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どうにもいただけない当節の電動車接近警報音——安藤眞の『テクノロジーのすべて』第61弾

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(ILLUST:FEV)

静かでスムースな電気自動車。それゆえ路上では歩行者や自転車走行者に気づかれず、「来てますよ」「通りますよ」というアピールをしなければならない——のだが。
TEXT:安藤 眞(ANDO Makoto)

 数日前から、某社の電動車を借りて乗っている。変速機はないしモーターのトルクは強いから、峠道の上りでも、ギヤが合わずにもどかしい思いをすることはないし、パワーが必要になってもメカノイズも排気音も高まらないから、1.5L自然吸気エンジン程度しかパワーはないのに、苦しげな音は出ず、非力感はまったく感じない。なるほど電気駆動って気持ちいなぁ、とは思うのだが、いただけないのが接近警報だ。

 電気駆動だからノイズが小さいのがメリットなのに、車速が落ちると「うにょん、わにゃん」という妙ちくりんな音が車内に侵入してきて、不愉快であることこの上ない。世の中には「低速域ではなるべくエンジンをかけないように制御しています」というハイブリッド車もあるというのに、これではその努力も台無しではないか。

 もちろん、目の不自由な人の安全のために付けられているのは理解している。しかし、目の不自由な人が歩いていたら、ぶつからないように最徐行するのがドライバーの務めであるはずだから、こんなものを付ける必要があるのかというところに、そもそもの疑問があるのだが、まあ付いていること自体を否定するのはやめておこう。

(PHOTO:SKODA)

 それにしても、だ。車速が30km/hを下回ると必ず音が出るというのは、どうにかならないものだろうか。単純な車速検知型だから、高速道路で渋滞している最中でも出る。幹線道路の交差点で、歩道との間に縁石があっても出る。恐らく、聞かせるべき対象者がいる環境は、音が出ている時間の1%もないだろう。にもかかわらず、不快な音が、律儀に出る。これ、誰も馬鹿馬鹿しいとは思わないのだろうか?

 たとえば先行車がいれば、自車から音を出す必要はないのだから、衝突軽減ブレーキのカメラで先行車を認識したら音を出さなくするとか、歩行者を認識するまでは音を出さないようにするとか、一時停止標識を認識した場合には音を出すとか、不要な時には音を出さないという工夫は、いくらでもできるような気がする。

 警報音のために新たにECUが必要になるようではコストに響くから、難しいのかも知れないが、電動車が普及すれば、街中で信号が変わるたびにそこら中からあの音が聞こえてくるようになるはずで、そんな町を歩くのは嫌だなぁ、と、今から心配している。

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