ZF:世界初のプリクラッシュ・エクスターナル・ サイドエアバッグ・システムを公開
- 2019/06/06
- Motor Fan illustrated編集部
ZFはメミンゲンにおいて、外側に展開するサイドエアバッグを装備した世界初のプリクラッシュ乗員安全システムのプロトタイプを公開した。
側面衝突は最も危険な事故のひとつで、ドイツにおける乗員死亡者数全体の約3分の1にのぼる700人近くが1年間に亡くなっている。ZFが開発した新型プリクラッシュ・セーフティシステムのプロトタイプには、衝突の数ミリ秒前に展開する外部サイドエアバッグが装備されている。これにより、側面の衝撃吸収スペースが拡大し、事故の際に乗員を守り、ダメージのレベルが最大40%低減される。ZFが開発した新しいシステムでは、エアバッグと車両のセンサーシステムがネットワーク化されており、衝突が迫っていることを判断すると、エアバッグを展開するかどうかの決定を可能にするアルゴリズムが組み込まれている。
ZFのアドバンスト・エンジニアリング・チームのセーフ・モビリティ・システム部門を統括するウーヴェ・クラス氏は「このセーフティシステムは、側面衝突によって乗員が負うダメージを大幅に低減することができます」と述べている。
ZFは現在、センサーシステム、アルゴリズム、制御ユニットからアクティブ/パッシブ・アクチュエーターまで、あらゆる領域における統合的な自動車安全技術を提供している唯一の企業。「当社は、『See-Think-Act(見て、考えて、動かす)』プロセス全体を深く理解することで、新型のプリクラッシュ・セーフティシステムのような統合的な自動車安全ソリューションを開発するノウハウを有しています」とクラス氏は述べている。
認識から展開までを瞬時に判断
このシステムの開発における最大の課題は、衝突が起こる前に、確実に衝突が不可避であるかを判断し、外部サイドエアバッグを展開させることだった。システムがエアバッグの展開を決定してから充填を行うには約150ミリ秒が必要。これは人間が瞬きをする時間に相当する。
まず、車載センサーが、衝突の可能性を素早く、正確に判断する。これはネットワーク化されたカメラ、レーダー、ライダーによって可能となった技術だ。システムのソフトウェアに採用されているアルゴリズムにより、衝突が不可避であるかどうか、またエアバッグの展開が可能かつ有効であるかどうかの判断を行う。衝突が不可避であり、エアバッグの展開が可能かつ有効であると判断されると、システムがインフレータを点火し、エアバッグを膨張させる。その後、エアバッグ(車両により容量は280から400Lで、運転席用エアバッグの容量の5から8倍にあたる)がサイドスカートから上方に展開し、A-Cピラー間のドア部分で衝撃吸収スペースを拡張する。
負傷リスクの低減
側面衝突においては、車両が大きく変形した場合に、衝突した側面側の乗員が特に胸部に重傷を負う危険を抱えている。ZFのプリクラッシュ・セーフティシステムは、衝突車両のインパクトを最大で30%抑制し、乗員の負傷リスクを大幅に低減する。
衝突が不可避であると予測する情報は、既存の標準的な安全技術の有効性をさらに高める効果もある。例えば、ACR8アクティブ・コントロール・リトラクターは、衝突の直前に乗員に警告を発したり、安全な位置で固定したりできる。
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