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【奥深いモンキー改の世界】インジェクション+酸素過給で22.5馬力を発揮!|排気量は115cc

  • 2019/09/19
  • MotorFan編集部 北 秀昭
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「Gクラフト」と「FCデザイン」が2002年(平成14年)に手掛けた、知る人ぞ知る超パワフルなモンキーカスタム。

モンキーがFI(フューエル・インジェクション)化されたのは2009年(平成21年)だが、2002年(平成14年)にはすでに、キャブレター仕様をFI化するキットが発売。今回紹介するモンキー改は、FIキットに「酸素過給」を組み合わせた、超パワフルなドラッグ仕様。4ストローク単気筒OHC 115ccながら、推定22.5馬力を叩き出したモンキーカスタムをプレイバック!
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

「インジェクション」と「酸素過給」を組み合わせたハイパワーのモンキー改

製作:Gクラフト×FCデザイン

 写真は2002年(平成14年)に登場した、モンキーカスタム史上初となる「インジェクション」と「酸素過給ユニット」を組み合わせたモンキー改。月刊モト・チャンプ誌による50.29mの走行タイムを競うドラッグレース『SS1/32mile』にも出場していた、伝説の1台だ。

 このカスタムは、モンキー用カスタムパーツの大御所『Gクラフト』が手掛けたモンキー改(キャブレター仕様)をベースに、各種吸気システムを手掛ける『FCデザイン』の市販インジェクションキット「FI電子制御燃料噴射システム(2019年現在も発売中)」に加え、ワンオフの酸素過給システムを導入したもの。

 写真のカスタムは、酸素過給化するにあたり、酸素供給用のペットボトルをテールカウルの下に装着。酸素過給しない無過給の状態に比べ、約1.5倍ものパワーアップに成功。

 エンジンはノーマルの49ccから、SP武川製のパーツをメインにチューニングした115cc。仮に、酸素加給なしで15馬力出力していると仮定すると、酸素過給仕様では、22.5馬力ものパワーを叩き出していることになるから驚きだ。

Gクラフト&FCテサインの技術やノウハウをフル投入したモンキー改。ワンオフのガソリンタンク、オリジナルカラー、アルミフレーム、ロングスイングアーム、NSR用正立型フロントフォーク等で各部を強化。

「理論上、酸素を100%にすれば、15馬力×5倍=75馬力も可能です」

 「空気中に含まれる酸素の割合は20%程度。例えば、酸素加給によって酸素の割合を30%に上げることにより、およそ1.5倍のパワーアップが可能です。

 理論上、酸素を100%にすれば、5倍のパワーになるということ。この場合、当然エンジン内の熱対策や強化等が必要ですが(FCデザイン)」

 15馬力の5倍のパワーというと、何と75ps。排気量115ccでのこの数字は、まさに驚異的な数字だ。

 酸素過給システムは、任意に燃料噴射量をセッティングできるインジェクションならではのもの。キャブレター仕様にはチョイスできないのがポイントとなっている。

低速から高速までパワーの谷がなく、どんな回転域においても巨大なパワーを発揮!

SS1/32mileではモンスターパワーを炸裂!あまりの出足の激しさから、当時は「22.5馬力は軽く超えている」と噂されていた。
 「酸素の量は、50m程度を走るのならペットボトル1本程度で十分。ペットボトルの中の酸素は、負圧によって管を通り、インジェクションを経由せず、マニホールドから直接エンジン内に送り込まれるしくみです(FCデザイン)」

 酸素過給システムのもうひとつの特長は、低速から高速までパワーの谷がなく、どんな回転域においても巨大なパワーがゲットできるという点。つまり、写真の車両でいうと、下から上まで常に1.5倍パワーであるということ。

 FCデザインは、「モンキーなどの単気筒エンジンは、構造上、酸素過給するには、もっとも適したエンジンである」と指摘。SS1/32mileでは、酸素30%=1.5倍仕様だったが、当時、酸素40%=2倍仕様でのテストも行ったという。

混合気を供給する吸気システム部。通常、インジェクターは1本でまかなえるが、酸素を過給することで、ガソリンの供給量も増大。そこでインジェクターを追加して、ガソリンの噴射量をアップしている。
Gクラフト製のアルミ削り出しステムにNSR用Fフォークをセット。ドラッグ仕様のため、セパレートハンドルはローポジション。
エンジンはモンキー用(キャブレター仕様)をベースに115ccまでボアアップ。このエンジンをインジェクション化し、酸素過給システムを導入。

インジェクション+酸素過給システムのしくみ(イメージ)

 物質は酸素が多ければ多いほど、激しく燃える。エンジンの場合、「物質」とはガソリンのこと。混合気の中の酸素量を増やせば、爆発力も増して、パワーも増加する。これが酸素過給システムの基本原理だ。

写真は酸素専用のインジェクター。
 モンキー改に導入された酸素過給システムを見てみると……。酸素を噴射する箇所は、インテークマニホールド。具体的には、インジェクションとシリンダーヘッドの間。この箇所から、「酸素専用のインジェクター」から、燃焼室に直接、酸素を噴射させている。

 混合気を噴射する「インジェクション」と「酸素インジェクター」は、それぞれECU(コンピュータ)に接続。EUCにインプットされたデータにより、適切な「混合気+酸素」を作り出すというしくみ。

 SS1/32mileでは、スタート直後に爆発的なパワーを発揮してウイリーするなど、超ハイパワーカスタムならではの“じゃじゃ馬”ぶりを発揮。コンスタントに3秒前半を記録した。

※この記事は「4MINIチャンプ3(2002年発売)」及び「4MINIチャンプ4(2003年発売)」の記事を再編集したものです。

●カスタムDATA
ベースエンジン:モンキー
FI電子制御燃料噴射システム:FCデザイン
酸素過給システム:FCデザイン(ワンオフ)
排気量:115cc
シリンダーヘッド:SP武川製スーバーヘッド
シリンダー:SP武川
ピストン:SP武川
クラッチ:SP武川製湿式
マフラー:Gクラフト(チタン)
フレーム:Gクラフト(アルミ)
タンク:Gクラフト製アルミ(ワンオフ)
フロントフェンダー:Gクラフト(カーボン)
シート&シートカウル:Gクラフト
ベイント:Gクラフト
フロントブレーキ:ノーマル
リヤブレーキ:NSR50用
フロントホイール:Gクラフト(8インチ)
リヤホイール:NSR50用3スポーク型(ノーマル12インチ)
フロントフォーク:NSR50用Φ30
ステム:Gクラフト
スインクアーム:Gクラフト
リヤサスペンション:リジッド式
ステップ:Gクラフト(バックステップ)

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