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NVIDIA:BMWがIsaacプラットフォームで構築されたAIロボットを自動車工場に導入

  • 2020/05/15
  • Motor Fan illustrated編集部
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BMW Groupが先進のAIコンピューティングとビジュアライゼーションテクノロジに基づいて構築されたロジスティクスロボットを活用して自動車工場を強化するためにNVIDIAの新しいIsaacロボティクスプラットフォームを採用したことを発表した。

 このコラボレーションは、NVIDIAのテクノロジをベースとしたトレーニング、テストから導入に至るエンドツーエンドのシステムを実装することが中心でなり、ロボットは単一のソフトウェアアーキテクチャを使って開発され、NVIDIAのオープンIsaacロボティクスプラットフォームで動作する。BMW Groupの目的は、工場内のロジスティクスを改善して、カスタマイズされた自動車をより早く、より効率的に生産すること。開発が完了すると、このシステムはBMW Groupの世界中の工場に展開されることになる。

 NVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン・フアン氏(Jensen Huang)は、次のように述べている。「BMW GroupがNVIDIAのIsaacロボティクスプラットフォームを採用して、工場を刷新しようとしているのは、画期的な出来事です。BMW Groupは、工場自動化の時代の先頭を行っており、AIおよびロボティクステクノロジのブレイクスルーを利用して、高度にカスタマイズが可能な、ジャストインタイムでジャストインシーケンスの製造の次のレベルを生み出そうとしています」

 BMW Groupのロジスティクス担当シニアバイスプレジデントであるユルゲン・メイドル氏(Jürgen Maidl)は、次のように述べている。「BMWはお客様に向けて『Power of Choice』というメッセージを打ち出し、様々なお客様が多様な車両に多様な機能をカスタマイズできるようにしています。1つの工場ラインで、複数のモデルを大量生産するなかで、高品質で高度にカスタマイズされた自動車を生産するには、エンドツーエンドの先進的なコンピューティングソリューションが必要となります。NVIDIAとのコラボレーションにより、当社は未来に向けて今日の工場ロジスティクスを発展させ、最終的に世界中にいるBMW Groupのお客様に満足していただくことができるようになります」

(PHOTO:BMW)

 このコラボレーションではNVIDIA DGX AIシステムとIsaacシミュレーションテクノロジによるロボットのトレーニングとテスト、NVIDIA QuadroレイトレーシングGPUで機械部品をレンダリングすることによるトレーニングの向上、ならびに高性能なNVIDIA JetsonおよびEGXエッジコンピューターを活用したIsaacソフトウェア開発キットで制作された、複数のAIを使ったロボットの新しいラインアップの作成に焦点が当てられる。
 BMW Groupのサプライチェーンでは、4,500以上のサプライヤーサイトから、23万の部品番号が割り振られたものを含む、数百万の部品が工場に送られており、BMW Groupの自動車販売台数が過去10年間で倍増して250万台になったのに合わせて、部品の数も増え続けている。さらに、BMW Groupの車両では、平均100通りの多様なオプションが顧客に用意されているため、顧客の注文の99%がそれぞれ異なったものとなっており、工場内のロジスティクスでの大きな課題となっている。このきわめて複雑化した材料の流れを最適化するために、現在、AIを活用した自律ロボットで生産プロセスを支援して、共通の生産ラインで高度にカスタマイズされた多様な車両を生産している。

「結局のところ、膨大な量の車両オプションが、BMW Groupの生産活動にとって大きな障害となり、コンピューティング、ロジスティクス計画およびデータアナリティクスという3つの基本的な部分に負担がかかるようになっていました」とメイドル氏は述べている。

 これに対処するために、BMW Groupでは、NVIDIAのIsaacロボティクスプラットフォームを使って、5つのAIロボットを開発し、さまざまなNVIDIA Jetson AGX XavierおよびEGXエッジコンピューターを活用して、ロジスティクスのワークフローを改良しようとしている。これらのロボットには、材料を自律的に運搬するナビゲーションロボットや、部品を選定および整理するマニピュレーションロボットも含まれている。

(PHOTO:BMW)

 NVIDIA Isaac SDKを使って開発される、これらのロボットはいくつかのパワフルなディープニューラルネットワークを活用して、認識、セグメンテーション、姿勢評価および人間の姿勢評価を通じて、自身のいる環境の把握、物体の検知、自律的なナビゲーションおよび物体の移動を行う。これらのロボットは、NVIDIA GPUを使って実際のデータと合成されたデータの両方でトレーニングされ、さまざまな照明およびオクルージョンの条件下で機械部品をレイトレーシングでレンダリングすることで、実際のデータを補完する。
 その後、実際のデータと合成されたデータを使い、NVIDIA DGXシステムでディープニューラルネットワークのトレーニングが行われる。さらに、ロボットはNVIDIAのIsaacシミュレーターでナビゲーションと操作の両方のテストが継続的に行われる。NVIDIAのOmniverseプラットフォームで動作するので、異なる場所にいるBMW Groupのさまざまな担当者全員が、シミュレートされた共同の環境で作業できるようになる。

(PHOTO:BMW)

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