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正常進化を果たした国内最高級サルーントヨタ・アルファード 日本の定番高級車の新型「トヨタ・アルファード」を解説【最新ミニバン 車種別解説 TOYOTA ALPHARD】

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23年夏に8年ぶりにフルモデルチェンジを図ったトヨタ・アルファード/ヴェルファイア。基本コンセプトは変わらないが、最新プラットフォームの採用をはじめ、性能もインテリもすべてにおいてグレードアップ。特にアルファードにはこれまで以上のラグジュアリーな装備が多数施され、シックなスタイリングとフォーマルでハイクオリティな空間を提供している。
REPORT:佐野弘宗(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:平野 陽  MODEL:日南まみ

豪華絢爛な新装備を大量投入 乗り心地や走りが飛躍的向上

今ではミニバンというより国内VIP御用達高級サルーンの代表選手となったアルファード/ヴェルファイア(以下、アルヴェル)は今夏、8年ぶりに刷新された。もはや日本の風景に完全に溶け込んだ日本の定番高級車ゆえ、新型の内容もまさに王道の正常進化というほかない。

エクステリア

抑揚のある側面とひと筆書きのようなメッキモールにより、単なる箱に見えないように工夫している。シームレスに点灯するテールランプが先進性を強調。
先代よりもめっき感を減らした落ち着きのある顔つき。グリルのめっき加飾と連続感のあるシームレスなデイタイムランニングライトが先進的なイメージを強調。両側スライドドアには、半分開いた状態からでも開閉できるワンタッチシーソースイッチが備わり、直感的に操作できる。テールゲートの開閉スイッチは、テールランプサイドに隠すように配置する。

ボディサイズは全長が先代比で45㎜増えただけで、全幅とホイールベースは先代とピタリ同寸、全高もほぼ変わらず。2列目は独立キャプテンシートのみで、装備によって「エグゼクティブパワーシート」と「エグゼクティブラウンジシート」の2種類がある。3列目シートも先代同様の跳ね上げ式。スタイリングも抑揚と迫力を増しつつも、特徴的なサイドグラフィックなどを受け継ぐ。このように、基本的なパッケージレイアウトやデザインはキープコンセプトながら、ハードウェアはほぼすべて新しい。多機能な大型ルーフセンターコンソールや下降型パワーサイドサンシェードなどの新機軸の類も、ここでは書ききれないほど大量に投入されている。

乗降性

床もシート高も高めで、小柄な方だと少し身体の上下動が大きくなる。運転席側にも初めて設定されたオプションの「ユニバーサルステップ」を使えば、小さな子どもやお年寄りでも2 列目と3 列目の足さばきは楽になる。

先代までのアルヴェルは販売チャンネルと外観の細部が違うだけの、事実上同じクルマだった。しかし、2020年5月からトヨタの国内販売体制が「全販売店で全車種取り扱い」に変わったことで、新型では両車の位置づけも変わっている。先代では途中からアルファードの販売台数の方が多くなっていたこともあり、新型では開発途中までヴェルファイア廃止の予定だったとか。ただ、最終的には、以前からヴェルファイアを社用車として使っていた豊田章男社長(現会長)らの要望もあり、2モデルとも生き残ることになった。「ドライバーズミニバン」として走り色を強めたヴェルファイアに対して、アルファードは王道というべき高級サルーンの味わいを強調している点が異なる。パワートレインも主力の2.5ℓハイブリッドこそヴェルファイアと共有するが、手頃かつ穏やかな2.5ℓ自然吸気は、アルファードにしか積まれない。

インストルメントパネル

ラウンドしたダッシュボードと、幅広いセンターコンソールが高級車らしさを演出。14インチセンターディスプレイ、先進的な12.3インチカラーメーターパネルを標準装備する。

シャシー関連でも独自の味わいが強調される。全車19インチタイヤを履くヴェルファイアに対して、アルファードのそれはあえて17〜18インチという設定としている。特に最上級のショーファードリブングレードである「エグゼクティブラウンジ」は、17インチに今回新機軸である「周波数感応型ショックアブソーバー」という専用の組み合わせで、最優先の特等席といえるセカンドシートの快適性を追求している。

居住性

シートサイズ、厚みともに申し分なく、インパネからドアトリムまで包み込まれるような感覚で、高級感を抱かせる。運転席には、乗降時に自動的にスライドする機能が備わる。
2列目はもちろん、3列目でもゆったりとくつろげる。サードシートも座り心地は良く、大人でもくつろげる広さ。2列目を最後端にしても前席下に足が入るためなんとか座れる。

柔らかな身のこなしの「エグゼクティブラウンジ」は運転感覚にちょっとクセがあるが、最新のGA―Kプラットフォームを土台とする新型アルヴェルの走りの資質が、飛躍的に進化しているのは間違いない。特にステアリングの正確性やフラットな乗り心地、リヤがしっかり踏ん張ったハンドリングは印象的だ。そんな走りの進化は、実はレーダークルーズコントロールとレーントレーシングアシストを作動させた「半自動運転」で、より実感できるのが面白い。

うれしい装備

「エグゼクティブラウンジシート」の両側に格納式テーブルを用意する。軽食を摂る際などに重宝するほか、天板内にはバニティミラーも備えるため、身だしなみのチェックやメイク直しもできる。

スライドドアに連動する「ユニバーサルステップ」は、運転席側にも新たに設定。電動式よりも安価な6万6000円に抑えた。スーパーロングオーバーヘッドコンソールの照明は基本色14色、カスタム色50色の計64色を用意し、好みに応じて変更できる。

2列目のオーバーヘッドコンソールに、サンシェードやイルミネーションなどの照明類、スライドドアのスイッチを配置する。脱着可能なリヤマルチオペレーションパネルは、車内のみで使用可能。手元でオーディオ、エアコン、シートなどを操作できる。

月間販売台数 3513台(23年5月~10月平均値)
現行型発表 23年6月
WLTCモード燃費 17.7 ㎞/ℓ※「Z(ハイブリッド)」のFF車

ラゲッジルーム

3列目はシートが大きくて重いため、ノア/ヴォクシーのように軽く操作できないが、操作性そのものは良好。跳ね上げ位置が中央に加えて、最後端でも可能になり利便性が向上した。2列目はキャプテンシートのみで、シートタイプを問わず、前後スライド量に応じて荷室奥行きが変わる。荷室下にも大容量の床下収納を用意し、洗車用具などの積載が可能だ。

多少の横風や路面のうねりなどもまるで意に介さず、修正アシストがほとんど入らない滑らかな高速巡航は、根本的な直進安定性がすこぶる高い証拠というほかない。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024年 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。

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