現役・OB自動車開発エンジニアが本気で挑み最先端技術を惜しみなく投入する「全日本学生フォーミュラ大会」のもう一つの魅力とは 「学生フォーミュラ」には国産スポーツカーの名エンジニアが勢揃い! ロードスター&RX-7主査・貴島孝雄さん、初代ホンダNSX開発ドライバー玉村誠さん、三菱ランエボの“ミスターAYC”澤瀬薫さん
- 2017/11/10
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遠藤正賢
世界中の学生たちがフォーミュラカーで速さを競うのみならず、ビジネスモデルの企画から車両の設計、コスト計算、そして製作まで行い、そのクオリティを争う「学生フォーミュラ」の日本大会「全日本学生フォーミュラ大会」(主催:自動車技術会)。
その開催趣旨は「主役である学生が自ら構想・設計・製作した車両により、ものづくりの総合力を競い、産学官民で支援して、自動車技術ならびに産業の発展・振興に資する人材を育成する」。
従って競技内容も、車両の企画・設計・製造・実走行に至るまで市販車と全く同様の“ものづくり”を経験でき、開発プロセスにおけるトライ&エラー、レース中に発生する突発的トラブルなどを乗り越えて心身を鍛え上げた、自動車関連企業の製品開発現場で即戦力となる人材を、実戦形式で育て上げるものとなっている。
そんな学生フォーミュラの各チームには、卒業生やその所属企業、大会への協賛企業などから、現役・OB問わず多くの自動車開発エンジニアが加わり、学生を鍛え上げながら本気も本気、掛け値なしに全力を尽くしてマシンを開発、レースに参戦している。

その中には、多くのクルマ好きが知る国産スポーツカーの開発に携わった名エンジニアも、数多く含まれている。その一人が、マツダで2代目および3代目ロードスター、3代目RX-7の開発を指揮した、貴島孝雄さんだ。
その貴島さんの研究室が特に精力的に取り組んでいるのが、この学生フォーミュラ。2012年の第10回大会より参戦を開始しており、今年の第15回大会で6度目のチャレンジとなる。彼らが一貫して掲げ続けているマシンの開発コンセプトは「リニア感のある操縦性を目指して」。そう、貴島さんがマツダ在籍時にロードスターなどでテーマとしていた「人馬一体」だ。
新しい山口東京理科大学6号機では、フレームの本数を減らして約1割軽量化しながら、リヤボックスおよびエンジンマウントの接合位置を変更してねじり剛性をアップ。カウルは上面・側面をシェル構造にすることで重量を半減させながら、流入口を約6割拡大し冷却性能を高めている。
シャシーは、対地キャンバーの適正化、アッカーマンジオメトリーの採用、ストローク時のバンプステア低減に加え、スタビライザー装着により操縦安定性をアップ。さらにステアリングをクイック化し、ペダル類も位置・形状・構造を変更して操作性を改善した。
パワートレインは、最も使用頻度が高い7,000rpm付近で慣性効果が最大になり、かつ抵抗が低くリニアなパワー・トルク特性となるよう吸排気系や空燃比セッティングを全面的に見直しつつ、オイルパンを自作して車両重心を10mmダウン。リチウムイオンバッテリーを採用して約2.5kg軽量化しつつサイズを半減させるなど、ロードスターやRX-7の開発時と同様、細部にわたり軽量化・低重心化・リニアリティ向上のための方策を施している。
さらに、カウルのガラス繊維にある凹凸をローラーで平滑にするなど、パーシブドクオリティ(感性品質)にもこだわったことで、「審査員からお褒めの言葉をいただいた」(貴島さん)という。
そんな山口東京理科大学チームは、前回第14回大会で初めて全種目完遂・完走し総合19位を獲得。今回はエンデュランス競技中のシフトトラブルが原因で総合34位となったものの、二大会連続で全種目完遂・完走を果たしている。
貴島さんは大会中、「より軽く・低く・広く、という基本は、市販スポーツカーもレーシングカーも変わりません。鉄をアルミに材料置換するなど、軽量化できる所はまだまだありますので、もっと軽く、速く、リニアでコントロールしやすいクルマに進化させていきたいと思います」と話し、すでに次回大会への参戦に向けニューマシン設計の構想を固めていることを伺わせていた。
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