環境/社会/法規 ウィーン道路交通条約 Convention On Road Traffic Vienna
- 2019/12/26
自動車運転免許制度や道路標識の基準、さらには自動車の運転に関する倫理的な規定などを包括している条約。1968年に国連理事会で採択され1977年に発効。欧州のほぼすべての独立国と中東、アジア、中米などの合90か国以上が批准している。条約の管理は国連のECE(欧州経済委員会)WP1(Working Party No.1:通称道路交通安全作業部会)が行う。2018年8月現在、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどは加盟していない。
同様の条約にジュネーヴ道路交通条約(Convention on Road Traffic Geneva)があり、こちらは1949年に国連ECEの経済社会理事会で採択された。日本は1964年に同条約に加盟し批准している。本来、ウィーン道路交通条約批准国同士でなければ相互に国際運転免許証の承認を行わないが、日本は欧州の主要国と二国間協定を結ぶことで旅行者や海外居住者の利便性を確保している。
近年、ウイーン道路交通条約加盟国は高度運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)の進歩および将来の自動運転の実用化を視野に入れた議論を行い、運転者が乗車していて「即座に人間による運転操作に切り替えができることが可能」であれば自動運転システムを認めるという改正が行われた。日本はECE WP29(自動車基準調和世界フォーラム)の中心メンバーであることからECE WP1など関連の非公式会合に参加し、ADASについてのWP1決定に基本合意するとともにWP1とWP29の連携を提案した。現在、ジュネーヴ道路交通条約とウィーン道路交通条約の間の調整作業が進められている。