。特に、燃料電池システムは、長い走行距離と短い充填時間を兼ね備えるという点で有利だ。再生可能エネルギーから生成される水素を使用すれば、燃料電池の運用はクライメートニュートラルだ。ボッシュは、世界中のお客様の要件に対応する車両用燃料電池システムのさまざまなソリューションを提供する。たとえば設計の中核となるスタックやサブモジュール内の個々のコンポーネント、または商用車向け総合システムまで取り揃えている。
「eDistanceTruck」は、そのコンパクトな設計によって、既存の車両プラットフォームに簡単に組み込むことができる。ボッシュは現在、スタートアップ企業であるPowercell社と協働してスタックを開発し、 市場に出す準備を進めている。計画では、まず2022年に燃料電池スタックの大量生産を開始し、2023年には完全な燃料電池システムとなるボッシュの燃料電池パワーモジュールを発売する予定だ。また、EUが出資するH2Haulプロジェクトの一環として、ボッシュは現在、他社と協働して燃料電池トラックの小規模フリートを製造し、公道に送り出している。
ボッシュの天然ガスパワートレーン向けコンポーネント
天然ガススタンドのインフラが十分に整備されている地域では、ボッシュの天然ガス駆動システムは、長距離ルート向けとして従来の燃料に代わる実現可能な代替案だ。天然ガスは、液体燃料と比べてCO2と粒子状物質(PM)の排出量が少なく、現地の燃料価格によっては費用面でも多くの国において利点をもたらいる。ボッシュは、さまざまな車両タイプ向けに、実証済みの天然ガス技術の包括的な製品ポートフォリオを揃えている。
ボッシュのディーゼル技術
ディーゼルエンジンは、商用車の主要なパワートレーンで、近い将来においても優先的に選択されるだろう。これほど多様に使われている内燃機関は他に花井。その利点には、高い効率性とそれに伴う経済的メリット、ならびに強力なエンジン性能が含まれる。ボッシュはディーゼル製品ポートフォリオとして、燃料噴射と燃料供給、エンジンおよびマネジメント、そして排出ガス後処理用のコンポーネントを取り揃えている。ボッシュはこれらを合成燃料向けに使用することも可能としている。
ボッシュと中国のエンジンメーカーWeichai Power(濰柴動力)は、協働を通じて大型商用車向けディーゼルエンジンの熱効率を最大で50%まで高めることに成功した。これまでのトラックの最大値が46%であったことを考えると、まさに画期的と言える。「これは、ボッシュがオンハイウェイ/オフハイウェイ用途のディーゼル駆動システムを体系的に改善していることを実証しています」と、Gackstatterは述べている。新しいエンジンの特徴のひとつが、最大噴射圧2,500 barのボッシュのモジュラーシステムCRSN(商用車向けコモンレールシステム)だ。効率的な燃料供給と燃料噴射を確保するこのシステムは、拡張性が高く、最大8気筒までのエンジンに対応できるように設計されている。耐用年数は要件によって、最大160万km、オフハイウェイ用途では15,000時間におよぶ。
加えて、ボッシュのダブルインジェクション付きSCR(選択型還元触媒)システムに用いられる尿素噴射による排出ガス後処理は、ディーゼル車の排出ガスをさらに削減し、より経済的な資源利用に貢献している。このシステムでは、エンジンの近くに配置された触媒コンバーター内、および離れて配置されたもうひとつの触媒コンバーター内に尿素が噴射される。システムは、高負荷/低負荷サイクルやコールド スタートといった走行条件に柔軟に対応し、窒素酸化物(NOx)の排出量を効果的かつ効率的に削減することができる。しかも、低燃費にも配慮して設計されている。
完全なネットワーク化 – 駆動システムでのモノのインターネット化(IoT)による開発時間の短縮とトラブルシューティングの迅速化
ボッシュは、駆動システムをネットワーク化し、車両ライフサイクル全体を通じてクラウドベースのサービスを提供する。IoTアプリケーションの一例として、大規模開発におけるインターネットベースの検証が挙げられる。このプロセスにより、コネクテッドカーからパワートレーンのデータが転送される。リモート解析により、異なるアプリケーションを同時にモニターして評価することが可能となり、駆動システム内の欠陥を早期に検出することができる。これにより開発時間が短縮され、量産車におけるシステムの信頼性がさらに向上する。量産車向けの追加IoTアプリケーションは、特別に開発されたアルゴリズムを用いて各コンポーネントの差し迫った障害を取り除くことができ、ダウンタイムを効果的に防止する。
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