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ジェットコースターはG=加速度を楽しむ乗り物ではない?

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フェラーリ・ランドの「レッド・フォース」

ジェットコースターといえば、右に左に上に下にと激しく動く乗り物というイメージだ。 いや、そのイメージ自体が古く、現代は「乗り心地の良さ」が欠かせないという。Gは発生させるし管理するが、 乗員にスリルを味わわせるための要素ではなく乗り心地のためだ。
TEXT:世良耕太(SERA Kota)

 最後にジェットコースターに乗ったのがいつのことだかさっぱり思い出せないくらいだから時代に取り残されているのは間違いないが、それでも「最近のジェットコースターに求められるのは乗り心地です」と言われてしまうと、「なんで?」と思ってしまう。乗り心地の良さを求めるならジェットコースターになど乗らなければいいのに、と。それに、「Gを楽しむ乗り物ではなくなっています」とも言う。

 では、何を楽しむのだ。説明するのは、ジェットコースターを含む遊戯機械の設計・製造を手がける三精テクノロジーズの森田栄二氏(遊戯機械事業本部 企画設計部 部長)である。

森田栄二氏:三精テクノロジーズ株式会社 遊戯機械事業本部 企画設計部 部長
「高いところに上って降りるときに0Gになり、フワッと浮く感じは面白さとしてはあるのですが、Gを楽しむ乗り物ではなくなっています。Gをうまく制御して、お客様にあまり感じさせないようにすることが求められています。発進するときの最初の(加速)Gは日常では味わえないGですから、それはアリ。ただ、それ以降はGの変化をできるだけ穏やかにしてあげるのが、最近のジェットコースターです」

圧縮空気やリニアモーターでコースターに運動エネルギーを与えるのが近年のトレンド。チェーンによる「巻き上げ式」に対し、「ランチ式」「カタパルト式」と呼ぶ。レッド・フォースは発進後約5秒で180km/hに達する。巻き上げ式では実現しえない発進時の大きな加速Gと高い車速が最近のジェットコースターのウリ。リニアモーターを利用して高い場所に引き上げる方式も存在したが、わざわざチェーンの代替としてリニアモーターを使う必要はなく、主流になっていない。他に、モーターで走行する「自走式」がある。

 最近のジェットコースターの三大おもしろ要素は、スピードと高さと降下角度だ。4月にスペイン・タラゴナにオープンしたフェラーリ・ランドには、レッド・フォースと呼ぶイチ押しのジェットコースターがある。このコースターは発進から5秒で時速180キロに達し、一気に112mの高みにまで上がると、真っ逆さまになって地上レベルに降りてくる。ただそれだけだが、三大おもしろ要素はすべて備えている。

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