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床暖房への熱利用に対応、蓄電池との連携も強化 パナソニック:家庭用燃料電池「エネファーム」の戸建向け新製品を発売

  • 2019/02/22
  • Motor Fan illustrated編集部
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パナソニックは、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」の戸建向け新製品を開発し※1、2019年4月1日に発売する。新製品は、戸建住宅向けとして一般販売する6世代目の製品。

 近年、年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指すZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)をはじめとする省エネ住宅への社会的要請に加え、健康寿命への関心の高まりに伴って、省エネを前提条件とした健康で快適なくらしが求められるようになっている。また、集中豪雨や台風などの自然災害が年々増加しており、非常時にエネルギーを供給できる装置としてエネファームへの期待が高まっている。
 このような社会的背景の下、新製品では総合効率を97%※2に向上させるとともに、発電時に発生する熱をガス温水床暖房の低温(保温)運転時の熱源として活用する「PREMIUM HEATING」を搭載した。エネルギーを無駄なく活用することで床暖房使用時のガス消費量を抑え、気兼ねなく床暖房を使うことができる。
 また、非常時に役立つレジリエンス機能を強化し、「停電時発電継続機能」を標準装備した。さらに、エネファームをハイブリッド蓄電システムと直流電力で連携させることにより、停電時でもリビングやキッチン、サニタリーなどあらかじめ指定した屋内空間への電力供給が可能となった。長期的な停電であっても、普段通りの快適な家庭生活を提供する。
 パナソニックは、2009年5月に世界で初めて家庭用燃料電池の販売を日本で開始し、2018年12月には累計生産台数が15万台を突破した。

新製品の主な特長

1. 業界最高の総合効率97 %を達成
 エネファームは、都市ガスやLPガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させて発電する。さらに、発電時に発生する熱も回収し、お湯をつくって利用するため、エネルギーロスが非常に小さい。パナソニックは、これまでも業界最高※3となる総合効率95 %を達成していたが、このたび、水素を取り出す燃料処理器の運転条件を見直すことで発電効率を向上させるとともに、機器のコンパクト化により放熱ロスを削減。総合効率97 %を達成した。

2. 健康で快適な屋内空間を実現する「PREMIUM HEATING」
 健康で快適な屋内空間を実現する方法の一つとして、室内の空気を乾燥させることなく輻射熱で均一に温める床暖房が、改めて関心を集めている。従来のガス温水床暖房は、ガスを燃やして温めた温水で床暖房を行うため、温かく快適な室内空間を保つためにはガスを燃焼し続ける必要があり、ガスの使用量を気にして設定温度を下げ過ぎると部屋の温度が低下するというジレンマがあった。そこで、気兼ねなく床暖房を使用して、快適な空間で過ごせる「PREMIUM HEATING」を搭載した。※4
 PREMIUM HEATINGでは、エネファームが発電する際に生み出す熱でつくった湯で、床暖房に用いる温水を温める。床暖房のスタート時などは高温で温める必要があるため、従来通りガスを燃焼させるが、保温運転時や設定温度が低い場合は、エネファームの貯湯タンクに貯めたお湯を熱源として利用する。そのため、少し肌寒く感じた際に足元を温めたり、留守番をしているペットのために稼働させたまま外出するなど、ガスの消費量を気にすることなく床暖房を使うことができる。※5

「PREMIUM HEATING」の仕組み

3. レジリエンス機能を強化
 同社従来機種※6ではオプションとして提供していた「停電時発電継続機能」を標準搭載した。稼働中に停電が発生した場合でも最大500 W、最長192時間連続の発電※7が可能なため、停電時においてもスマートフォンやパソコンなどの小電力機器が使える最低限の電力と湯、床暖房の熱をエネファーム単体で賄う。
 さらに長期的な停電が発生した場合でも、日常に近い家庭生活を提供するため、家庭用燃料電池として日本で初めてハイブリッド蓄電システムと連携する機能をオプション展開する。ハイブリッド蓄電システムは、太陽電池で発電した電力や電力系統から供給される電力を蓄電池に貯めて、必要なときに家庭内の機器に電力を供給するシステム。オプション機能を搭載したエネファームは、停電の際には天候や昼夜を問わず稼働し、最大650 W相当、最長192時間連続で電力を供給する。余った電力は蓄電池に蓄えることも可能なため、長期間の停電でも、自宅で安心して快適に過ごすことができる。※8

4. その他
 新製品は、従来機種と比較して筐体の高さを100 mm、奥行きを50 mm縮小してコンパクト化し※9、燃料電池ユニットの重量を9 %減となる59 Kgまで軽量化した。これらの取り組みにより、設置場所の自由度が増し、搬入性が向上した。また、パナソニックは2017年よりLPガスに対応したエネファームを市場導入してきたが、さらなる普及拡大を図るため、従来からのLPガス事業者に加え、パナソニックエコソリューションズ社の商流※10を通じた販売を開始する。LPガスに対応したエネファームとして、「ふろ給湯タイプ」を追加発売する予定(2019年7月予定)。

エネファームの設置性
仕様概要

※1:開発にあたっては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られた成果を一部活用している。
※2:効率は全てLVH基準。LHV=燃料ガスを完全に燃焼させた時に生成する水蒸気の凝縮潜熱を差し引いた発熱量。
※3:2019年2月現在、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」における総合効率において。
※4:既設のガス温水床暖房にも対応するが、床暖房リモコンの種類によっては対応しない場合がある。詳細は、同社「エネファーム」のホームページに掲載予定(2019年4月予定)。
※5:エネファーム床暖房運転中に、給湯、ふろ、追いだき、浴室暖房を利用したり、床暖房を長時間使用した場合などは、エネファーム床暖房を中断し、バックアップ熱源機を利用した床暖房に切り替わる。
※6:2017年4月発売の戸建向け機種。
※7:停電時の発電には、都市ガス(13A)またはLPガスと水道が供給状態にあることが必要。また、停電時専用コンセントがあらかじめ施工してあり、リモコンを「停電発電モード設定」にしておくことが必要。
※8:連携できるハイブリッド蓄電システムの一覧を、同社「エネファーム」のホームページに掲載予定(2019年3月予定)。また、エネファームからハイブリッドパワーコンディショナの太陽電池入力端子への接続が必要となるため、通常時に使用できる太陽電池入力端子は1回路分減少する。本機能に対応したハイブリッド蓄電システムには、太陽電池が接続されていなくても使用可能な製品もある。停電時に使用できる電気製品は、連携するハイブリッド蓄電システムにより異なる。
※9:燃料電池ユニット、バックアップ熱源機別置型の貯湯ユニットについて、高さ100 mm、奥行き50 mmを縮小。熱源機一体型の貯湯ユニットは高さ100 mm縮小。
※10:LPガス地区において、エネファーム特約認定を取得した代理店。
※11:停電時DC出力ユニット接続時:最大DC650 W
※12:標準タイプの場合
※13:通常の隣接設置の場合。熱源機別置型は、バックアップ熱源機が標準タイプの場合。

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