堀場製作所:二次電池材料など粉末試料の高効率解析に貢献する「粒子分散ユニット」を本格展開
- 2021/06/11
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MotorFan編集部
堀場製作所は、圧力差を利用して粉末試料を分散する「粒子分散ユニット」を国内外に本格展開する。
ラマン分光分析※1装置や電子顕微鏡などで粒子状物質の性質や形状を分析するうえでは、プレパラートに試料を均一に分散させることが測定結果を左右する重要な工程の一つである。従来は手作業で行われることが多く、試料を十分に均一分散できない課題があったが、本製品を使用することで簡単に効率よく適切な前処理ができる。
医薬品、二次電池、ナノ材料から化粧品、食品まで幅広い分野における研究開発の進展に貢献していく。
開発の背景
材料中の粒子形状を把握・改良することは、製品の機能性を決定づける重要な要素のひとつである。チョコレートの開発では、舌触り(食感)は原料であるカカオマスの粒が大きいと口どけが早くなるなど、カカオマスの粉砕度合いの管理が重要だ。
このような粒子の分析は、試料を凝集させず均一に分散させる前処理が測定結果に大きく影響する。昨今、あらゆる材料の研究開発においてより微小な粉末試料の分析が行われており、粒子分析の前処理をより簡便で効率よく高い精度で行うことが求められている。こうしたニーズに応えるため本製品を開発した。本製品をラマン分光分析装置(世界シェア30%※2)、蛍光X線分析装置、電子顕微鏡などと組み合わせて使用することで複合的な試料観察を容易にする。
製品の特長
・ボタン3つの簡単操作で粉末を均一に分散させることが可能
・圧力差を利用して分散させるため、試料を汚染せずに前処理が可能
・分析装置と組み合わせ、各粒子を効率的に分析
(ラマンイメージング、粒子形状解析など)
【粒子分散散ユニットが使用される主な研究開発の分野】
・電池材料
・医薬品
・カーボンナノチューブ、ナノ材料
・トナー、塗料
・工業ダイヤモンド
※1 ラマン分光分析
「光」の性質を利用した分析方法。光を物質に照射すると、相互作用により光の一部は散乱される。散乱光の大部分は、入射した光と同じ波長(レイリー散乱光)だが、一部で入射光と異なる波長をもつラマン散乱光と呼ばれるものが発生する。この波長の差は、物質がもつ分子固有の振動エネルギーに相当する。ラマン分光分析とは、このラマン散乱光の性質を用いて、物質に含まれる成分や、分子構造など様々な性質を調べる手法である。
※2 堀場製作所調べ(2020年12月時点)
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