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モジュール単位での充放電検査の繰り返しで新品の85%以上に再生 ハイブリッドカー駆動用ニッケル水素バッテリー再生に関する特許をユーパーツが取得

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自動車リサイクルおよびリユース部品生産・販売大手のユーパーツ(清水道悦社長、本社:埼玉県熊谷市)は3月15日、ハイブリッドカーの駆動用ニッケル水素バッテリー再生に関する特許を取得。4月19日にその詳細を報道陣に公開した。

PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)

「かけるくん4」によるトヨタTHS2始動・検査を実演するユーパーツ生産課の吉田直矢係長

 ユーパーツは1975年に創業(当時は清水商会。2000年に現社名へ変更)したのち、82年に在庫管理システムのコンピューター化を開始。93年に自社開発・特許申請した、車両に搭載しない状態でのエンジン始動・検査を可能にする「かけるくん」は2016年に「かけるくん4」まで進化し、トヨタTHS2やマツダSKYACTIV-D、現行R35型日産GT-R用VR38DETT&GR6に対応するまでになった。

 また、2008年には早稲田大学環境総合研究センターと共同で自動車リユース部品使用によるCO2削減量を数値化。さらには同年に自動車用、11年にフォークリフト用の鉛バッテリー再生・販売を開始するなど、自動車リサイクル業界の中でも先進的な取り組みを数多く手掛けている。

ニッケル水素バッテリー検査・再生に関する特許証
 ハイブリッドカー駆動用ニッケル水素バッテリーに関しては、09年よりデータ収集を行い、その検査・充放電を行うための「アドバンスドバッテリーリカバリーシステムHV」を開発。2014年中頃より、このテスターを用いて再生したニッケル水素バッテリーの販売を始めている。そして昨年7月10日、このテスターおよび検査方法、プログラムに関する特許を出願、今年3月15日に取得した。

W3#系プリウス用バッテリー全28モジュールの電圧・放電容量グラフ。上が再生前のバラついた状態、下が再生後に放電容量が回復し電圧も揃った状態
 具体的な再生方法について、ユーパーツ生産課の吉田直矢係長に聞いたところ、「経年劣化などでモジュールごとにバラついた放電容量を、ユニットの中で最も低いモジュールに全部合わせて充放電し、それを繰り返すことで徐々に全部の性能を揃えつつ、新品の85%以上の放電容量に回復させる」のだという。

W3#系プリウスのニッケル水素バッテリーと組み替え用モジュール、通電バー

 ただし、再生不能なレベルにまで劣化あるいは不具合が発生しているモジュールは、単品で別途ストックしている再生済みの良品モジュールに交換。また各モジュールを接続する通電バーの端子に錆が発生している場合は銅板を新品に、車載時に必要となるケースやファンが変形・損傷している場合は、リユースできる状態の良い単品に交換する。こうしてニッケル水素バッテリーを月間約50基再生し、1年または1万kmの保証を付与して、主にトヨタ系ディーラーへ販売しているとのこと。

UVF45系レクサスLS600h用ニッケル水素バッテリー。各モジュールがリベットによって枠に留められているためモジュール単位での交換・再生は不可能
センターコンソール搭載のため上下二段式のAHR20W系トヨタ・エスティマハイブリッド用ニッケル水素バッテリー。こちらもモジュール単位での交換・再生不可

 なお、記者会見ではトヨタ各車のニッケル水素バッテリーも展示し、モジュール単位でのバッテリー交換が可能な車種と、枠にリベット留めされておりモジュール単位での交換ができない車種があることを説明していた。

 リチウムイオンバッテリーについては、「現時点ではまだ使用済みとなる車両が少なく、バッテリー自体の寿命もニッケル水素式より遥かに長いため交換ニーズも限られる。しかもモジュール単位ではなくセル単位で見なければならないほど温度管理がシビアなので、現時点ではまだ検査・再生方法の研究開発を続けている段階」(吉田係長)だという。

ユーパーツの清水道悦社長
 だが清水道悦社長は「リチウムイオンバッテリーには高価な金属がほとんど含まれておらず、自動車メーカーの引取価格も手間賃すら払えないほど低いため、不法投棄が発生する可能性も想定される。それを防ぐためにも、リチウムイオンバッテリーを有価で買い取れるようなリユース・検査に挑戦すべきだろうと考えている」と述べ、今後普及し使用済み車両が増えていく新技術のリユースにも積極的に対応していく意向を示している。

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