TOYOTA C-HR EV in Auto Shanghai 2019 TNGA初のEV、トヨタC-HR EVの可能性 中国でトヨタブランド初EVの意味
- 2019/05/13
-
MotorFan編集部 鈴木慎一
なぜトヨタが中国でC-HRのEVを出すか。それは中国の新エネルギー車(NEV)規制の存在があるからだ。
NEV規制は、中国で年間に3万台以上を生産・輸入する完成車メーカーが対象だ。中国での内燃機関車の生産や輸入量に応じて、NEVの生産実績で付与される「クレジット」を獲得しなければならない。目標は2019年に10%、20年には12%と引き上げられる。未達成の場合は他社からクレジットを購入する。18年から導入される予定だったが1年間延期され19年から罰則付きで実施されている。NEV対象は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)で日本勢が得意とするハイブリッド車(HV)は含まれない。
トヨタで言えば、2018年の中国での販売台数が148万7000台だから、2020年の12%となれば、全体の販売台数が150万台だとしても18万クレジットを確保しなくてはならない。これをすべてEVで対応しようとすると3万6000台(航続距離350kmのEVなら1台当たり5クレジット、同様に航続距離50~80kmのPHEVなら1台当たり1クレジット換算)販売しなくてはならない。
トヨタとしては、NEV規制に対応するために、中国でEVを出さざるを得ないわけだ。
とはいえ、TNGAベースのEVが充分な性能をリーズナブルな価格で提供できるのではあれば、中国だけでなく欧州や日本での販売も視野に入れるはずだ。が、おそらく現状ではそうはならない。中国のNEV規制をクリアするだけのクレジット分を中国の合弁(広汽トヨタと一汽トヨタ)に作って売ってもらうという戦略だろう。中国での販売台数の2.4%をピュアEVでカバーできればOKということだ。中国C-HR EV以外にもNEVを用意している。
たとえば、
カローラPHEV /レビンPHEV(21万RMBほど=約378万円)
広汽トヨタ ix4(60km/h走行時の航続距離376kmで22万RMBほど=約396万円)
を販売することでクレジットを稼ぐこともできる。
トヨタブランド初の量産EVという話題が先行した感があるが、あくまでも
広汽トヨタと一汽トヨタのEV、というのが中国C-HR EVの実像だ。
ちなみに、日産と東風汽車の合弁である東風日産のシルフィEVを例にとると
航続距離:338km
価格:15万9000RMB〜上級グレードで16万6000RMB(約286万円〜299万円)
EVでないシルフィ(旧型)が9万9800RMB(約180万円)であることを考えると、やはりEVは高価だ。2020年に打ち切られる補助金なしにEVを売ろうと思ったら、もっと価格を下げる必要がある。かといって、性能を下げたらブランドに傷がつく。中国C-HR EVの発売が2020年というのは、日本のバッテリーメーカーの中国生産が軌道にのる、あるいは中国バッテリーメーカーの品質が上がり価格が下がる……環境とも関係があるのだろう。
ちなみにEVでない広州トヨタのC-HRの価格は、2.0ℓ+新開発のダイレクトシフトCVTモデルで
最廉価版:15万9800RMB(約288万円)〜上級モデル:17万8800RMB(約322万円)だ。中国C-HR EVはこのコンベのC-HRとの価格差をどこまで詰められるか、20年の発売が楽しみだ。また、市場でどう受け入れられるかも注目だ。
- 前へ
- 2/2
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebこれが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー