メカニズムに注目して新型3シリーズを試乗してみる──安藤眞の『テクノロジーのすべて』第15弾
- 2019/03/10
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安藤 眞
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/techの連載でもおなじみ、『ニューモデル速報・すべてシリーズ』のメカニズム詳密ページで健筆を振るう安藤 眞さんと新型BMW3シリーズ試乗会に参加してきた。シャシのエンジニア出身というご経験から、330i M Sportの様子を確かめてもらう。
TEXT:安藤 眞(Ando Makoto)
BMWの新型3シリーズに乗せてくれるというので、行ってきました。用意されたクルマは、当面の最上級グレードとなる330i M Sport。走行性能に関わるオプションとしては、“ファスト・トラック・パッケージ”が付いており、19インチ(前225/40R19/後255/35R19)のランフラットタイヤとアダプティブMサスペンション、Mスポーツディファレンシャルが装備されていました。
BMWの3シリーズといえば、誰もが認めるスポーツセダンのベンチマークですが、それは乗り込むときから感じられます。低い着座位置にヒザを曲げて乗り込み、太めのサイドシルを気にしながら足を引き込む。欧州のFR車らしく、身長181cmの僕がドライビングポジションを合わせても、ステアリングのテレスコピック調整を引き切らずに済みます。シートの大きさやホールド感も、僕の体にはジャストフィットです。
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試乗会場内を移動し始めてまず気付くのは、ブレーキのコントロール性の良さ。欧州車らしく、剛性感があって食いつきも良いのですが、微低速でも過敏すぎて扱いにくいということはまったくありません。むしろ、僕が普段、乗っているルノー・カングーのほうが、微調整域ではずっとナーバスですね。
市街地を流し始めると、アクセルオフでの速度調整がやりやすいことに気付きます。アクセルをオフすると、アップシフトしてエンジンブレーキが弱くなるクルマも少なくありませんが、新型3シリーズはギヤがホールドされることが多く、ブレーキに踏み換えずに速度調整できる機会が多かったです。
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乗り心地はスポーツモデルにありがちな過減衰感はなく、市街地走行速度域でもサスペンションは良くストロークします。アダプティブダンパーが、良い仕事をしているのでしょう。ただし、ランフラットタイヤの硬さと(指定空気圧も270kPaと高い)、大径ホイールの重さを感じることが時折あり、それをいなそうとしてブッシュを緩めているのか、「ブルン」という振動が残ることがありました。
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エンジンは2.0ℓのターボですが、普通に乗っている分にはターボラグも気になりません。市街地での穏やかな走行なら、エンジン回転数は2000rpm以下でこなしてしまいます。僕が「ターボキラー」と呼んでいるコーナー(緩く下ってタイトコーナーを回ってハンドルを戻すタイミングで登りになる)を走ったときには、一瞬のターボラグの後に慌ててダウンシフトするという素振りを見せましたが、それ以外はドライバビリティは良好でした。
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ステージを自動車専用道に移すと、330iは本領を発揮し始めます。追い越し加速時には、アクセル開度3/8ぐらいではダウンシフトせずにトルクで押していきますが、1/2開度ぐらいになると素早くダウンシフトして回転数を高め、気持ちよいサウンドを奏でながら爽快に加速していきます。レブリミットは6000rpmなので、NAのような伸び切り感はありませんが、なにしろ1500rpmぐらいから実用になるトルクが出ますから、使える回転域の幅自体は、NAエンジンとさほど変わらないのではないかと思います。
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操安性の面では、直進安定性は申し分ないのですが、ステアリングセンターの遊びが非常に少なく、修整舵に対する応答性は、少々過敏な感じがしました。「長距離では疲れないかな?」と考えて思い出したのが、新しくなったアダプティブクルーズコントロールです。長/中/短距離用に3台のカメラを用意し、より広いレンジで車線を把握することにより、車線中央維持アシストの精度を向上させたものです。さっそく、これをオンにしてみたのですが(ステアリングのスイッチを見ただけで操作がわかるのが秀逸)、これが笑ってしまうくらい快適でした。同様のシステムの中には、車線内をピンボールのように蛇行するものもありますが、このシステムはそんなことはなく、クルマ任せでも滑らかに車線をトレースしていきます。
特にBMWのシステムは、手放し検知にトルクセンサーより感度の高い静電容量センサーを使用しているため、「ステアリングに手を添えているのに、手放し警告が出る」ということがありません。
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