BASF:2019年の自動車のカラーレポートを発表、ホワイトが依然として優勢
- 2020/01/24
- Motor Fan illustrated編集部
BASFは「BASF自動車用OEM塗料カラーレポート2019」を1月15日に発表した。同レポートは、BASFのコーティングス事業部が2019年の世界の自動車生産と乗用車への塗料適用に基づいて行ったデータ分析結果を示したもの。
データ分析を通じて、世界中で製造された車の約39%がホワイトに塗装されていることが判明。この数字の背景には興味深い変化があり、ホワイトはどの地域でも最も人気のある色だが、地域的な分布には顕著な違いがある。アジア太平洋地域では2台に1台がホワイトに塗装されているが、北米およびヨーロッパ、中東、アフリカ(EMEA)地域ではその割合が3台に1台になる。
その他の無彩色(ブラック、グレー、シルバー)は、次に人気のある3色。これらを合わせると、2019年に製造された車の39%を占めている。この傾向は、最も人気のある自動車セグメントであるSUVにも見られる。
しかし、世界にはブラックやホワイトの車だけではない。2019年の世界の新車のうち、残りの22%は有彩色で塗装され、約9%はブルーで、7%はレッドだった。各色の比率は、自動車の所有と個性表現に対する感情的な動機を表している。BASFでも、デザイナーたちは独自の顔料、エフェクトや革新的な技術を用いて、深みのある鮮やかな色合いを生み出している。サブコンパクトカーやその他の小型自動車の色は、より多彩な傾向がある。ブルーやレッド以外に、ブラウンとベージュが、特にEMEA地域で人気が出始めている。
EMEA:ホワイトは減少、グレーが増加し、ベージュが急上昇
全体的に最も人気のある色のホワイトの割合はわずかに減少したものの、EMEA地域を走る車は無彩色が77%を占めている。シルバーの人気は低下しているが、グレーは市場シェアの20%を占め、引き続き人気がある。有彩色の自動車はわずかだが増加、ヨーロッパでは4台に1台の車が有彩色で塗られている。このセグメントでは、依然としてブルーが11%のシェアを達成し首位を走っている。
EMEAでは、約160種類の色が見られ、カラーダイバーシティにおいて先駆的な存在となっている。ベージュが2%のシェアを獲得し、初めて数字として現れた。「よりソフトで親しみやすい外観へのニーズから、ベージュの人気は高まっていますが、最終消費者に受け入れられるためには、モダンで魅力的でなければなりません」と、オートモーティブカラーデザインEMEAの責任者であるマーク・グートヤール氏は述べている。
エフェクトは、自動車の形状を強調し、特別な外観を提供する重要なデザイン要素。そこで、エフェクトのある色を深く分析した。特に濃い色は、エフェクト顔料が使用されることが多く、ホワイトは主にソリッド。さらに有彩色のカラーパレットにおいても、エフェクトのあるカラーが高いシェアを持つことがわかった。
北米:ホワイトは依然として首位を走るが、変化している
北米では、ホワイト、ブラック、シルバー、グレーなどの無彩色の車が多く、世界的な傾向と同様に、市場の77%を占めている。一方で、最も人気のあるホワイトは全体の分布の29%と、世界的な傾向と比べると色分布はよりバランスがとれている。北米市場の、特に高級車や電気自動車では、黄味がかった暖色系のホワイトから、青みがかり、かつパール質感の寒色系のホワイトへの移行が進んでいる。
さらに北米は、ピックアップトラックの人気で世界をリードしている。ピックアップトラックは、実用的な道具から、高級な乗り物へとシフトしている。深みのあるブラックがトレンドとなっており、ホワイトは38%、11%という比較的高いシェアを持つレッドの人気がある。「これらは、あなたがたのお父さんの時代のピックアップトラックではありません。ピックアップトラックは高級な乗り物であり、高級車市場のデザインで使われている色を採用しています」と、オートモーティブカラーデザイン北米の責任者であるポール・チョーニー氏は述べている。
アジア太平洋地域:個性の強い色は増加しているが、いまだホワイトが優勢
アジア太平洋地域のほとんどの自動車は無彩色で、全体に占める割合は77%と、ほとんど変化はなかった。約2台に1台がホワイトで、49%を占めており、これは全世界で最も高い割合。パールホワイトは特に人気である。一方、ブラックは他の地域に比べるとシェアは低いが、スポーティーで個性的な色彩表現として注目されている。
有彩色の多様な色合い、色調、エフェクトは、アジア太平洋地域に特有のもの。その中でも、電気自動車によく見られるブルーが7%でトップ、レッドが6%と続いている。「ブルーとホワイトは、清らかさ、純粋さや持続可能なデザインのイメージを表しています」と、オートモーティブカラーデザインアジア太平洋の責任者である松原千春氏は述べている。アジア太平洋諸国の自動車の購入者は、より高いデザイン性と個性を求めている。「グレーは電気自動車にとって重要な役割を果たしており、半透明や絹のような独特のエフェクトが、カーシェアリングや自動運転車を含む新しいコネクテッドテクノロジーに、未来的なイメージを加えます。新しい電気自動車は、自動車業界全体に新しい価値とカラーデザインをもたらしています」
南米:人気色であるホワイトとレッド
ホワイトは南米の消費者の間で依然として人気の色で、39%の市場シェアを獲得しており、この傾向はここ数年続いている。「2010年初頭にテクノロジーに結び付いた色として、ホワイトが携帯電話やその他のガジェットに使用されたことから人気が始まり、現在ではホワイトは空気と水の清潔さと純度、そして環境保護とリンクしている “環境色” の側面を有しています」とBASF南アメリカオートモーティブ・コーティングスディレクターであるマルコス・フェルナンデス氏は述べている。その他の無彩色も人気であり、シルバーが23%、グレーが14%を占めている。ブラックは市場シェアの11%を占めているが、南米での人気は世界の16%に比べて低くなっている。
有彩色では、8%のレッドが一番の人気であり、ブルー、ベージュが続く。「レッドは、自動車販売において長い間存在感を持ち、鮮やかな色であり、スポーティーさと美しさをイメージさせます。また、中古車買い取りにおいてもその価値を維持しやすくなっています」とフェルナンデス氏は述べている。
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