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F50再生:四半世紀もの間1mmも動かさなかったフェラーリF50、発見さる(車両到着編)

  • 2020/12/29
  • Motor Fan illustrated編集部
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ただでさえスペシャルなフェラーリの、さらにそのなかでも別格なF50が、まったく動いていない状態で発見された。コーンズ 東雲サービスセンターによるこのクルマの再生プロセスをmfjpが追う。
PHOTO:コーンズ・モータース

懇意にしていただいているコーンズ・モータースのご担当者から思わず聞き返すような連絡をいただいた。

「F50の未走行車を引き取りました」。

F50がどれだけ特別な車両であるかはここであらためて説明するまでもないだろうから割愛する。問題は、それが長期間にわたって動かさなかったクルマであることだ。訊けば、コーンズはこの車両を徹底的にレストアして最終的に走らせるところまで予定しているという。

長期間動かさないことで、自動車にはさまざまな現象が起こる。少し考えてみても——

・エンジン/トランスミッションにおけるオイル下がりとそれに伴う酸化発錆
・シャシーにおけるゴム/ブッシュ類の収縮や発錆、リンク/アームの固着
・シャシーにおけるブレーキピストン、ハブベアリングなどの固着
・内外装における発黴あるいは退色、シーリングの硬化
・電装類のバッテリー寿命とハーネス類の酸化発錆

——など、さまざまなトラブルが思い当たる。クルマは走らせることで少しずつ磨耗していくプロダクトではあるが、同時に動いていることで状態を保っている部位も少なくないのだ。

現車を前にした素直な感想は「キレイだな」だった。どこから引き上げたのかは顧客情報ということもあり明らかにはされなかったが、さすがにフェラーリ、しかもF50、屋内ガレージにずっと停められていた状態だったらしい。しかも驚いたことに、当時のセールス担当者が「ハンドルカバーやフロアシートなどの養生類は私がお納めしたときのまま」というのだから、まさに1mmも動いていないデッドストックといって差し支えないだろう。

それを裏付けるかのように、真っ赤な塗色には焼けや色褪せの類はまったく見当たらず、ただ薄く埃が堆積しているだけ。一方で、タイヤは長期間の放置による油分染み出しと埃の付着によって、サイドウォールがひどく汚れているように見える。そのほかのウェザーストリップやパッキンなどのゴム類も同じく汚れているが、冷暗所だったのだろうか、割れやひびといった症状には見舞われていない様子。ヘッドランプやエンジンカウル中央のプレクシグラスはさすがに透明度を失っていて、ただしその不透明さは経年劣化なのか汚れの堆積によるものなのかは一瞥しただけではわからない。

内装は、冷暗所保管だったことが裏目に出たのか、黒いスウェードには一面に黴が発生している。F50は内装の大半をスウェード張りとしているため、余計に白い斑点が目立つ格好だ。ただし、当然ながら使用に伴う摩滅や起毛の癖付きなどは皆無。日本の高温多湿で犠牲になりがちな樹脂パネルのベタつきなども、見た限りでは生じていないようだ。

助手席には、納車の際に車両とセットで納品されるバッグやボディカバーの類が積み上げられている。これも「私が納めたときのまま」だそう。さらにはマラネロで組み上げられていくプロセスを記録したアルバムも開梱されないまま車内に残されていた。当然、すべて紙焼き写真である。

motor-fan.jpでは、コーンズ 東雲サービスセンターの本プロジェクトを完了まで密着取材する。今後、複数回にわたってレポートする予定。ご期待ください。

F50再生:タイムカプセル状態のフェラーリF50をリフトアップ、各部を眺める(車両確認編)

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