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23年のMサイズミニバンの新車販売数でトップ「トヨタ ノア」 Mクラスミニバンでの販売台数ナンバー1の実力派「トヨタ・ノア」【最新ミニバン 車種別解説 TOYOTA NOAH】

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23年のMサイズミニバンの新車販売数でトップとなった「トヨタ ノア」。パワートレインはハイブリッド、自然吸気の2種類、また定員数、駆動によって細分化され、ユーザーにフィットするグレードが用意されている。車内の装備もシートアレンジや荷室の使い勝手は良く、安全装備や運転支援機能も充実し、安定した人気も納得だ。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:花乃衣美優

パワートレインで違う居住性 安全運転支援機能は全車充実

2023年度上半期(4〜9月)に、国内で最も多く登録された3ナンバーボディのミドルサイズミニバンはノアであった。基本部分を共通化したヴォクシーは、エアロパーツを装着する上級シリーズのみの設定だが、ノアには価格を抑えた標準ボディもある。パワートレインは、1.8ℓ直列4気筒のハイブリッドと2.0ℓの自然吸気で、グレードの選択肢も多い。

エクステリア

従来モデルに対して全幅が広がり、3ナンバーサイズになったのも新型のトピック。リヤフェンダーまわりが張り出して、側面の立体感が強まっている。
ライバルと車体サイズを比べてみると、セレナ比では長さも幅も僅かに大きく、ステップワゴンに対しては全長が100㎜以上短く、全幅も僅かに狭い。ちなみに先代ノアのエアロ系グレード(全長4740㎜×全幅1735㎜)と現行モデルのエアロ系グレードを比べると、新型の方が僅かに小さい。

ノアはライバル車のセレナに比べて床が80㎜ほど低く、乗り降りしやすい。全高の割に室内高に余裕があり、多人数で乗車しても快適だ。3列目のシートは、座面が少し短いが、床との間隔は十分に確保されるから膝がもち上がる窮屈な姿勢になりにくい。注意したいのはパワートレインによる居住性の違いだ。ハイブリッドは、リチウムイオン電池の搭載により、2列目に座る乗員の足が1列目の下側に収まりにくい。そのために自然吸気と同等の快適性を得るには、2列目を少し後方へ寄せる必要がある。この影響で3列目の足元空間が狭まるから、居住性は自然吸気の方が快適だ。

乗降性

乗降性を高める注目アイテムは、スライドドアが開くのに連動してからくり仕掛けでせり出して地面とフロアとの段差をなくする可動式ステップ。「ユニバーサルステップ」というオプションで価格は僅か3万3000円。

シートアレンジは充実している。3列目は、レバーを引くと自動的にもち上がり、サイドウインドウ側へ押し付けるとロックする。重いシートをもち上げたり、ベルトで固定する必要はない。また3列目を格納すると、2列目を後方へ大きくスライドできる。足元空間が広がり、リラックスできて、足元にバッグなどを置けて便利だ。リヤゲートは任意の角度で止められるから、狭い場所でも荷物を出し入れしやすい。左側には、電動スライドドアを開くと自動的に張り出すユニバーサルステップが3万3000円の低価格で用意され、乗降性をさらに向上させられる。

インストルメントパネ

「G」以上は8インチセンター画面を装備。セレクトレバーは、ハイブリッド車で「パノラミックビューモニター+パーキングサポートブレーキ」を選ぶと電子制御式となる。

ノアは現行型でパワートレインやプラットフォームを刷新した。そのために走行性能も向上した。自然吸気は実用回転域の駆動力が高まり、ミニバンとしてはパワー不足を感じにくい。ノイズも小さく抑えた。ハイブリッドは第五世代に進化して、同様に実用回転域の駆動力を高めた。登坂路ではノイズが少し耳障りだが、先代型に比べると静かだ。WLTCモード燃費は、売れ筋のエアロ仕様でも23.0㎞/ℓに達する。19.0㎞/ℓの先代型から現行型に乗り替えると燃料代を17%節約できる。

居住性

前席はガラスエリアが広いうえに、車両前方の下方向が広く見えるようにシートやダッシュボード上面の高さがつくり込まれ、視界の良さが車両感覚の掴みやすさに結びついている。2列目はもちろんだが、3列目でも長時間乗車を無理なくこなす広さと開放感を実現。床に対する座面の高さがしっかり確保されているから、着座姿勢に優れるのも美点である。

走行安定性もミニバンでは満足できる。先代型はステアリングホイールを回し始めたときの反応が少し曖昧だったが、現行型は正確になって運転しやすい。後輪の接地性が高く、下り坂のカーブでも車両の挙動が不安定になりにくい。その代わり乗り心地は、40㎞/h以下では少し硬く、路上のデコボコを伝えやすい。特に17インチタイヤを履いた最上級グレードの「S―Z」は硬めだ。ミニバンらしい快適性を重視するなら、操舵感は少し穏やかになるが、16インチ装着車を選びたい。

うれしい装備

7 人乗りの2列目はロングスライド機能により足元ゆったり。ステップワゴンにも同様の機能はあるが、セレナにはない機能だ。新型は中央に寄せなくても最後端までスライドできるように進化した。

ACCやハンドルの車線維持支援機能に加え、高速道路渋滞時にハンドルから手を離して運転ができる機能(ハンズオフ)も用意。荷室床下には、機内もち込みサイズのケースも余裕で収まる広い空間を用意。ハイブリッド車もガソリン車と同容量だ。

ハイブリッド車に用意されるAC100V電源は、1500W(通常の車載電源の10倍以上)という大容量でアース付き。「Z」系グレードの2列目左右シート間に備わる大型テーブルは、充電用USB端子まで用意。ホスピタリティの高さがうれしい。

月間販売台数 8433台(23年5月~10月平均値)
現行型発表 22年1月
WLTCモード燃費 23.4 ㎞/ℓ※「HYBRID X」のFF車

ラゲッジルーム

セレナとの大きな違いは、3列目シートにスライド機構がなく3列目展開時に奥行きを拡大できないこと。一方ステップワゴンとの大きな違いは、3列目が床下格納ではなく左右跳ね上げ式としていることである。跳ね上げはアシスト付きで軽々だ。3列目格納時の写真とその奥行き数値は、7人乗りの2列目を最も後方までスライドした状態。

安全装備と運転支援機能も充実した。低速時にステアリングホイールから手を離しても運転支援を受けられるアドバンストドライブなどは、クラウンクロスオーバーでも上級のRSでないとオプション装着できない。それがノアでは最廉価を除く全グレードに用意される。装備の充実度はノアを選ぶ大きなメリットだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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