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内燃機関超基礎講座 | 排気量は1.6ℓ メルセデスのいちばん小さなディーゼルエンジン[OM626]

  • 2021/06/14
  • Motor Fan illustrated編集部
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ルノー/日産アライアンスとダイムラーは2010年に戦略的な提携を結んだ。その成果のひとつが、ルノーが基本設計を行ない、メルセデス流に仕立てたディーゼルエンジン・OM626である。
TEXT:世良耕太(SERA Kota)

メルセデス・ベンツの最小排気量ディーゼルはOM651の1.8ℓ・直4(100kW/300Nm)だったが、2014年に新たな最小排気量エンジンが登場した。OM626がそれで、排気量は1.6ℓ。

シリンダーヘッドはアルミだが、クランクケースは鋳鉄。ソレノイド式インジェクターによる最大噴射圧は1600barで、2015年的視点で眺めれば、ロースペックの部類に入る。が、もちろんEuro6に対応。Cクラスと組み合わせた際のCO2排出量は99g/kmでしかない。15.4の圧縮比は欧州産ディーゼルとしては低い部類に属するだろう。シングルのターボは可変ジオメトリー。デュアルマスフライホイールを採用することにより、バランスシャフトを不要としたのも特徴だ。

鋳鉄製のシリンダーブロックはクローズドデッキ構造。縦横にリブを張り巡らせることで高剛性とした。クランクシャフトは5つのキャップ+2本ボルトで留める方式。ピストンはスチール製を用いる。

コンベンショナルなアルミニウム製ピストンとの比較。比重の関係からスチール製ピストンの方が小さくなっているが、重量はほぼ同等。熱の伝導性に優れるのに加え、フリクション面でアルミに対してアドバンテージがある。
吸気バルブにはEKASと称する片側休止機構を備える。吸気ポートはマニフォールドのかなり上流から2系統に分かれていて、その片方にバタフライバルブを装着。ここで流入径を絞ることでもう片側の吸気ポートからのスワールが強化され、筒内流動を高める。
可変ジオメトリーターボ(タービン径37.5mm/コンプレッサー径45mm:最大過給圧2.75bar)やクールド低圧EGRなど、エミッション低減と燃費向上に効くデバイスを採用。アイドリングストップ機構を装備する。NOx還元はメルセデス得意の尿素SCR(AdBlue)で行なう。
エンジンの基本設計はルノーが行ない、メルセデス車両への適合やチューニングはダイムラーが行なう。例えば、ECUにはメルセデス・ベンツが良しとするドライバビリティを実現する制御が組み込まれる。生産はダイムラーのブレーメン(ドイツ)工場で行なう。

■ OM626
気筒配列 直列4気筒
排気量 1598cc
内径×行程 80.0×79.5mm
圧縮比 15.4
最高出力 100kW/3800rpm
最大トルク 320Nm/1500-2600rpm
給気方式 ターボチャージャー
カム配置 DOHC
吸気弁/排気弁数 2/2
バルブ駆動方式 ロッカーアーム
燃料噴射方式 DI
VVT/VVL ×/◯
(C200d)

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