椿本チエイン、V2X対応充放電装置「eLINK®」豊田通商、中部電共同の「V2Gアグリゲーター事業」実証事業で採用
2020/03/17 Motor Fan illustrated編集部
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バーチャルパワープラントの実現に向け、次のステージへ
株式会社椿本チエインは、2013年にV2X対応充放電装置「eLINK」を発売。電動車(EV、PHEV)の急速充電コネクターを通じて、EVとビルディング、工場などの電力網を双方向につなぎ、停電時の非常用電源やピークカットに使うV2X機器として、公共施設を中心に採用されてきた。
2018年11月には、豊田通商株式会社、中部電力株式会社が共同展開する「V2Gアグリゲーター事業」の実証事業に、バーチャルパワープラント(VPP:仮想発電所)のリソースでの活用を踏まえ機能拡充を図った「新型 eLINK」(2019年3月に正式発売)が採用された。
続いて2019年に行なわれた両社の実証事業第2弾では、椿本チエイン豊田営業所と前年の実証事業で利用した豊田市民文化会館駐車場の2か所を実証事業所モデルとして、下記ポイントにて2つの実証実験が実施された。
① V2Gの調整力の実証(前年の実証事業より、実環境に近づける形で実施)
・中部電力株式会社が新たに提供する需給調整試験サーバからの指令をもとにした、豊田通商のV2G制御システムによる需給調整
・実際の営業車両と従業員通勤車両を使った運用
② 「eLINK」からの無効電力注入による、配電系統の電圧変動対策の実証
また、当社豊田営業所に入れたシステムは、停電発生時の非常用電源としての活用も可能なシステムとなっている。
営業車両と通勤車両を使用した実験風景
V2X対応充放電装「eLINK」
一連の実証事業では、「eLINK」のエコネットライト通信対応、高精度・高応答な充放電制御機能、無効電力を注入する機能をはじめ、電力を制御するエネルギーマネジメントシステム(EMS)との豊富な接続実績、実証実験への参画などの経験が豊富な点が評価された。
椿本チエインは、これらの経験、ノウハウを生かし、バーチャルパワープラントのリソースとして、V2Gによる需給調整力の提供や再生エネルギーの供給力シフトの実現に向け、「eLINK」のバージョンアップを図り、次世代エネルギー・社会システム構築に貢献することを目指している。
*V2X=Vehicle to Everythingの略: 蓄電池を持つ自動車(Vehicle)と住宅(V2H)、ビル(V2B)、電力網(V2G)などの間で電力の相互供給を行うこと。これらの総称として「V2X」と呼ぶ
*V2G=Vehicle to Gridの略
*V2Gアグリゲーター事業:エネルギーリソースを活用し、発電事業者、一般送配電事業者、小売電気事業者にサービスを提供するビジネスの事業者
*エコネットライト: エネルギーマネジメントやリモートメンテナンスなどのサービスなどを実現するための通信仕様