衝突被害軽減ブレーキの国際基準の成立 国道交通省: 日本が主導してきた自動運転技術に関する国際ルールが国連で合意
- 2019/07/01
- Motor Fan illustrated編集部
国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第178回会合において、「車両及び歩行者に対して所定の制動要件を満たすこと」などを要件とする、乗用車等の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の国際基準が成立した。また、自動運転車の国際的なガイドライン及び基準策定スケジュールを含む、自動運転のフレームワークドキュメントが合意された。
WP29は自動車安全・環境基準の国際調和と認証の相互承認を多国間で審議する唯一の場であり、日本も積極的に参画している。今次第178回会合は6月24日から28日にスイス・ジュネーブにて開催された。
■ 乗用車等の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の国際基準の成立
日本は、乗用車等のAEBSの国際基準に関する検討を行う分科会の共同議長として議論を主導してきたところ、今般、国際基準が成立した。同基準は、来年1月に発効が見込まれている。
わが国では、本年6月18日に開催された「昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議」において「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」がとりまとめられたところ。今後、今般成立した国際基準の発効を受け、当該緊急対策に基づき、国内基準を策定するとともに、本年内を目途に、新車を対象としたAEBSの義務づけについて結論を得る予定だ。
【乗用車等の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の国際基準】
・静止車両、走行車両、歩行者に対して試験を行い、所定の制動要件を満たすこと。
・エンジン始動のたびに、システムは自動的に起動してスタンバイすること。
・緊急制動の0.8秒前(対歩行者の場合、緊急制動開始)までに警報すること。
■ 自動運転のフレームワークドキュメントの合意
日本は、自動運転車の国際的なガイドライン、優先検討項目に係る基準策定スケジュール等から構成される自動運転のフレームワークドキュメントについて、米国・欧州等とともに、作成を主導してきたところ、今般、合意された。また、優先検討項目に係る具体的な基準策定を進めるための会議体が新たに設置されるなど検討体制の拡充にも合意されたところ、日本は、共同議長等の役職を担うなど、引き続き、自動運転の国際基準作りにおける議論を主導していく。
【自動運転のフレームワークドキュメントの概要】
・自動運転車の安全目標
「許容不可能なリスクがないこと」、すなわち、自動運転車の走行環境条件において、自動運転システムが引き起こす人身事故であって合理的に予見される防止可能な事故が生じないこと
・具体的な項目
A 自動運転システムの安全性
B フェールセーフ対応
C HMI、ドライバーモニタリング
D 対象物・事象検知
E 走行環境条件
F 自動運転システムの安全性能確認手法
G サイバーセキュリティ
H ソフトウェアアップデート
I イベントデータレコーダー(EDR)とデータ記録装置
・主な基準策定スケジュール
2020年3月までに、高速道路における自動車線維持走行(レベル3)の基準案を作成
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