125ccクラスのビンテージスクランブラー、その乗り味は異色。|レオンアート・TRACKER 125に市街地試乗
- 2020/09/24
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MotorFan編集部 近田 茂
スペインブランドの「レオンアート」。PILDER125 を筆頭にアメリカンスタイルの立派なフォルムに125ccエンジンを組み合わせた意外性が話題を呼んでいる。現在全部で5機種が国内販売され、既に3 機種は当WEBサイトにてで記事掲載済みだが、残るはオーソドックスポーツスタイルのVESSEL 125、そして今回試乗したTRACKER 125である。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ウイングフット株式会社
ラインアート・TRACKER 125.......440,000円
TRACKER 125 は、他の同ブランド製品と同様にスペインで開発され、中国の力帆(LiFan)工場で生産されている。ヴィンテージスタイルにモダンな素材とテクノロジーを調和させたスクランブラーモデルとしてリリース。
空冷単気筒のフューエルインジェクション式エンジンを搭載。ボア・ストロークは57×48.8mmというショートストロークタイプ。8kWの最高出力を発揮すると言うから、125ccのオフ系モデル としては、まずまず順当なパフォーマンスである。
キャスターの寝かされたフロントフォークは倒立式でアジャスト機構も装備。中国製のKINGSTONEタイヤを履く。リヤは角断面アルミ製スイングアームを採用。ピボットと後輪の間にボトムリンク機構を設け、赤いコイルスプリングのモノショックが装備されている。
全体的に粗削りな部分も見られるが、CBS(前後連動ブレーキ・システム)の採用やカスタムバイクのようにも見えるデザインセンスの投入等、ライバル無き存在としても注目できる仕上がりなのである。
ちょっと異色で斬新な乗り味。
試乗車を目前にすると、そのスタイリングは何とも新鮮である。古めかしい印象を受けはするものの、かと言ってかつて似たバイクを知っているわけではない。ブロックパターンのタイヤや、エンジンガードを標準装備した点、全体的にブラックアウトされたカラーデザイン等が異彩を放つ。
タンクデザインやタックロールが入れられたロングダブルシート、そして空冷エンジンの搭載やアナログ式シングルメーターの装備はもはや珍しい部類だが、それらの集合体はかえって新しくも感じられたわけだ。
前述のタイヤを見れば、それがオフ系のバイクであることは明白。スクランブラーモデルとして開発された事は間違いないが、流石にレオンアートの製品らしく十分に堂々と立派な車格(サイズ感)を備えている。
何よりも前後に履くタイヤサイズが太い。フロントは4.10-18、リヤは4.60-17である。そこから伝わって来たのは、ボバースタイルのスクランブラーモデルに新境地を提案しているのではないか!?・・・と思えたのである。
跨がるとそれなりに腰高な印象。市街地を走ると乗用車のルーフを超えて前方を見る事ができる程、遠方視界に優れる乗り味が先ずは好印象。
ハンドルも深く(切れ角45°)切れるので小回りU ターンも基本的には扱いやすい。倒立式のフロントフォークはキャスターが29°と寝かせぎみで、車体自体の直進性はそれなりに強く感じられた。ただ、舗装路を走る際、大胆なパターンデザインのタイヤが転がる時、地面と接地するブロック毎に接地点がアチコチにウロウロする感じが伝わってくる。
旋回中もその雰囲気が残るので、操縦性がスッキリと決まらない印象を覚えた。前後サスペンションもやや硬い感じ。砂地や子砂利の浮くフラットダート的なステージは得意なのかもしれない。
ブレーキは少しばかり強めの踏力がいる感じだが、前後連動式が採用さており、リヤブレーキペダルを踏むとフロントキャリパーの3ピストンの内、中央の1ピストンも作動する仕組みである。
前輪ブレーキだけを掛けたい場合は右手のフロントブレーキレバーを握れば、3ピストンの内両端の2ピストンが作動する。ちなみにリヤブレーキのみを単独作動させることはできない。
搭載エンジンは、至ってオーソドックスな空冷単気筒エンジンに5速ミッションをマッチ。性能的に特筆すべき事は無いが、なかなか歯切れの良いサウンドを響かせながら、不足の無いパフォーマンスを発揮する。
ちなみに外付けのタコメーターで測定したところ、アイドリングは1,500rpm。実用的なパワーバンドは4,000 ~8,000rpm。強引に引っ張ると9,000rpmは超える。またローギヤで5,000rpm回した時の速度はおよそ16km/h。5速トップギヤで50km/hクルージング時のエンジン回転数は4,700rpmだった。
走り慣れるにつれて、こう言うユニークなモデルを日常の足にするのもまた良いかもしれないという気分になってきた。人とは違う、珍しいモデルに乗る楽しみは侮れないのである。
そしてもうひとつ、何故か思い出されたのはヤマハTW200の事。コンセプトはもちろん、両車の仕上がりはまるで別物ではあるが、ビッグフットを履くオフ系モデルという要素は、どこか親しみ易く気軽に乗れる魅力があるのかもしれない。
足つき性チェック(身長168cm)
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