アストンマーティンが「DB11 V8」に与えた“スポーツGT”という真意とは。 V8を搭載する、もうひとつのDB11。《動画レポート》
- 2018/06/15
- GENROQ編集部
アストンマーティンは、主力モデルのDB11シリーズにV8モデルをラインナップに加えた。そのコンセプトもV12のGTに対してV8は“スポーツGT”だと主張する。搭載エンジンによるパフォーマンスの差もさることながら、その違いとは何か? モータージャーナリストの大谷達也と、GENROQ WEBの野口が動画でレポートする。
REPORTER◎大谷達也(Tatsuya OTANI)/野口 優(Masaru NOGUCHI)
PHOTO & MOVIE◎小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
パワフルなAMG製V8に、ソリッドな剛性感。
アストンマーティンのグランドツアラー「DB11」にはV12モデルのほかに、V8がラインナップされている。一見すると、エントリーモデルに見られやすいが、実のところ明確な違いがそこには存在する。では、何が異なるのか? パワーやトルクといったパフォーマンス面ではV12には敵わないのは明白だが……。
「イギリスのスポーツカーは、けっしてエンジンパワーだけで勝負するのではなく、クルマを軽量に仕上げることによって、高いハンドリング性能と軽快な加速感を味あわせてくれるのが特徴です。そういうスポーツカーをイギリス人は好むようです」
モータージャーナリストの大谷達也は、こう切り出した。
「確かにV12を積んだDB11も非常に魅力的ですが、V8はクルマ全体のバランスが良いんです。実にイギリスらしいクルマの仕上がりです。V12は、全体的にコンフォート側にふった印象がありますが、それに比べるとV8のほうは、ソリッドに感じます。本来もっているボディ剛性が実はV8のほうがうまく活かされているんです」
その理由をさらに深く語り始める……。
「それは主にリヤのサブフレームのブッシュをV12より上げているからだということをアストンマーティンのエンジニアから聞きました。リヤサスペンションの横剛性を高めるためです。その結果、クルマ全体にソリッドな印象を与え、ボディ全体の剛性が高くなったように思えるんです。若干、足まわりは硬くなったようにも感じますが、それでも乗り心地は悪くありません。むしろ、S(スポーツ)やS+(スポーツ・プラス)モードにしたほうが、クルマの動きが落ち着いてきて、快適に走れる印象すらあります」
無論、メルセデスAMG製のパワートレインも魅力的だと言葉を重ねる。
「AMGのV8ツインターボエンジンは、ターボラグもなく、レスポンスにも優れていて完成度は非常に高い。低速域からもトルクもあって、すごく良いエンジンです。パワーも十分。例えば、タイトコーナーでアクセルを踏むと簡単にテールスライドを起こすくらい。もちろん、その時はスタビリティコントロールが効いて、まったく不安なく走り抜けますが、それだけエンジンパワーがありますから、例えV12と比較しても遅いようには感じません」
そして、このDB11 V8をひと言で表するなら?と聞くと……。
「スポーツ性能とグランツーリズモ性能を併せ持った“スポーツGT”です。V12はサウンドも含めてエンジンに惚れ込んでしまいますが、何よりV8のほうがクルマ全体から感じられる優れたバランス感が魅力ですね」
実際、アストンマーティンも自らこのDB11 V8に関しては、“スポーツGT”という表現を用いているのは確かだ。V12と比較しても、そう感じることを思えば、明確なコンセプトをもつ1台だと言える。動画では、リアルにその印象を伝えているので是非ご確認頂きたい。きっと、もうひとつの新しい“DB”の世界観が見えてくるはずだ……。
【SPECIFICATIONS】
アストンマーティンDB11 V8
■ボディサイズ:全長4750×全幅1950×全高1290㎜ ホイールベース:2805㎜ ■車両重量:1705㎏ 前後重量配分:49/51 ■エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ 総排気量:3982cc ボア×ストローク:83×92㎜ 圧縮比:10.5 最高出力:375kW(510ps)/6000rpm 最大トルク:675Nm/2000〜5000rpm ■トランスミッション:8速AT ■駆動方式:RWD ■サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク ■ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ(リム幅):前255/40ZR20(9J) 後295/35ZR20(11J) ■環境性能(EU複合) CO2排出量:230g/km 燃料消費量:9.9ℓ/100km ■車両本体価格:2278万1177円(税込)
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