キャッチコピーは「冬も、性能で『ちゃんと買い』」。発表会にはチームブリヂストンジャパン所属の宮里藍選手とスマイルジャパンも登壇 発泡ゴムの進化と共に30周年を迎えたブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザック」新CMが放映開始! CMキャラクターは綾瀬はるかさん
- 2018/09/21
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遠藤正賢
ブリヂストンは9月15日、乗用車用スタッドレスタイヤ「ブリザック」シリーズの新CMを放映開始。それに先駆けて同月13日に都内で行われた発表会では、スタッドレスタイヤを取り巻く市場動向と、30年間にわたる「ブリザック」シリーズ進化の歴史や開発秘話が、同社役員の口から語られた。
PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
1960年代のモータリゼーションとともにスタッドレスタイヤの普及が急速に進む一方、70年代にはスパイクタイヤに埋め込まれているピンがアスファルトの表面を削ることで発生する騒音と道路の破損、80年代にはさらにその粉塵が環境問題化。こうした背景から、ブリヂストンは82年に初めて乗用車用スタッドレスタイヤを発売している。
だが、初期のスタッドレスタイヤは氷雪上性能の確保が課題になった。-20℃以下の氷上路ではタイヤがグリップするものの、0~-20℃では氷の上にタイヤが接地すると氷が溶けて水膜が発生し、タイヤが浮いてスリップする原因となる。そこでトレッドにサイプ(細溝)を設け、それらを開閉することで水膜を吸い、接地面から除去する構造としたが、現代の基準からすれば「単純な技術」だったと坂野常務は振り返る。
だが別の技術者が、ヘチマのスポンジから着想を得て「効かないのは泡がタイヤの表面に出ていないからではないか。泡を表面に出せば水を吸うのではないか」と進言したため表面を削ってみると、急激に性能がアップ。当初はゴムを軟らかくし接地性を高めるために採り入れた発泡ゴムが、それだけではなく泡が路面の水を吸うのにも大きな効果を発揮することが明らかになった。
「(ゴムの製造においては不良である)泡をわざと作るなんてとんでもない!」という製造部門とは、製造工程を見直してゴムを発泡させる専用ラインを作り、品質保証体制を新規に確立。
販売の現場からは「そんなものが売れるのか? ただ売るだけではダメだ」と辛辣な反応も出たが、「ブリザック」という専用ブランドを1988年発売の「ブリザックPM-10」「同20」より発足させ、体験試乗キャラバンを全国展開することで、発泡ゴムを用いたスタッドレスタイヤを普及させていった。その後も発泡ゴムと「ブリザック」シリーズは、水路を拡大して氷雪路でのグリップ力を増大し、摩耗後も維持する方向で進化している。
2013年発売の「VRX」は水路に親水性コーティングを施すことで吸水能力を高め、さらに2017年9月に発売した最新モデル「VRX2」では、従来のスタッドレスタイヤでは効果を発揮しにくかったシリカが吸水性の高いコンパウンドでは有効ということに着目し、初めてシリカを配合。氷雪路でのグリップ力を高めている。
これに伴い、トレッドパターンを全面的に見直し。具体的には、サイプを減らしブロック剛性を高めることで接地性と耐摩耗性を高めつつ、イン側とアウト側とで音のピークをずらし打ち消し合うよう横溝を異なる配置として、パターンノイズを31%低減した。
このような「ブリザック」シリーズの進化の歴史と、大都市圏でも最低気温が3℃を下回る日が増え、レジャーや帰省のためではなく雪が降り路面が凍結した時の備えとして、スタッドレスタイヤを購入するユーザーが増加したという市場環境の変化を踏まえ、新CMでは「冬も、性能で『ちゃんと買い』」のキャッチコピーを展開。
CMキャラクターに引き続き女優の綾瀬はるかさんを起用するとともに、「ブリザックVRX2『しっかり曲がるしっかり止まる』篇」と「ブリザック『突然の雪でも安心感』篇」の2本を随時放映して、凍結した下りカーブや都市部での急な降雪でもスリップせず安心して走れることを訴求していく計画を、ブリヂストンタイヤジャパンの長島淳二常務執行役員が明らかにしている。
発表会ではチームブリヂストンアンバサダーの宮里藍選手と、アイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」の久保英恵選手、床亜矢可選手、床秦留可選手も登壇。スタッドレスタイヤにまつわるクイズに挑戦しつつ、「スタッドレスタイヤと同じでスポーツも『備えあれば憂いなし』」と、東京オリンピックをはじめとした今後の大会への意気込みを語っていた。
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