オープンイノベーションで技術の日産、復権となるか。ベンチャーの持つ尖った技術を積極的に活用し、開発を加速
- 2019/07/25
- Motor Fan illustrated編集部
日産とINCJ(旧産業革新機構)が2019年6月12日にベンチャー企業の技術展示会を日産横浜工場で開催した。18年に続いて2回目の開催だ。大企業とベンチャー企業のマッチングが目的でINCJの投資先企業4社と日産が選んだ3社が参加した。
TEXT&PHOTO:野崎博史(MFi)
日産自動車と、INCJ(旧産業革新機構)が、日産の横浜工場にて、ベンチャー起業の先進的な生産技術を検討する技術内覧会を開催し、日産の生産技術者とベンチャー企業との間で活発な情報交換が行なわれた。
日産は、インテリジェントモビリティを掲げ、電動化、知能化といった新たな領域に取り組んでいるのはご承知のとおり。そのため、ものづくりの現場は技術的なニーズが高まっており、内製による固有技術の延長線上での取り組みでは解決、改善できなくなっているという。そこで日産では、外部のアイデアを取り入れるオープンイノベーションを活用して、生産現場の作業の効率化や生産、開発スピードを上げる検討が行なわれている。
昨年に続く2回目となる今回は、事前に日産側が生産現場のニーズ調査を行ない、INCJ側がそのニーズに対して具体的な提案をできる有望なベンチャー企業をあらかじめ選定。そのすり合わせ作業は3ヵ月間、綿密に行なわれ、廃水処理技術、人工知能(AI)による画像処理、パワードスーツなどの新規企業を含む、7社が出展していた。そのうちの3社は、初回に引き続いての出展となった企業で、日産との協業成果として発表されていた。
日産の村田常務取締役によると「社内にオープンイノベーションの優位性を伝えるため、即効性のあるものから導入することも重要」と言う。日産は採用の事例を共有して協業の範囲を広げながら、生産技術開発を推進、加速、拡大していく予定だ。
工場の排水処理工程を短縮する凝固剤
熟練工の目視検査技術を習得するメガネ
tobiipro社のアイトラッカーは、人の眼球を捕らえるセンサーにより、瞳孔を計測して視線の方向を推定する技術。その計測した視線の向きを映像に出し、どのように視線を動かしているかを確認できる。外観検査への導入を検討している。
他の自動車メーカーへも展開予定
空気圧を動力源とするパワーアシストスーツ
ニーズとシーズンをいかにマッチングさせるかがカギ
オープンイノベーションの成功のポイントは、ニーズとシーズのマッチングに尽きる。ベンチャーの突き抜けた技術や発明があっても、メーカー側のニーズに則していなければ採用されない。しかし、勇気あるディスラプションがないと時代に取り残されてしまう可能性もある。
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