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内燃機関超基礎講座 | 65度バンクのルノー・日産のV6ディーゼル[V9X]

  • 2021/06/03
  • Motor Fan illustrated編集部
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日産とルノーが載せる、バンク角65度という不思議な数字を持つディーゼルエンジンを紹介しよう。

ユーロ5への適合を目標に、日産とルノーの共同によって開発が行われた排気量3ℓのディーゼルエンジン。基本的にはVQシリーズをベースとしているが、バンク角は65度に変更(VQシリーズでは60度)、ボア×ストロークも同排気量のVQ30DE(93.0×73.3mm)とはまったく異なるなど、V6というレイアウト以外の共通点が見出せないほど大幅な設計変更が施されている。

65度という不思議なバンク角は搭載性を追求したため。本機はインフィニティ向けに企画されたエンジンで、しかもそのクルマはそもそもディーゼルエンジンの搭載を念頭に置いていなかった。インフィニティというラグジュアリー車にふさわしい静粛性と高級感を備えるディーゼルエンジンが見当たらず、新たに起こしたという経緯である。当然、アライアンスを組むルノーに積むことも盛り込まれ、そうなると横置きも考慮に入れなければならない。必然的にコンパクトなエンジンとして仕立てることが求められ、そのための手段が「バンク内シングルターボ」であった。なお、企画当初はV8フォーマットも検討されたが、上記の理由などから早期にV6にスイッチしている。

軽量コンパクトをねらう設計で、検討段階ではアルミブロックにリブを立てることも考慮されたが、材質はCGI(コンパクト黒鉛鋳鉄)が用いられた。ブロック単体ではアルミ合金に分があるものの、パワートレインとして仕立てた場合にアルミブロックが備えなければならない制振材などを含めた総重量と比較すると、CGIブロックのほうにメリットがあると判断したため。ディープスカート形状でベルハウジングとの結合面を大きくし、NVH対策に意を払った。結果、当時のベンチマークエンジン勢に対して、250Hzおよび500Hzにおいて最良レベルを実現している。

燃料噴射系統はコモンレール式、インジェクタは最大噴射圧180MPaのピエゾ式を備える。噴孔数は7。圧縮比は当時としては低めの16.0に抑えた。なお、設計としてはVQを参考にしたと先述したが、生産については4気筒ディーゼルM9R型と25%の部品共有が図られているようだ。2011年には排気量を2993ccから2991ccへとわずかに縮小している。

■ V9X
気筒配列 V型6気筒
排気量 2993cc
内径×行程 84.0×90.0mm
圧縮比 16.0
最高出力 175kW/3750rpm
最大トルク 550Nm/1750rpm
給気方式 ターボチャージャー
カム配置 DOHC
吸気弁/排気弁数 2/2
バルブ駆動方式 ロッカーアーム
燃料噴射方式 DI
VVT/VVL ×/×
(NAVARA)

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